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第16話 交わる想い
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並木道でオスカーを待つリディアの横にジュリアンがやって来た。
彼は最近、気がつくとそばにいる事が多い。
それが自然なことのように思えてしまう自分に、戸惑いを覚えていた。
リディアはずっと気になっていた事を尋ねた。
「以前、あなたは私を助ける理由があると言っていましたが、あれはどういう意味ですか。」
ジュリアンの瞳がわずかに揺れ、すぐに落ち着いた光を帯びる。
「その理由を、聞いてもいいかしら」
彼は少しだけ視線を落とし、短く息を吐いた。
「俺がまだ幼かった頃、“腹違いの子”として周囲からは距離を置かれ、誰も近づこうとせず孤独だった。そんなとき、あなたは俺をただの“ジュリアン”として扱って、優しく話しかけてくれた。」
「そんなことが。」
リディアはかすかに眉を寄せた。そんな記憶が自分には無い。
が、彼の眼差しは真実を告げていた。
「俺にとって、初めての救いだった。それは今も忘れる事なく変わらない。」
ジュリアンの声は穏やかだが、芯のある響きを持っていた。
リディアは返す言葉を探したが、すぐには見つからなかった。
胸の奥がわずかに温かくなる。そんな感覚は初めてだった。
「そう。理由はわかりましたわ」
それだけ告げると、リディアはわずかに視線を逸らした。
しかしその横顔には、ほんの少しだけ警戒が解けた色が宿っていた。
少し離れた木の影で、リディアを迎えに来たオスカーは二人の会話を最後まで聞き届けていた。
無論、主の身を案じてのことだ。
今のやり取りに嘘や打算は感じられなかった。
(なるほど。少なくとも、あの目は偽りではなかったのだな)
完全に信じたわけではない。だが僅かに、ジュリアンを疑う気持ちが薄れたのも事実だった。
木陰を離れる彼の背筋は、いつもよりわずかに柔らかい。
屋敷に戻ったリディアは、自室で着替えを済ませると、控えていたオスカーを呼び止めた。
「ジュリアン殿下が、なぜ私に力を貸してくれるのかは分かりました」
オスカーは静かに頷く。
「さようでございますか」
「ですが、クラリッサ嬢は、どうして私のために動いてくれているのでしょう。
彼女とは、特に深い交流もなかったはずです」
オスカーは一拍置き、わずかに眉を寄せた。
「実は、以前から彼女の動きを見ておりました。学園での騒動のあと、彼女は不自然なほどあなたに敵対的な噂を信じませんでした。それどころか、周囲の証言を自ら確かめようとしていた」
「証言を?」
「はい。そして、その過程で、私に接触してきました。彼女はリディア様に助けられた事があり、一方的に断罪することに疑問を抱いていたのです」
リディアは目を瞬かせる。そんな事があっただろうか。
「では、彼女は善意で?」
「必ずしも、それだけとは限りません。好奇心、あるいは真実を知りたいという性分かもしれませんが少なくとも、敵ではないでしょう」
オスカーはそこで一度視線を落とし、すぐに戻した。
「それと、ジュリアン殿下の側にいるオーリスという青年。彼はジュリアン殿下の友人で、殿下の動きに呼応している様子ですが、今はまだ明確な目的は掴めません。が、少なくともこの二人が協力関係にあるのは間違いありません」
リディアは静かに息をつき、ほんの少しだけ口元を緩めた。
「少し頼っても良さそうですね。」
オスカーは短く頷いた。その瞳には依然として警戒の色が宿っていたが、主の言葉を否定することはなかった。
彼は最近、気がつくとそばにいる事が多い。
それが自然なことのように思えてしまう自分に、戸惑いを覚えていた。
リディアはずっと気になっていた事を尋ねた。
「以前、あなたは私を助ける理由があると言っていましたが、あれはどういう意味ですか。」
ジュリアンの瞳がわずかに揺れ、すぐに落ち着いた光を帯びる。
「その理由を、聞いてもいいかしら」
彼は少しだけ視線を落とし、短く息を吐いた。
「俺がまだ幼かった頃、“腹違いの子”として周囲からは距離を置かれ、誰も近づこうとせず孤独だった。そんなとき、あなたは俺をただの“ジュリアン”として扱って、優しく話しかけてくれた。」
「そんなことが。」
リディアはかすかに眉を寄せた。そんな記憶が自分には無い。
が、彼の眼差しは真実を告げていた。
「俺にとって、初めての救いだった。それは今も忘れる事なく変わらない。」
ジュリアンの声は穏やかだが、芯のある響きを持っていた。
リディアは返す言葉を探したが、すぐには見つからなかった。
胸の奥がわずかに温かくなる。そんな感覚は初めてだった。
「そう。理由はわかりましたわ」
それだけ告げると、リディアはわずかに視線を逸らした。
しかしその横顔には、ほんの少しだけ警戒が解けた色が宿っていた。
少し離れた木の影で、リディアを迎えに来たオスカーは二人の会話を最後まで聞き届けていた。
無論、主の身を案じてのことだ。
今のやり取りに嘘や打算は感じられなかった。
(なるほど。少なくとも、あの目は偽りではなかったのだな)
完全に信じたわけではない。だが僅かに、ジュリアンを疑う気持ちが薄れたのも事実だった。
木陰を離れる彼の背筋は、いつもよりわずかに柔らかい。
屋敷に戻ったリディアは、自室で着替えを済ませると、控えていたオスカーを呼び止めた。
「ジュリアン殿下が、なぜ私に力を貸してくれるのかは分かりました」
オスカーは静かに頷く。
「さようでございますか」
「ですが、クラリッサ嬢は、どうして私のために動いてくれているのでしょう。
彼女とは、特に深い交流もなかったはずです」
オスカーは一拍置き、わずかに眉を寄せた。
「実は、以前から彼女の動きを見ておりました。学園での騒動のあと、彼女は不自然なほどあなたに敵対的な噂を信じませんでした。それどころか、周囲の証言を自ら確かめようとしていた」
「証言を?」
「はい。そして、その過程で、私に接触してきました。彼女はリディア様に助けられた事があり、一方的に断罪することに疑問を抱いていたのです」
リディアは目を瞬かせる。そんな事があっただろうか。
「では、彼女は善意で?」
「必ずしも、それだけとは限りません。好奇心、あるいは真実を知りたいという性分かもしれませんが少なくとも、敵ではないでしょう」
オスカーはそこで一度視線を落とし、すぐに戻した。
「それと、ジュリアン殿下の側にいるオーリスという青年。彼はジュリアン殿下の友人で、殿下の動きに呼応している様子ですが、今はまだ明確な目的は掴めません。が、少なくともこの二人が協力関係にあるのは間違いありません」
リディアは静かに息をつき、ほんの少しだけ口元を緩めた。
「少し頼っても良さそうですね。」
オスカーは短く頷いた。その瞳には依然として警戒の色が宿っていたが、主の言葉を否定することはなかった。
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