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第二ステージで決めるぜ!①
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「キノコはさ、いつも人気者で良いよなー。俺も人気者になってみたい」
「と、突然どうしたの?」
「だってさ、いつも女子からニコニコされてさー、そんなの男子の夢じゃん」
心にも無いこと――ではないが、普段は口にしようとも思わない僻みを飛ばしてみる。これも数ある意見の一つで、クラスメイトの女子がマジで腹立つと言っていた。
「う、うーん……そんなに良いものでもないよ?」
まぁ、毎度あそこまで構われるとウザくもなるだろうなーと内心頷きながら、プラン通りの反応で返す。
「そういうこと言っちゃうんだー!」
もし俺が同じ立場なら、お前に何が分かるんだ!と逆切れするだろう。
「ご、ごめん……でも」
「でも?」
「俺は二人とゆっくり過ごせれば幸せだなって思うから、たくさん話しかけられるのもあんまり嬉しくないなって……」
「……ヴッ」
ピュアすぎる意見に、胸が突かれる。顔を両手で覆い、何とも言えない表情を隠した。
「えっ、大丈夫!?」
「大丈夫です……」
それから、全力で意見を否定してみたり、テストの点を何気に弄ってみたりと、かなりの精神攻撃を仕掛けてみたが全く効果がなかった。
最悪、喧嘩のような形で見られればと思っていたのに、それさえ叶わなかった。意見はすぐ飲み込まれるわ、嗤ってみれば寧ろ楽しそうにしているわで、想定外の反応に驚かされるばかりだった。
ただ、さすがにこれらの方法は、俺の方が心の痛さに折れそうになった。
***
「ねぇミカ、俺ハチに何かしたかな?」
「気付いてないと思ってた」
「え! その反応……やっぱり何かしちゃったんだ……、」
ミカ――美和《よしかず》と椎名は、珍しく先に集合場所に来ていた。昼休みに集合するスタイルの為、稀にこういうことがあったりする。基本は、椎名が一番最後になるが。
「いや、そういうことじゃなくて。わざと嫌がらせされてるのに気付いてたんだなって」
「……気付くよ。だってハチいつもと違うから……俺、何か怒らせるようなことしちゃったのかな……でも、特別思い当たる節もないし……でも、もしかしたら無自覚にしてるかもって……」
弁当も広げず、二人はハチ――栄都を待つ。美術室のカラフルな壁にそぐわない、美和の溜息が落ちた。
「怒ってるとこ見たいんだと」
「え、怒ってるとこ? 俺が?」
「そう」
椎名の瞳が、思考を反映して右往左往する。だが、長くは続かず、すぐに大きく見開かれた。
「なるほど! じゃあ怒らせてた訳じゃなかったんだね! 良かったー、嫌われてたらどうしようって思ってた!」
「寧ろキノコがハチを嫌ってなかったのがすげぇわ」
「嫌わないよ。ハチのこと好きだもん」
「優しすぎ。まぁ、てことだからさ、いい感じに怒ってやってよ。振りでもいいし」
「うん、それなら……」
頬杖をつきながら、美和は椎名を見遣る。そんな椎名は納得したかと思いきや、突然固まった。
「………………ところでさ、怒る演技ってどうやるの?」
「と、突然どうしたの?」
「だってさ、いつも女子からニコニコされてさー、そんなの男子の夢じゃん」
心にも無いこと――ではないが、普段は口にしようとも思わない僻みを飛ばしてみる。これも数ある意見の一つで、クラスメイトの女子がマジで腹立つと言っていた。
「う、うーん……そんなに良いものでもないよ?」
まぁ、毎度あそこまで構われるとウザくもなるだろうなーと内心頷きながら、プラン通りの反応で返す。
「そういうこと言っちゃうんだー!」
もし俺が同じ立場なら、お前に何が分かるんだ!と逆切れするだろう。
「ご、ごめん……でも」
「でも?」
「俺は二人とゆっくり過ごせれば幸せだなって思うから、たくさん話しかけられるのもあんまり嬉しくないなって……」
「……ヴッ」
ピュアすぎる意見に、胸が突かれる。顔を両手で覆い、何とも言えない表情を隠した。
「えっ、大丈夫!?」
「大丈夫です……」
それから、全力で意見を否定してみたり、テストの点を何気に弄ってみたりと、かなりの精神攻撃を仕掛けてみたが全く効果がなかった。
最悪、喧嘩のような形で見られればと思っていたのに、それさえ叶わなかった。意見はすぐ飲み込まれるわ、嗤ってみれば寧ろ楽しそうにしているわで、想定外の反応に驚かされるばかりだった。
ただ、さすがにこれらの方法は、俺の方が心の痛さに折れそうになった。
***
「ねぇミカ、俺ハチに何かしたかな?」
「気付いてないと思ってた」
「え! その反応……やっぱり何かしちゃったんだ……、」
ミカ――美和《よしかず》と椎名は、珍しく先に集合場所に来ていた。昼休みに集合するスタイルの為、稀にこういうことがあったりする。基本は、椎名が一番最後になるが。
「いや、そういうことじゃなくて。わざと嫌がらせされてるのに気付いてたんだなって」
「……気付くよ。だってハチいつもと違うから……俺、何か怒らせるようなことしちゃったのかな……でも、特別思い当たる節もないし……でも、もしかしたら無自覚にしてるかもって……」
弁当も広げず、二人はハチ――栄都を待つ。美術室のカラフルな壁にそぐわない、美和の溜息が落ちた。
「怒ってるとこ見たいんだと」
「え、怒ってるとこ? 俺が?」
「そう」
椎名の瞳が、思考を反映して右往左往する。だが、長くは続かず、すぐに大きく見開かれた。
「なるほど! じゃあ怒らせてた訳じゃなかったんだね! 良かったー、嫌われてたらどうしようって思ってた!」
「寧ろキノコがハチを嫌ってなかったのがすげぇわ」
「嫌わないよ。ハチのこと好きだもん」
「優しすぎ。まぁ、てことだからさ、いい感じに怒ってやってよ。振りでもいいし」
「うん、それなら……」
頬杖をつきながら、美和は椎名を見遣る。そんな椎名は納得したかと思いきや、突然固まった。
「………………ところでさ、怒る演技ってどうやるの?」
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