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悪戯⑴
しおりを挟む下腹部から緩い快感と体温を感じ、むず痒さで瞼を開ける。
眠りから覚めたばかりの薄らぼんやりとした思考で何が起きているのか探ろうと、眉を寄せて瞬きを何度かする。下半身に目をやると人影が見える。
ベッドヘッドに置いたと記憶していた眼鏡を片手で探り、自身の視界を明瞭にする。
レンズ一枚隔てた先に居たのは、俺のペニスを半開きの口でいやらしく咥えていた弟だった。
「……何やってんだよ、孝行」
そう溢すと俺の下腹部で悪戯をしていた顔がこちらを向く。
俺が目覚めた事にさほど驚いていないらしい弟は、俺と目線が合っても「ひいひゃん」と口元をもごつかせるだけだった。
弟の舌が俺のゆるく勃ち上がったペニスの裏筋を撫でる。明確な刺激に否が応でも反応してしまい、熱い息を溢すと、それを見て弟は満足そうに目を細めた。弟の温かな口内と、上顎のぬめついた感覚に更に血が集まるのを感じる。
一体どうしたんだこいつは。
普段は基本的に俺から誘って行為をしているので、弟から積極的に動かれている事実に面食らう。
弟は一旦口からペニスを抜き出し、舌をべ、と出して「苦い」と溢した。
俺の先走りを舐めたのだろう。苦いなら中断すれば良いものを、弟は懲りずに再度俺のペニスを口に含もうと緩く口を開けた。
俺は上半身を起こして、見せもの小屋の中を興味津々で覗く客のように、弟の行為を眺めた。
孝行から主体的に性的な行為をするなんて、今まで全くなかった。
これからその機会が訪れるかも分からなかったので、この光景を目に焼き付けておこうと彼の行動をじっとりと見つめる。
孝行は俺の陰毛をくすぐったそうにしながら顔を埋めて、今度は根元までペニスを咥え込んだ。
少し苦しそうにしながらも、舌先で巧みに俺の裏筋をチロチロと舐め回す。
最初に彼にフェラチオを頼んだときは、戸惑いながらおぼつかない様子で口に含んでいたのに、今となってはそこらの女よりも手練れている。
自分が孝行をそうさせたという事実を認識し、目を細めて彼の卑猥な行動を観察する。
ぐぽぐぽと淫靡な水音を響かせながら、顔を上下に動かして必死に俺のソレに奉仕をしている。あまりにもいやらしい光景なのに、当の弟はライブ中と変わらない様子で額に汗をかいて頬を高揚させながら素朴な顔で俺のペニスを咥えている。
そのミスマッチさに更に煽られて下半身へ熱が籠る。
弟は膨らみを増した俺のペニスに少し目を見開いて、ゆっくりと口元を上へ持って行き、鈴口を舌でペロペロと舐め始めた。
敏感な部分をこそばゆい刺激が襲い、鼻から息が漏れる。俺が感じているのが嬉しいらしく、孝行はニヤと目を細めて更に右手で俺の陰嚢を揉みしだいた。
より直接的な快感に口から微かな声が漏れる。
下半身に血が集まって、己の限界が近いことを訴えていた。
「た、かゆき……っ、やめろ……もう…っ」
「ひいひゃん…、ひっていいよ」
孝行の舌が鈴口の上を滑るのを感じながら、右手で彼の頭を押しのけようとする。
が、弟は俺の腰に腕を回して、ペニスを更に口の奥深くへ誘い込んだ。
口内の滑りに耐えられなくなって、俺は孝行の口の中へ白濁を注ぎ込んだ。
弟の髪を鷲掴みながら、下半身から溢れ出す快感に身を委ねる。
弟は苦しそうにしながらも、俺の精液を必死に喉奥に注ぎ入れ、嚥下した。
それから何度か瞬きをして、熱に浮かされた顔で俺の萎えたペニスを口から吐き出した。
そうしてまた「苦い」と溢した。
そんな弟の様子を荒い息を溢しながら見つめる。お前さ、と言葉を吐いた。
「こういうの、どこで覚えてくるわけ?」
「ん~~……」
ないしょ、と答えを明確にしない弟に苛立ち、眉を顰める。俺のそんな様子に何が楽しいのか、彼は更に満足げにしていた。
孝行はそのまま自分のズボンとパンツを脱ぎ捨て、俺の脚の上に跨った。
「おい、いきなり入れると」
「大丈夫だよ、ほぐしてあるし」
素朴な口元から放たれた言葉に目を丸くする。
当たり前のように言うが、自分が何を言ってるのか分かってるのか?こいつは。
戸惑った俺に気を良くしたらしい弟は、そのまま俺の萎えたペニスを軽く扱いて、自分の後孔の中へ誘い入れた。ほぐしてあると言った通り、そこは既にぬめついていて十分にローションで浸されていた。
イったばかりのペニスに更に刺激を与えられて、また口から声が漏れ出る。
まるでいつもの仕返しだと言わんばかりに目の前の男はニヤリと口角を上げた。
「兄ちゃん、俺がもっとよくしてあげる」
バツバツと肉と肉がぶつかる音がする。
部屋中に二人分の荒い呼吸が飽和して、窒息してしまいそうな感覚に陥った。
孝行は手慣れた様子で腰をくねらせ、自分のアナルへと俺のペニスを抽送する。
手練れの女のように俺の上で脚を広げて身体を舞わせる弟を見て、眩暈がするほど興奮した。
弟は額から垂れる汗も構わず、必死に腰を上下させて俺を高みへと向かわせる。
時折弟の熱の籠った目とかち合って、その度に自分の中の情欲が膨れるのを感じた。
俺の良いところを知り尽くしているらしく、弟の中と俺のペニスが噛み合うように擦れ合い、快感が徐々に襲い掛かってくる。
ローションで浸された体内と絶頂したばかりの敏感な自身では我慢など出来るはずもなく、孝行の中で再度絶頂した。
度重なる吐精に息を荒くしている俺を見据えて、弟は目を細めて「兄ちゃん、かわいい」と呟きキスを落とした。
俺を手籠めしている感覚に高揚しているのか、弟はいつもより頬を紅く染めて俺に挑発的に微笑んだ。
彼の下半身を見やると、屹立がそそり立って先走りを俺の腹に零している。
垂れた先走りを左手で掬い上げて、そのまま奴のペニスを辿り先端に塗り込んでやると、弟は微かな喘ぎ声を漏らして体を震わせた。
「こっち、触ってないのに凄いな」と挑発をし返すと、弟は快感に染まりかけた瞳を気丈に奮って「兄ちゃんのだって、また元気になってるじゃん」と腰を緩く動かした。
彼の中の暖かでぬめついた感触に、また熱い息が零れる。
普段と違うゲームの始まりに胸の高なりを感じる。
目を細めて弟のペニスを軽く握り、緩いストロークで扱いてやる。
弟は鼻から細やかな息を吐きながら、腰を前後に動かしてアナルの中にある俺のペニスを緩く締めつけた。
俺のソレにまた快感を与えようと揺り動かしているみたいだが、彼のペニスへ直接的に与えられる刺激に感じているようで、腰の動きが段々と弟自身の快感を逃すような動きになる。
そんな弟が愛おしくて、更に手の動きを早くして快感を与えてやる。
弟は眉を曲げながら、鼻から更に息を溢すようになった。
時折くぐもった声を口から響かせて、腰をいやらしくくねらせていた。
その動きは俺を高みへもたらすための動きではなく、自分のアナルで快感を得るための動きに変わっていて、含み笑いが喉からこぼれる。
「う……ん……んぅ……っ」
限界まで追い込まれた弟に手を差し伸べるかのように、彼のペニスを攻め立てて同時に親指の腹で裏筋をなぞる様にストロークした。
孝行は背中をぐっと丸めたかと思うと、口から荒い息と微かな嬌声を響かせて、白濁をどくどくと俺の腹に吐き出した。
後ろでもイったらしく、背中をびくびくと痙攣させてアナルを収縮させている。
しばらく背中で呼吸を整えたと思うと、弟は手を震わせながら、なんとか腰を持ち上げた。
少し上下するが、快感で力が入らないのかすぐにまたへたり込んでしまう。
「……よくしてくれるんじゃなかったのか?」
口角を上げながらそう呟くと、熱に浮かされた瞳でじろりと睨まれた。
しばらく待ってみるが、弟は荒い呼吸をしながら少しも動けずにいる。
弟の前髪が汗で額に張り付く。彼の瞳を見つめると、いつものセックスで彼が見せる被虐的な色が垣間見えて、にやつくのが止められなかった。
たかゆき、と小さく口を動かし彼を唆す。
彼の期待に浸された瞳と目が合う。
「今度は俺がしてやろうか」
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