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1章
第3話:転生?
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「ふんっ!」
「グガッ!?」
トカゲ型の硬質な皮膚は、勢いを乗せた大剣の一撃で砕き、斬った。
「グルゥァ!」
その後に控えていた戦士型の、槍を用いた薙ぎ払い。
長柄武器を持った戦士型の攻撃は正確だが、読みやすかった。
攻撃をくぐりぬけるように素早く前転し、長柄武器の間合い、その内側に潜り込む。
大剣で戦士型の胸を刺突した。
「ガァッ!?」
縦に引き裂くようにそのまま振りぬく。
「終わりだ!」
断末魔との叫びと共に、リーダー格の戦士型が倒れる。
体躯のせいだろう。倒れる時には風が舞った。
風のせいだろうか、戦闘で熱を帯びた頭がほんの少し冷静さを取り戻した。
どれだけ戦ったのだろうか。
周囲を見渡すと、モンスターどもが消え去った(奴らは絶命して数秒すると消え去るらしい)おかけで、騒ぎは早くも収束しつつあった。
「ここは……ひとまず大丈夫か」
拳でこめかみの汗を拭う。
あいかわらず状況はよくわからない。
これが夢なのか現実なのか。
夢なら別にどうなってもいいが、もし万が一現実であったならば、わざと殺されてやる義理はない。
ひとつの仮説が、俺の脳内で組みあがっていた。
俺は転生したのだ。
あの下らない生活から、この物々しいファンタジー世界に!
突拍子もない話ではあるが、現に均整の取れた若い肉体と、ファンタジックな武装とモンスターの存在を見る限り、そう帰結する。
そう思うと、全身に活力がみなぎる。
いいじゃないか、この世界。
とてもいいぞ、この身体は!
「あの……隊長」
俺が一人でひそかに盛り上がっている中、女性の隊員が話しかけてくる。
知らないはずの人物だが、レオは……俺は知っている。部下の一人だった。
俺の、部下。
俺の、小隊。
急速に思い出した記憶に若干の頭痛を感じながらも、答える。
「なんだ」
なるべく冷静さを装いながら、短く応えた。
「新たな命令が届きました。すぐに皇帝陛下をお守りせよと」
「皇帝陛下か」
言われたことを復唱しているのは、思い出すためであり、その時間稼ぎのためだった。
偉大なる帝国の皇帝陛下。名前は……まあ、今はどうでもいい。
そして、俺はそいつに仕えている。形式上は、間違いなく。
「今、どこにおられるのか、わかるか?」
「その……憶測になりますが、あれだと思います」
隊員が指したのは、少し不自然なまでに兵士と騎士が密集したところだった。
……確かに、あれだろうな。
ずいぶんとわかりやすいな。逆に敵から狙われやすいんじゃないのか。
とはいえ、少し遠くではまだまだ戦闘が続いている。
まあ、用心するのは当然とも言えるか……。
何はともあれ、命令を受けてしまった以上はやるしかない。
「わかった、ありがとう」
女性隊員に礼を言って、部隊を彼らに近付けようとした時だった。
「……え?」
隊員は、意外そうに俺を見返してきていた。
「ん?……どうした?」
「い、いえ!と、とんでもないっ!」
顔を真っ赤にして、その隊員は走るように引き下がった。
違和感がある。ありまくる態度だった。
そして、隊員が引き下がった先の、俺の部隊にも違和感がある。
体格と髪型、そしてそこから聞こえる声のトーン。
(俺の部隊……女性しかいない、のか?)
見える限り、全員が女性に見える。
いや、後ろに隠れて男性もいるんだろう多分。
しかしそれにしても、とんでもない女性率の高さだ。
(……転生前の俺は、もしかしたら変態だったのかもしれんな)
セクハラやモラハラには気を付けないといけないな。
そう思った時だった。
空中に、青白く光る人間が浮かんでいるのを見つけた。
そいつは、俺の方を見て、嫌な笑みに顔を歪ませた。
「グガッ!?」
トカゲ型の硬質な皮膚は、勢いを乗せた大剣の一撃で砕き、斬った。
「グルゥァ!」
その後に控えていた戦士型の、槍を用いた薙ぎ払い。
長柄武器を持った戦士型の攻撃は正確だが、読みやすかった。
攻撃をくぐりぬけるように素早く前転し、長柄武器の間合い、その内側に潜り込む。
大剣で戦士型の胸を刺突した。
「ガァッ!?」
縦に引き裂くようにそのまま振りぬく。
「終わりだ!」
断末魔との叫びと共に、リーダー格の戦士型が倒れる。
体躯のせいだろう。倒れる時には風が舞った。
風のせいだろうか、戦闘で熱を帯びた頭がほんの少し冷静さを取り戻した。
どれだけ戦ったのだろうか。
周囲を見渡すと、モンスターどもが消え去った(奴らは絶命して数秒すると消え去るらしい)おかけで、騒ぎは早くも収束しつつあった。
「ここは……ひとまず大丈夫か」
拳でこめかみの汗を拭う。
あいかわらず状況はよくわからない。
これが夢なのか現実なのか。
夢なら別にどうなってもいいが、もし万が一現実であったならば、わざと殺されてやる義理はない。
ひとつの仮説が、俺の脳内で組みあがっていた。
俺は転生したのだ。
あの下らない生活から、この物々しいファンタジー世界に!
突拍子もない話ではあるが、現に均整の取れた若い肉体と、ファンタジックな武装とモンスターの存在を見る限り、そう帰結する。
そう思うと、全身に活力がみなぎる。
いいじゃないか、この世界。
とてもいいぞ、この身体は!
「あの……隊長」
俺が一人でひそかに盛り上がっている中、女性の隊員が話しかけてくる。
知らないはずの人物だが、レオは……俺は知っている。部下の一人だった。
俺の、部下。
俺の、小隊。
急速に思い出した記憶に若干の頭痛を感じながらも、答える。
「なんだ」
なるべく冷静さを装いながら、短く応えた。
「新たな命令が届きました。すぐに皇帝陛下をお守りせよと」
「皇帝陛下か」
言われたことを復唱しているのは、思い出すためであり、その時間稼ぎのためだった。
偉大なる帝国の皇帝陛下。名前は……まあ、今はどうでもいい。
そして、俺はそいつに仕えている。形式上は、間違いなく。
「今、どこにおられるのか、わかるか?」
「その……憶測になりますが、あれだと思います」
隊員が指したのは、少し不自然なまでに兵士と騎士が密集したところだった。
……確かに、あれだろうな。
ずいぶんとわかりやすいな。逆に敵から狙われやすいんじゃないのか。
とはいえ、少し遠くではまだまだ戦闘が続いている。
まあ、用心するのは当然とも言えるか……。
何はともあれ、命令を受けてしまった以上はやるしかない。
「わかった、ありがとう」
女性隊員に礼を言って、部隊を彼らに近付けようとした時だった。
「……え?」
隊員は、意外そうに俺を見返してきていた。
「ん?……どうした?」
「い、いえ!と、とんでもないっ!」
顔を真っ赤にして、その隊員は走るように引き下がった。
違和感がある。ありまくる態度だった。
そして、隊員が引き下がった先の、俺の部隊にも違和感がある。
体格と髪型、そしてそこから聞こえる声のトーン。
(俺の部隊……女性しかいない、のか?)
見える限り、全員が女性に見える。
いや、後ろに隠れて男性もいるんだろう多分。
しかしそれにしても、とんでもない女性率の高さだ。
(……転生前の俺は、もしかしたら変態だったのかもしれんな)
セクハラやモラハラには気を付けないといけないな。
そう思った時だった。
空中に、青白く光る人間が浮かんでいるのを見つけた。
そいつは、俺の方を見て、嫌な笑みに顔を歪ませた。
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