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目の前に広がるのは、コンビニで購入した弁当だ。
味気なさよりも手軽さが勝利し、一人暮らしを始めて約二年、毎日のようにお世話になっている。
「……寒くなってきたねぇ」
カーディガンの長い袖を更に引っ張り、ぽつり、空を仰ぎながら声を落としたのは九十九《つくも》穂積《ほずみ》だ。
穂積とは専攻も学年も違うが、仲の良い先輩である。
写真専攻と言うだけあって、常にカメラを常備していた。
昼食時には頻繁にシャッターが切られ、見せて貰う写真の多くが笑顔で飾られている。
おっとりとした性格で、彼の周りにはいつも緩い空気が流れていた。
容姿は、左目を覆う綺麗な銀の髪と、穏やかな瞳が印象的だ。友人の中で一人、飛びぬけて背が高い。
「そうだね、秋らしくなってきたね」
自作弁当の卵焼きを箸で摘みながら、相槌を打ったのは相澤《あいざわ》和月《かづき》だった。
和月も先輩で、穂積共々四年生である。
和月とは、大学で出会うよりも先に、今も勤めているバイト先の焼肉屋で知り合った。
聞いた話、大学費から生活費まで自ら賄っているらしく、随分節約上手なのだそうだ。
本人曰く、赤茶髪の髪は地毛らしい。左目の下に少し目立つ泣きぼくろがあるが、気にしているのか髪で隠れがちだった。
その和月の膝枕で昼寝をしているのが、香道《こうどう》日向《ひなた》だ。
掴み所がなく、何を考えているか不明な部分がありながら、人懐っこい一面も持っている。
起きている時も常に眠そうな彼だが、親戚にアメリカ人が居るらしく、意外にも英語が得意だ。
その為、英語が苦手な白都は、後輩でありながらもよく教わっていた。
空気感のあるふわりとした髪に、右耳のピアスが目立つ。
「白都さん! さっきの授業なんですけど……!」
ぱっと明るい笑顔で合同授業を振り返ったのは、設楽《したら》侑也《ゆうや》、正真正銘の後輩である。
同じ演劇専攻で、現在二年生だ。
黒髪短髪の好青年で、常に明るく溌剌としている。しかも素直で邪気が無く、子どもの純粋さを持ったまま成長したような雰囲気を持っていた。
パーカーを好んでいるのか、派手な色のフードが付きパーカーをよく着ている。
因みに合同授業と言うのは、この学校独特の文化で、学年関係なく同じ場で授業を受けるシステムである。学ぶ部分、実践箇所が学年によって異なった。
時には一緒になって物事を成したり計画したりと、一心になり授業することもある。
購買のパンを齧りながら、静かに周囲の会話を聞いている彼は、九条《くじょう》帝《みかど》。
専攻は違うが白都と同学年で、小さい頃からいつも近くに居た――いわゆる幼馴染だ。
同じ大学を志願し、切磋琢磨した。親元を離れ、環境が変わった今も、同じアパートの上下階で生活している。
艶のある黒髪と黒淵の眼鏡が、ストイックさと寡黙さを際立たせる。その見た目通り、冷静沈着で言葉少ないが、いざと言う時とても頼りになる存在だ。
初めは帝と二人、春先の寒い時期に温かい場所を求め、屋上に遣って来たのが始まりだった。
そこで和月と会い、同じ大学だと知った。共に居た穂積が一緒に食べないかと声をかけてきて、二人と共に食事するようになった。因みに、穂積と和月は幼馴染だそうだ。
その一年後に和月の後輩として日向が、白都の後輩として侑也が加わった。
初めはぎこちなかった空気も、すぐに緩和され、今や昼食時に屋上へ集合するのはルーティンのようなものである。
する話と言えば、授業内容についてや、私生活で起きた面白話などの、他愛ない会話ばかりだった。
そんな、消えてゆくような話題ばかりではあったが、それでも安らげる時間であることに変わりは無かった。
楽しかった。彼らとの時間が、何より楽しかった。
味気なさよりも手軽さが勝利し、一人暮らしを始めて約二年、毎日のようにお世話になっている。
「……寒くなってきたねぇ」
カーディガンの長い袖を更に引っ張り、ぽつり、空を仰ぎながら声を落としたのは九十九《つくも》穂積《ほずみ》だ。
穂積とは専攻も学年も違うが、仲の良い先輩である。
写真専攻と言うだけあって、常にカメラを常備していた。
昼食時には頻繁にシャッターが切られ、見せて貰う写真の多くが笑顔で飾られている。
おっとりとした性格で、彼の周りにはいつも緩い空気が流れていた。
容姿は、左目を覆う綺麗な銀の髪と、穏やかな瞳が印象的だ。友人の中で一人、飛びぬけて背が高い。
「そうだね、秋らしくなってきたね」
自作弁当の卵焼きを箸で摘みながら、相槌を打ったのは相澤《あいざわ》和月《かづき》だった。
和月も先輩で、穂積共々四年生である。
和月とは、大学で出会うよりも先に、今も勤めているバイト先の焼肉屋で知り合った。
聞いた話、大学費から生活費まで自ら賄っているらしく、随分節約上手なのだそうだ。
本人曰く、赤茶髪の髪は地毛らしい。左目の下に少し目立つ泣きぼくろがあるが、気にしているのか髪で隠れがちだった。
その和月の膝枕で昼寝をしているのが、香道《こうどう》日向《ひなた》だ。
掴み所がなく、何を考えているか不明な部分がありながら、人懐っこい一面も持っている。
起きている時も常に眠そうな彼だが、親戚にアメリカ人が居るらしく、意外にも英語が得意だ。
その為、英語が苦手な白都は、後輩でありながらもよく教わっていた。
空気感のあるふわりとした髪に、右耳のピアスが目立つ。
「白都さん! さっきの授業なんですけど……!」
ぱっと明るい笑顔で合同授業を振り返ったのは、設楽《したら》侑也《ゆうや》、正真正銘の後輩である。
同じ演劇専攻で、現在二年生だ。
黒髪短髪の好青年で、常に明るく溌剌としている。しかも素直で邪気が無く、子どもの純粋さを持ったまま成長したような雰囲気を持っていた。
パーカーを好んでいるのか、派手な色のフードが付きパーカーをよく着ている。
因みに合同授業と言うのは、この学校独特の文化で、学年関係なく同じ場で授業を受けるシステムである。学ぶ部分、実践箇所が学年によって異なった。
時には一緒になって物事を成したり計画したりと、一心になり授業することもある。
購買のパンを齧りながら、静かに周囲の会話を聞いている彼は、九条《くじょう》帝《みかど》。
専攻は違うが白都と同学年で、小さい頃からいつも近くに居た――いわゆる幼馴染だ。
同じ大学を志願し、切磋琢磨した。親元を離れ、環境が変わった今も、同じアパートの上下階で生活している。
艶のある黒髪と黒淵の眼鏡が、ストイックさと寡黙さを際立たせる。その見た目通り、冷静沈着で言葉少ないが、いざと言う時とても頼りになる存在だ。
初めは帝と二人、春先の寒い時期に温かい場所を求め、屋上に遣って来たのが始まりだった。
そこで和月と会い、同じ大学だと知った。共に居た穂積が一緒に食べないかと声をかけてきて、二人と共に食事するようになった。因みに、穂積と和月は幼馴染だそうだ。
その一年後に和月の後輩として日向が、白都の後輩として侑也が加わった。
初めはぎこちなかった空気も、すぐに緩和され、今や昼食時に屋上へ集合するのはルーティンのようなものである。
する話と言えば、授業内容についてや、私生活で起きた面白話などの、他愛ない会話ばかりだった。
そんな、消えてゆくような話題ばかりではあったが、それでも安らげる時間であることに変わりは無かった。
楽しかった。彼らとの時間が、何より楽しかった。
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