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続いて白都は、履歴に残されていた電話番号から、とある人物にかけていた。帝だ。
ただ彼の場合、不自然なタイミングでの面会を御面に見られては困るので、電話で淡々と告げるつもりだ。
帝の反応に合わせた回答を、一字一句全て用意し、万全の体勢で挑む。
心が張り詰めた状態で待機していたが、帝の応対はなかった。最終的には留守番電話サービスに切り替わり、ピーという発信音が鳴る。
白都は少し安堵しつつ、一番伝えたかった要点だけを短い時間の中に残した。
[帝ごめん、急だけどもう御面の件には関わらないでほしいんだ。忘れてほしいんだ。知らない振りをしてほしいんだ。ごめん、帝の為なんだ。あ、でも、出来るなら今までのように接してくれると嬉しいな。この留守電は聞いたら直ぐ消して下さい]
全て言い終えた白都は、電話を切り、まだ痛む足を庇いながらベッドに横たわった。
***
その頃、帝は留守電に気付かず屋上に来ていた。
とは言え帝も、昨日から姿を見せない白都を案じ、連絡を取ろうと人の少ない場所へ赴いたまでの話だ。
だがそこで、よく知る人物を発見した。
気にせず入ろうとも思ったが、その人物の行動が不審で、帝は半ば反射的にに扉の隙間から覗き込んでいた。
それは穂積だった。その手にはカッターナイフが握られている。
眼鏡によって視力が研ぎ澄まされた状態にある帝には、刃に錆びが生じているところまで見えた。
穂積は時折、周囲を警戒しては刃を出したり仕舞ったりして見詰めている。それ以上の行動へは向かわず、ただ見ているだけだ。
帝は数日前に目にした真実と、今目の前で繰り広げられている事態とを天秤にかけ、答えを手繰った。
「あれ? 何してるの?」
だが、背後からの声に遮断され、直ぐに取り繕う。階段を上って来たのは和月で、横には日向も居た。
帝は、穂積の行動を見せまいと扉を閉じる。
「……電話をかけようと思いまして」
「そっか、穂積居る……よね?」
「あぁ、はい」
「…………当たりですね……」
日向と和月の遣り取りは、まるで穂積がここにいると分かっているような口振りだった。いや、実際いる前提でやってきたのだろう。
「穂積よく一人でも屋上に来るみたいなんだよね」
頷く日向に視線を寄越した瞬間、屋上の扉が開いた。
「あれ? 皆どうしたのー?」
穂積が顔を出し、屈託の無い笑顔を咲かせる。
「迎えに来たよ。ここにいると思って」
「そっかーありがとう、ひなくんもありがとね」
「………………いいえ」
帝は、目の前で広げられる他愛ない遣り取りを見ながら、一人訝しさを抱えた。
ただ彼の場合、不自然なタイミングでの面会を御面に見られては困るので、電話で淡々と告げるつもりだ。
帝の反応に合わせた回答を、一字一句全て用意し、万全の体勢で挑む。
心が張り詰めた状態で待機していたが、帝の応対はなかった。最終的には留守番電話サービスに切り替わり、ピーという発信音が鳴る。
白都は少し安堵しつつ、一番伝えたかった要点だけを短い時間の中に残した。
[帝ごめん、急だけどもう御面の件には関わらないでほしいんだ。忘れてほしいんだ。知らない振りをしてほしいんだ。ごめん、帝の為なんだ。あ、でも、出来るなら今までのように接してくれると嬉しいな。この留守電は聞いたら直ぐ消して下さい]
全て言い終えた白都は、電話を切り、まだ痛む足を庇いながらベッドに横たわった。
***
その頃、帝は留守電に気付かず屋上に来ていた。
とは言え帝も、昨日から姿を見せない白都を案じ、連絡を取ろうと人の少ない場所へ赴いたまでの話だ。
だがそこで、よく知る人物を発見した。
気にせず入ろうとも思ったが、その人物の行動が不審で、帝は半ば反射的にに扉の隙間から覗き込んでいた。
それは穂積だった。その手にはカッターナイフが握られている。
眼鏡によって視力が研ぎ澄まされた状態にある帝には、刃に錆びが生じているところまで見えた。
穂積は時折、周囲を警戒しては刃を出したり仕舞ったりして見詰めている。それ以上の行動へは向かわず、ただ見ているだけだ。
帝は数日前に目にした真実と、今目の前で繰り広げられている事態とを天秤にかけ、答えを手繰った。
「あれ? 何してるの?」
だが、背後からの声に遮断され、直ぐに取り繕う。階段を上って来たのは和月で、横には日向も居た。
帝は、穂積の行動を見せまいと扉を閉じる。
「……電話をかけようと思いまして」
「そっか、穂積居る……よね?」
「あぁ、はい」
「…………当たりですね……」
日向と和月の遣り取りは、まるで穂積がここにいると分かっているような口振りだった。いや、実際いる前提でやってきたのだろう。
「穂積よく一人でも屋上に来るみたいなんだよね」
頷く日向に視線を寄越した瞬間、屋上の扉が開いた。
「あれ? 皆どうしたのー?」
穂積が顔を出し、屈託の無い笑顔を咲かせる。
「迎えに来たよ。ここにいると思って」
「そっかーありがとう、ひなくんもありがとね」
「………………いいえ」
帝は、目の前で広げられる他愛ない遣り取りを見ながら、一人訝しさを抱えた。
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