フレンドテロリスト

有箱

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 告げられたのは日向の訃報だった。自宅にて亡くなっているのを、警察から連絡を受けた叔父が発見したという。
 同居人であった叔父は出張中だったらしく、もっと早く帰って来ればと後悔していたそうだ。

 死因は首吊りによるもので――自殺だった。
 直ぐ近くに遺書が残されており、その中に罪を懺悔する内容が多く綴られていたらしい。

 白都は日向と最後に会った日を思い出していた。
 あの日が引き金になっていたとしたら。そう考えると、何て事をしてしまったのだろうと後悔が溢れ出す。

 悪いのは罪を犯した日向だ。それは変わらない。自業自得だと攻めたって、誰も文句は言わないだろう。
 けれど、死ではなく生きて罪を償って欲しかった。

 明日の朝、期限が切れる。そうしたら御面に会って、全部暴いてやるつもりだった。
 けれど、それももう必要がない。

 急展開過ぎて実感は湧かない。加えて、理由を含む何もかもが明確にされておらず腑に落ちないが、御面との地獄が終わったと取っても良いだろう。
 安堵と空しさが、涙になって落ちる。

 白都は携帯を開き、今まで届いた全ての命令やルールを読み返す。それから、番号ごと全て消去した。

***

 そうして、何も無く期限日の朝が過ぎた。
 本当は引き篭もっていたかったが、単位の関係で休めず、弱った体を駆使し大学に赴く。
 日向の件があったからか和月は居らず、穂積だけが昼食に顔を出した。だが、変わらず顔色は悪い。

 食堂にいるのに弁当箱も広げず、座り込んだまま無言を交じらせあう。
 誰の名前も上がることは無く、顔も見合わせないまま時間を過ごした。

「……白くん……私もうそろそろ行くね……」
「……あ、はい」

 ふらりと立ち上がった穂積だったが、目の前から突然姿が消えた。椅子が机と接触する音が響き、食堂内は騒然とする。
 穂積が死角に消えたことを、白都は直ぐ理解した。

 倒れたのだ。そして、起き上がってこない。
 白都は危機を感じ、直ぐ反対側に回る。そして穂積を揺り動かした。
 すると、穂積は薄く目を開けた。茫然としており視点が定まっていない。

「…………ごめん、大丈夫……」

 だが意識は保っているらしく、声だけは聞こえてきた。

「……ほ、保健室行きましょう。立てますか?」
「…………うん……」

 周囲の力を借り立ち上がった穂積を支え、白都は保健室へ向かった。

***

 穂積は相当体調を悪くしているらしく、保健室のベッドに入るなり眠ってしまった。
 保険医曰く、貧血だろうとのことだ。

 夕方、帰宅前に保健室に寄った時、穂積は既に居なかった。保険医も席を外しており、回復したのか病院に行ったのかは定かではない。
 終わったはずなのに、まだ不安になる。不穏感や亀裂が、目に見えると胸が締め付けられる。

 白都は薄暗い空の下を、俯きながら進んだ。
 空しく、悲しく、苦しい。出来事全てが鮮明に記憶に焼きついており、残されていた気力まで奪ってゆくようだ。

 因みにアルバイトは、店長の提案で復帰可能な時に連絡を入れる約束になっている。その為、今日も休みだ。
 このまま辞めてしまおうかな、と辞職を考えていると、分かれ道に辿り着いた。
 裏道を避ける必要は無いが、染み付いた拒絶感に従い、表通りへと歩き出す。

『やっぱり来ないと思ったけどな』
「えっ……?」

 強い力と忘れるはずの無い声に、白都は愕然とした。
 後ろには、消えたはずの御面が居た。
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