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魔国編
35 混じり合う奇跡
しおりを挟む「大丈夫よ…私には守る人がいるから」
そう言えばタイクロノスはサキの元へ向かった
支えてもらっていた身体はよろめいてしまう、トン…と何かが背中に当たる感覚がした
「リア…」
「リ、オン ?? どうして」
「あの精霊が離れる瞬間俺を動ける様にした。だから側に来た」
「でも、ここは危ない…の」
「はっ、なぜリアが危険で俺が安全でなくてはならない」
「リオン…」
「リア、お前は一度死んだからまた死んだとしても平気だと思っているのか」
「そんな事 っ…!!」
そんな事無い !! と言おうとしたら口付けされ塞がれる。
そして抱き締めるように支えてくれたリオンの手が私の掌に重なった
「俺はお前を命をかけて守ると言ったはずだ」
「っ…リオン」
「お前が死ぬときは俺も共に死ぬ」
「そんな、そんなこと言わないで」
「なら…リア、お前も生きるんだ」
そう言い首だけ振り向いている私の額に唇を落とし私の掌からリオンが自身の魔力を流してきた
混ざり合わせた神力を維持するために私は残りの自身の魔力を使っていた。その魔力が無くなりそうなのをタイクロノスが身体ごと支え魔力を分け続けてくれたから持っていた。それが無くなって私だけになった所にリオンが魔力を分けてくれたのだ
きっとタイクロノスは私が無理なのを分かっていて…リオンにタイクロノスがやっていたことをやらせるためにリオンを解放したのだろう…
「リオン…ありがとう」
「…………」
「これを片付けて…一緒にゆっくり暮らそうね」
「ああ、その時が止まるまでな」
「うん」
リオンから貰った魔力を自分の魔力に変えていき時の魔力として使い穢れの時間を巻きもどす
向かい側に見えたサキとキール様…
は私達と同じふうに穢れの結界の維持を手伝ってくれていた
「サキ、キール様…」
「私は、大丈夫 !! イケるイケる !! だよ」
「心配しなくても良いですよ、私達も普通より魔力も高いですし…」
「精霊もたくさんいるからね !!」
そう言って額に汗をかきながらウインクしてくれたサキに私は自然と頬が緩んだ
そう、だね…
私一人が頑張っていたわけじゃないよね
四神も、サキやキール様も…
私達の邪魔にならぬようにと近寄る魔獣を倒してくれているカイルやセバスさんも…
リオンも…いる
みんな力を貸してくれるんだから…絶対に大丈夫だよ !!
そう私の中でまとまり穢れを睨みつけ私は力を更に入れた
そのままどれくらい続くか分からない時間を私達は過ごした…
ーーーーーーーーーー
タイクロノスがマリアンから離れた後サキの中にいた女神…否、創造神ミールはサキの身体から抜け出しタイクロノスと共に世界樹の元へと移動した
ミールは世界樹を優しく慈しむように撫でたあと涙を一つ零し小さな声で謝り呪文を唱えた
『世界の源、生命を司る、世界樹よ、今一つの命消え去るならば残りの時を今捧げよ』
… 時の神より願う、遥かなる時を過ごしえた力を此処に …
『時空を超えて願う』
… 同じ時を流れる時地へ導け …
『汝デスティニを創りし創造神ミール、願うはこの世界エスペランサの創造神ヴェルト・地球の創造神アースへ願う』
… 今こそ開け時空の扉 …
タイクロノスがそう呪文を唱えると世界樹が輝き光の粒子となりミールの目の前に集まり扉の形へと型どっていった
『声が聞こえたのならば応えて…ヴェル、アース』
か細く不安に震える声で呟いたミール
何も反応しない扉に涙を浮かべ溢した時…声は聞こえた
『ほら、ヴェルト急げ』
『急いだ所で状況は変わらないだろうが』
『あー、もうせっかくミールが目覚めたんだよ !! しかもお前の世界だろ此処』
『だからこうして来たんだろうが』
『この野郎 !! あ ? 扉開かねぇぞ ?? 』
『馬鹿か、その世界の扉を開けにはその世界を創った神だけだろうが…たわけ』
『一言、いや二言余分だっつうの !!』
『……待たせたなミール』
『久しぶりだね !! ミール』
内側へと扉が開いていきそこから顔を出したのは…
碧い肩までの髪に、翡翠の瞳の青年と銀の髪に黄金の瞳を持つ青年が現れたのだった
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