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十時十分になっても、何かが起こる気配は無かった。それから一時間ほど待ってみたが、それでも何も起きず、結局は昼食の時間になってしまった。
白都は偶然屋上にやってきた穂積に連れられ、食堂に来ていた。
「白都くん、来たんだね」
右手を軽く上げ挨拶してきた和月から、若干様子を窺う姿勢が見える。恐らく、和月も帝の死を知っているのだろう。
白都は席についてから、昼飯を忘れてきたことに気付いた。いつもなら朝方コンビニに寄るのだが、すっかり失念していたようだ。
「……そうだ、僕ご飯買い忘れたので購買行ってきます」
「あっ、ならこれ食べなよ」
立ち上がった白都へ、差し出されたのはお弁当だった。食べている場面をいつも見ているため、和月の分の昼食だとすぐに分かる。
「……い、良いですよ。申し訳ないです」
「気にしなくて良いよ。今日は俺、購買のパン食べたい気分なんだ」
和月は朗らかに微笑むと、弁当箱を置き去りに購入スペースへと歩いていった。
「……きっと和月なりの励ましだよ……」
隣に座る穂積は、また悲しげな顔をして弁当箱を開く。白都は優しさを受け入れ、そっと蓋を開けた。
確かに、最近まともな食事を摂っていなかった。だからか、目の前に展開される料理の数々が素晴らしく映る。
しばらく眺めいると和月が戻ってきて、箸を渡しそびれていたね、と微笑んだ。それから、売店で入手したらしき割り箸をくれた。
「…………ありがとうございます……」
「……ううん」
直接的な言葉は無しに、穂積と和月はいつもの空気を作り出していた。それが意図的に作り出されたものであると、気付きながらも知らない振りで乗っかった。
話の流れで、侑也と日向が最近学校に来ていないとの情報を掴んだ。
二言三言でその会話は尽きたが、情報は白都の中に重大な可能性を残した。
***
結局その後、御面からの連絡は無く、命令の意味は分からずじまいだった。
御面を裏切ればどうなるか身に染みて知った白都は、当初の命令に従い裏道を使用して帰宅した。だが、そこでも御面には遭遇しなかった。
アパートに着くと、パトカーや警察の姿がちらほらと目に付いた。どうやら帝の死は事件として捜査されているらしい。
「やぁ。えっと安斎くんだったね」
突如話しかけられぎくりとした白都だったが、直ぐに得意の演技で冷静を装った。
話しかけてきたのは、昨日事情聴取に当たった警官の一人だった。
「……えっと、なんですか?」
「昨日の今日ですまないが、香道日向君は知ってるね?」
「……はい、友だちですが……」
「その子のことを少し聞かせて欲しいんだけど……良い?」
言葉から、警官が日向を容疑者認定しているのだと直ぐに分かった。
ズキリと胸が痛む。昼頃見つけた可能性と、警官が向けた疑惑が一致し、心苦しくなる。
――日向が犯人かもしれない、との疑惑が。
白都は偶然屋上にやってきた穂積に連れられ、食堂に来ていた。
「白都くん、来たんだね」
右手を軽く上げ挨拶してきた和月から、若干様子を窺う姿勢が見える。恐らく、和月も帝の死を知っているのだろう。
白都は席についてから、昼飯を忘れてきたことに気付いた。いつもなら朝方コンビニに寄るのだが、すっかり失念していたようだ。
「……そうだ、僕ご飯買い忘れたので購買行ってきます」
「あっ、ならこれ食べなよ」
立ち上がった白都へ、差し出されたのはお弁当だった。食べている場面をいつも見ているため、和月の分の昼食だとすぐに分かる。
「……い、良いですよ。申し訳ないです」
「気にしなくて良いよ。今日は俺、購買のパン食べたい気分なんだ」
和月は朗らかに微笑むと、弁当箱を置き去りに購入スペースへと歩いていった。
「……きっと和月なりの励ましだよ……」
隣に座る穂積は、また悲しげな顔をして弁当箱を開く。白都は優しさを受け入れ、そっと蓋を開けた。
確かに、最近まともな食事を摂っていなかった。だからか、目の前に展開される料理の数々が素晴らしく映る。
しばらく眺めいると和月が戻ってきて、箸を渡しそびれていたね、と微笑んだ。それから、売店で入手したらしき割り箸をくれた。
「…………ありがとうございます……」
「……ううん」
直接的な言葉は無しに、穂積と和月はいつもの空気を作り出していた。それが意図的に作り出されたものであると、気付きながらも知らない振りで乗っかった。
話の流れで、侑也と日向が最近学校に来ていないとの情報を掴んだ。
二言三言でその会話は尽きたが、情報は白都の中に重大な可能性を残した。
***
結局その後、御面からの連絡は無く、命令の意味は分からずじまいだった。
御面を裏切ればどうなるか身に染みて知った白都は、当初の命令に従い裏道を使用して帰宅した。だが、そこでも御面には遭遇しなかった。
アパートに着くと、パトカーや警察の姿がちらほらと目に付いた。どうやら帝の死は事件として捜査されているらしい。
「やぁ。えっと安斎くんだったね」
突如話しかけられぎくりとした白都だったが、直ぐに得意の演技で冷静を装った。
話しかけてきたのは、昨日事情聴取に当たった警官の一人だった。
「……えっと、なんですか?」
「昨日の今日ですまないが、香道日向君は知ってるね?」
「……はい、友だちですが……」
「その子のことを少し聞かせて欲しいんだけど……良い?」
言葉から、警官が日向を容疑者認定しているのだと直ぐに分かった。
ズキリと胸が痛む。昼頃見つけた可能性と、警官が向けた疑惑が一致し、心苦しくなる。
――日向が犯人かもしれない、との疑惑が。
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