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第八章理事会前夜
第八章第二十二節(変節1)
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二十二
「我が国が聯盟の圧迫に屈して民国側の主張通り“撤兵”を先行させれば、これにともなう満洲の混乱はしばらく置くとするも、華人はあたかも日本に勝ったといってさらに傍若無人な態度を取ってくるに違いない。そうなれば帝国の威信は失墜し、延いては朝鮮統治にも重大な悪影響を及ぼす」
「現在の中華民国を普通の“弱国”とみなすべきではない。世界平和の基礎である諸条約を組織的に破棄しようとする『ボリシェビキ』的な外交政策により、排外運動その他の悪辣な方法で無謀な主張を押し通そうとしている。帝国はじめ列国はかえってその被害者である」
「今回の問題は聯盟にとって所詮、事務局員の粗相に基づく体面の問題に過ぎない。(中略)帝国にとっては実に死活問題である。いかなる犠牲を払おうとも、これまでの主張を貫徹するほかにない」
さて、これらはいったい誰の発言だろうか?
関東軍司令官か? はたまた右翼の大物か……。
誰あろう幣原外務大臣が十二日付で芳澤へ送った「事変処理に関する政府方針」からの抜粋である。わずか三カ月前、『ウィルソンの十四箇条』を挙げて満洲青年聯盟の遊説団を門前払いにしたとは思えないほどの反聯盟、国粋主義ぶりではないか。
「軟弱外交」とのそしりを受けながらも、聯盟を軸とした「国際協調体制」を信奉してきた外務大臣幣原喜重郎は、最大の国難に際して政治家としての信条を曲げたのだ。
これ以降、少なくとも第二次世界大戦が終結するまで、この人物の政治生命は失われることになる。
「我が国が聯盟の圧迫に屈して民国側の主張通り“撤兵”を先行させれば、これにともなう満洲の混乱はしばらく置くとするも、華人はあたかも日本に勝ったといってさらに傍若無人な態度を取ってくるに違いない。そうなれば帝国の威信は失墜し、延いては朝鮮統治にも重大な悪影響を及ぼす」
「現在の中華民国を普通の“弱国”とみなすべきではない。世界平和の基礎である諸条約を組織的に破棄しようとする『ボリシェビキ』的な外交政策により、排外運動その他の悪辣な方法で無謀な主張を押し通そうとしている。帝国はじめ列国はかえってその被害者である」
「今回の問題は聯盟にとって所詮、事務局員の粗相に基づく体面の問題に過ぎない。(中略)帝国にとっては実に死活問題である。いかなる犠牲を払おうとも、これまでの主張を貫徹するほかにない」
さて、これらはいったい誰の発言だろうか?
関東軍司令官か? はたまた右翼の大物か……。
誰あろう幣原外務大臣が十二日付で芳澤へ送った「事変処理に関する政府方針」からの抜粋である。わずか三カ月前、『ウィルソンの十四箇条』を挙げて満洲青年聯盟の遊説団を門前払いにしたとは思えないほどの反聯盟、国粋主義ぶりではないか。
「軟弱外交」とのそしりを受けながらも、聯盟を軸とした「国際協調体制」を信奉してきた外務大臣幣原喜重郎は、最大の国難に際して政治家としての信条を曲げたのだ。
これ以降、少なくとも第二次世界大戦が終結するまで、この人物の政治生命は失われることになる。
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