風紋(Sand Ripples)~あの頃だってそうだった~

宗像紫雲

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第十五章リース=ロスの幣制改革

第十五章第十二節(座談会2)

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                 十二

 座談会は三月四日、虹口ホンキュウの日本人クラブで催された。出席したのは次のメンバーだ。
 
 満鉄上海事務所長    石井成一
 商務領事        岩井光次郎
 朝鮮銀行上海支店長   服部岱三
 住友合資上海支店長   田路瞬哉
 日清汽船専務      米里紋吉(上海日本人商工会議所会頭)
 四菱銀行上海支店長   古田政治(副会頭)
 日華紡績社長      田邊輝雄
 三井物産上海支店長   卜部卓江
 日本郵船上海支店長   山本武夫(上海市参事会員)
 在華日本紡績同業会総務 船津辰一郎
 台湾銀行上海支店長   平野麟三
 裕豊紡績常務      菱田逸次
 
 これをまとめた紙面には五つの議題が設けられ、計五回の連載となった。

 「一、民国の内外貿易状況
  二、金融のひっ迫
  三、日華の経済関係
  四、在華紡績の将来
  五、結論」
 
 連載一回目は米里が口火を切った。

 「一九三四年の対外貿易は、輸入が約十億二千九百万元で、三三年比二十四%減、三二年比では三十七%、三一年比で五十三%それぞれ減少。輸出は約五億三千五百万元で、それぞれ十二%、三十%、六十二%減少(三十一年分は満洲を含む)している。
 国内の移出入も、三一年に約二十五億二百万元あったのが、三二年は約二十二億五百万元、三三年約十九億六千七百万元と、内外貿易は減少の一途である」

 米里は貿易統計の数字を並べて景気の減速基調を確認した。そのうえで「民国政府は景気減速の原因を世界不況に求めるが、世界経済は徐々に好転しつつある」と、民国経済の“独り負け”を指摘した。
 米里によればその要因は、「天災や農村の疲弊、共産匪、土匪、軍閥の苛斂誅求」に問題があるという。この発言に商務領事の岩井が「外的要因では銀問題が欠かせない」と合いの手を入れた。
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