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警官は日向の性格や最近の言動など、事細かに訊ねてきた。対して白都は、全てを答えられずにいた。
確かに、最後に会った日向は少し可笑しかった。だが、それを告げれば更に疑いが強まってしまうだろう。
本格的に容疑者として扱われるのがどうにも嫌で、白都は白い嘘を付いた。
その他の項目である、性格や普段見ていた行動などは全て赤裸々に話した。
「そうか、あまり疑わしい点は無いみたいだなぁ……九条さんとも仲が悪かったとか無いんだよね?」
「……はい……。でも何でひな……香道くんなんですか?」
「……それが、まだ彼にだけ会えていないんだよ。家を出入りしている気配もないらしい……」
警察官が何気なく漏らした実情は、白都の疑惑を固めてゆく。
日向が御面でない場合、帝に手を掛ける動機が浮かばなかった――なんて、まだ御面だと決まっていないのに。
白都は、暗然とする心が溢れる前に、話を上手く打ち切り自宅へ入った。
***
その頃、駅内施設に用があり、訪れていた和月は見慣れた背中を見つけていた。人混みに紛れ、駅のホームで携帯電話を見詰めている。
「あれ、設楽くん久しぶり」
「うわっ……!」
背後から声を掛けたからか、侑也はあからさまな驚愕を表情に宿した。
「……えっと、そんな驚かせた?」
「……あ、いや」
侑也は目を泳がせて、斜め下へと視線を傾ける。分かり易すぎる戸惑いにはあえて触れず、和月は学校での出来事を話すことにした。
「そう言えば、最近学校来ないから穂積が心配してたよ?」
「……そ、そうっすか……」
侑也の心根を巣食う、気掛かりが手に取るように分かる。表情からも声色からも、随分悩んでいるのが分かる。
「…………元気が無くなるのは分かるけどさ……」
「………………はは……」
無言になる二人の間に、電車の到着を知らせるアナウンスが割り込んだ。
***
白都は携帯を耳に宛てがい、幾度めかのコールを聞いていた。繋がれと願い、何度も掛けなおす。
帰宅し、熟考していた白都は、居ても立っても居られず、日向に連絡を取ろうと試みていた。
直接声を聞けば、様子が分かるかもしれない。どうして警察を避けているか分かるかもしれない。
だが願いは空しく、電話は繋がらなかった。
やっぱり、帝を殺害したのは日向かもしれない。
知らない場面で二人の間に何かが生じ、仲違いしていたのかもしれない。それかもっと他の理由があって、そうせざるを得なかったのかもしれない。
きっとそうだ。優しい日向に限って、激情で人を殺めたりしない。
それでも、許せないけれど――。
白都は矛盾する気持ちに収拾が付けられず、次々と心労を蓄積し続けた。
***
夜、携帯が着信音を鳴らした。
日向からの折り返しを期待し画面を見たが、表示されていたのは“御面”の文字だった。
“今回の命令は、水を飲み干す事、です。ボトルは屋上に置いておきます。朝一で取りに来て下さい。
自宅でも可能ですが、飲み干す際、動画を撮影して添付し、返信してください。
期限は明日の夜9時まで、です。”
タイミングと内容に、白都は眉を顰めた。新たな命令と言えばそうだが、一度経験したものと酷似している。
そしてタイミングだ。警察が周囲を疑っているこの頃合に命令とは、御面は随分強固な神経の持ち主らしい。
やはり、日向と御面は別物だ。
白都は日向の涙を思い出し、信じられる要素として加えた。
結局、帝に正体を聞くことは出来なかった。
だから今は、少しも背けない。背く気配も見せられない。
白都は、水に隠された恐ろしさを想像しながらも、命令実行への決意を固めていった。
確かに、最後に会った日向は少し可笑しかった。だが、それを告げれば更に疑いが強まってしまうだろう。
本格的に容疑者として扱われるのがどうにも嫌で、白都は白い嘘を付いた。
その他の項目である、性格や普段見ていた行動などは全て赤裸々に話した。
「そうか、あまり疑わしい点は無いみたいだなぁ……九条さんとも仲が悪かったとか無いんだよね?」
「……はい……。でも何でひな……香道くんなんですか?」
「……それが、まだ彼にだけ会えていないんだよ。家を出入りしている気配もないらしい……」
警察官が何気なく漏らした実情は、白都の疑惑を固めてゆく。
日向が御面でない場合、帝に手を掛ける動機が浮かばなかった――なんて、まだ御面だと決まっていないのに。
白都は、暗然とする心が溢れる前に、話を上手く打ち切り自宅へ入った。
***
その頃、駅内施設に用があり、訪れていた和月は見慣れた背中を見つけていた。人混みに紛れ、駅のホームで携帯電話を見詰めている。
「あれ、設楽くん久しぶり」
「うわっ……!」
背後から声を掛けたからか、侑也はあからさまな驚愕を表情に宿した。
「……えっと、そんな驚かせた?」
「……あ、いや」
侑也は目を泳がせて、斜め下へと視線を傾ける。分かり易すぎる戸惑いにはあえて触れず、和月は学校での出来事を話すことにした。
「そう言えば、最近学校来ないから穂積が心配してたよ?」
「……そ、そうっすか……」
侑也の心根を巣食う、気掛かりが手に取るように分かる。表情からも声色からも、随分悩んでいるのが分かる。
「…………元気が無くなるのは分かるけどさ……」
「………………はは……」
無言になる二人の間に、電車の到着を知らせるアナウンスが割り込んだ。
***
白都は携帯を耳に宛てがい、幾度めかのコールを聞いていた。繋がれと願い、何度も掛けなおす。
帰宅し、熟考していた白都は、居ても立っても居られず、日向に連絡を取ろうと試みていた。
直接声を聞けば、様子が分かるかもしれない。どうして警察を避けているか分かるかもしれない。
だが願いは空しく、電話は繋がらなかった。
やっぱり、帝を殺害したのは日向かもしれない。
知らない場面で二人の間に何かが生じ、仲違いしていたのかもしれない。それかもっと他の理由があって、そうせざるを得なかったのかもしれない。
きっとそうだ。優しい日向に限って、激情で人を殺めたりしない。
それでも、許せないけれど――。
白都は矛盾する気持ちに収拾が付けられず、次々と心労を蓄積し続けた。
***
夜、携帯が着信音を鳴らした。
日向からの折り返しを期待し画面を見たが、表示されていたのは“御面”の文字だった。
“今回の命令は、水を飲み干す事、です。ボトルは屋上に置いておきます。朝一で取りに来て下さい。
自宅でも可能ですが、飲み干す際、動画を撮影して添付し、返信してください。
期限は明日の夜9時まで、です。”
タイミングと内容に、白都は眉を顰めた。新たな命令と言えばそうだが、一度経験したものと酷似している。
そしてタイミングだ。警察が周囲を疑っているこの頃合に命令とは、御面は随分強固な神経の持ち主らしい。
やはり、日向と御面は別物だ。
白都は日向の涙を思い出し、信じられる要素として加えた。
結局、帝に正体を聞くことは出来なかった。
だから今は、少しも背けない。背く気配も見せられない。
白都は、水に隠された恐ろしさを想像しながらも、命令実行への決意を固めていった。
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