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白都は自然と、皆と距離を置くようになっていた。レポートに手こずっているとアピールし、笑顔で交友を避ける。
ここ数日の間、御面からも帝からも連絡は来ていない。唯一、何一つ知らない日向からレポートの手伝いを申請するメールが入ったくらいだ。
白都は今現在、日向のその気遣いを受け取るか否か悩んでいた。
忙しさの理由をレポート作成にしてしまった以上、大丈夫だと断るのは可笑しいかもしれない。
いつも通り教わり、日向が眠るくらいなら大丈夫だろう、と白都は優しさを受け取ることにした。
***
大学を終え帰宅すると、日向は既に扉の前にいた。扉に背を預け、若干俯き気味に地上を眺めている。
「日向くん早いね……!」
「…………えっと……僕の方が終わるの早いんでした……」
どうやら連絡不足が原因で早くに着いてしまったらしい。日向は、寒いのか小刻みに震えている。
「ごめん待たせたね、入って」
鍵を開け、扉を開き、玄関へ誘導する。
この時、携帯電話が鳴ったが、上着を脱いでいた白都はそれに気が付かなかった。
「大丈夫? 随分冷えた?」
「……僕、寒そうにしていますか……?」
素直に足を踏み出した日向は、蒼い顔をしていた。だが、当人に自覚は無いらしく首を傾げる。
「うん……」
靴を脱ぎ、隣り合って廊下を歩く。リビングの扉を開けたとき、急に日向が蹲った。
以前、道であった時と似た状況ではあったが、それでも驚き困惑してしまう。日向本人も驚いた顔をしていた。
「…………ごめんなさい……」
更に俯いた日向の表情は見えない。だが、か細い声が辛さを物語っている。
「え、いや、ううん、大丈夫? また寝不足?」
「…………はい」
それでもこうして赴いてくれたのは、きっと彼なりの優しさなのだろう。それか、寝不足の自覚が今の今まで無かったのかもしれない。
「先に眠る?」
「…………良いですか……?」
顔を上げた日向の瞳は、寂しげな光を宿していた。
座り込んだことで、一先ず回復した日向を連れリビングに入る。膝を貸すと、日向は直ぐに寝入ってしまった。
静かな寝息を立て、すっかり眠ってしまった日向を見ていると、急に胸が痛くなる。
御面との日々が始まり色々とあったが、日向だけは何も変わっていない気がする。
いや、穂積も和月も本人に大した変化は無いのだが、御面との遭遇によって変わってしまった部分に――――不審な様子に気付いている気配はある。
日向も勘付いてはいるようだが、深く関わろうとしないからか変わらないように見える。
「…………安斎さん」
「な、何!?」
熟睡中だと思っていた日向から声が掛けられ、白都は一驚した。日向は横向きで目を閉じ、口元に手を寄せたまま話を続ける。
「……僕、ずっと一人ぼっちだったんです……」
「……え?」
「…………小さい頃から親が構ってくれなくて一人ぼっちで……叔父さんのとこ来てからも、ずっとずっと一人で……だから友達が出来て嬉しかったんです……皆が居てくれて嬉しかったんです……なのに僕は…………」
珍しく饒舌な日向の台詞は、重く圧し掛かる何かを含んでいた。それが何かは分からなかったが、酷く重々しいことだけは分かる。
日向の目尻を雫が伝い、白都の膝に染みた。
「…………ごめんなさい……」
白都は謝罪の意味が分からず、絶句するしかなかった。
ここ数日の間、御面からも帝からも連絡は来ていない。唯一、何一つ知らない日向からレポートの手伝いを申請するメールが入ったくらいだ。
白都は今現在、日向のその気遣いを受け取るか否か悩んでいた。
忙しさの理由をレポート作成にしてしまった以上、大丈夫だと断るのは可笑しいかもしれない。
いつも通り教わり、日向が眠るくらいなら大丈夫だろう、と白都は優しさを受け取ることにした。
***
大学を終え帰宅すると、日向は既に扉の前にいた。扉に背を預け、若干俯き気味に地上を眺めている。
「日向くん早いね……!」
「…………えっと……僕の方が終わるの早いんでした……」
どうやら連絡不足が原因で早くに着いてしまったらしい。日向は、寒いのか小刻みに震えている。
「ごめん待たせたね、入って」
鍵を開け、扉を開き、玄関へ誘導する。
この時、携帯電話が鳴ったが、上着を脱いでいた白都はそれに気が付かなかった。
「大丈夫? 随分冷えた?」
「……僕、寒そうにしていますか……?」
素直に足を踏み出した日向は、蒼い顔をしていた。だが、当人に自覚は無いらしく首を傾げる。
「うん……」
靴を脱ぎ、隣り合って廊下を歩く。リビングの扉を開けたとき、急に日向が蹲った。
以前、道であった時と似た状況ではあったが、それでも驚き困惑してしまう。日向本人も驚いた顔をしていた。
「…………ごめんなさい……」
更に俯いた日向の表情は見えない。だが、か細い声が辛さを物語っている。
「え、いや、ううん、大丈夫? また寝不足?」
「…………はい」
それでもこうして赴いてくれたのは、きっと彼なりの優しさなのだろう。それか、寝不足の自覚が今の今まで無かったのかもしれない。
「先に眠る?」
「…………良いですか……?」
顔を上げた日向の瞳は、寂しげな光を宿していた。
座り込んだことで、一先ず回復した日向を連れリビングに入る。膝を貸すと、日向は直ぐに寝入ってしまった。
静かな寝息を立て、すっかり眠ってしまった日向を見ていると、急に胸が痛くなる。
御面との日々が始まり色々とあったが、日向だけは何も変わっていない気がする。
いや、穂積も和月も本人に大した変化は無いのだが、御面との遭遇によって変わってしまった部分に――――不審な様子に気付いている気配はある。
日向も勘付いてはいるようだが、深く関わろうとしないからか変わらないように見える。
「…………安斎さん」
「な、何!?」
熟睡中だと思っていた日向から声が掛けられ、白都は一驚した。日向は横向きで目を閉じ、口元に手を寄せたまま話を続ける。
「……僕、ずっと一人ぼっちだったんです……」
「……え?」
「…………小さい頃から親が構ってくれなくて一人ぼっちで……叔父さんのとこ来てからも、ずっとずっと一人で……だから友達が出来て嬉しかったんです……皆が居てくれて嬉しかったんです……なのに僕は…………」
珍しく饒舌な日向の台詞は、重く圧し掛かる何かを含んでいた。それが何かは分からなかったが、酷く重々しいことだけは分かる。
日向の目尻を雫が伝い、白都の膝に染みた。
「…………ごめんなさい……」
白都は謝罪の意味が分からず、絶句するしかなかった。
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