私が死ねば楽になれるのでしょう?~愛妻家の後悔~

希猫 ゆうみ

文字の大きさ
9 / 20

しおりを挟む
「お父様やお母様と私の悪口言ってたわね!」

寝室に戻って来たリカードに私は泣き喚きながら噛みついた。

「違うよ」
「何が違うのよ!聞いたの!この耳で!」
「あれは……」
「私にはあなたと結婚する資格がなかったって!」
「そんなことは言ってないよ。オリヴィア、聞いて」
「嘘つき!あなただけはそんなことしないって信じてたのに、結局は私に欠陥があることにして、正当化して離れていくんだわ!!」
「しないよ」
「もう嘘つかないで!あなたが嘘をつくなんて、もうお終いよ!ああ……っ、あっ、この世界は……真っ暗で……」

酷い眩暈と頭痛で崩れ落ちた私を咄嗟にリカードが支えた。
私の知らないリカードに身を任せたくなかったが、私には僅かに身を捩る以上の抗える力が残されていなかった。

「嫌よぉ……っ、あなただけは……リカードのままでいてほしかったのに……っ」

背後から私を抱きかかえるように跪いたリカードの胸に身を沈め、虚空を睨み泣きじゃくる。そうしながら腹部に回る堅牢なリカードの腕を叩いた。

「あなたが言ったんじゃない……!私と結婚したいって……!私と結婚できて嬉しいって……!」
「嬉しいよ……」

声でリカードも泣いているのがわかった。

「じゃあ何故あんな陰口をしていたの……っ?みんなして、破談になった無様な私を仕方なく飼ってくれて、どうもありがとうね!!」

言いながら、悲しくて、悲しくて、涙が止まらない。
私の世界はもうリカードさえいない。

こんな事なら帰って来てくれなくてよかった。
私を一度喜ばせてから傷つけるなんて、そんなリカードなら知りたくなかった。

私を置いてお城に行ってしまった、大好きだった幼馴染のリカード。そんなあなたでいてほしかった。

「そうじゃないんだよ。オリヴィア、君は体調が優れないからたくさん寝なくちゃいけないだろう?」
「ほら私のせいにする!」
「聞いて、オリヴィア」
「私が間違ってるって言うの!?私が邪魔なら結婚しなければよかったじゃない!!間違えたのはあなたよ!!」

泣き喚く私を、リカードは子守りでもするように優しい声であやしながら撫でる。その声や手つきが優しくて、やはり泣いているように聞こえて辛い。

こんなに辛そうに泣いて、笑って誤魔化して、私との結婚を悔やんでいる。

「君と結婚できて嬉しいよ」
「嘘ばっかり!もうやめて!」
「君が元気いっぱいの体なら、僕と一緒に宮殿で……いろいろ……楽しい暮らしが送れたかもしれないねって、おじさんは言いたかったんだよ」
「お城に帰りたいならそうしなさいよ!」

許せない……酷い……

「お城の暮らしを思い描いたんじゃない。君が元気で、泣かなくていい毎日を思い浮かべたんだ……っ」
「うるさい……っ」
「君が苦しまなくて済む日々を……」
「うるさい!」

……でも、リカードが可哀相で、リカードを苦しめる私が許せなくて、リカードに泣かないでただ笑っていてほしくて、それが私のせいで適わないならいっそ私なんかいなければいいと気づいた。

「そんなに私が気に入らないなら殺してよ!どうせあの湖で死ぬところだったんだから!助からなければよかったのよ!殺して!!」
しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

あなたの姿をもう追う事はありません

彩華(あやはな)
恋愛
幼馴染で二つ年上のカイルと婚約していたわたしは、彼のために頑張っていた。 王立学園に先に入ってカイルは最初は手紙をくれていたのに、次第に少なくなっていった。二年になってからはまったくこなくなる。でも、信じていた。だから、わたしはわたしなりに頑張っていた。  なのに、彼は恋人を作っていた。わたしは婚約を解消したがらない悪役令嬢?どう言うこと?  わたしはカイルの姿を見て追っていく。  ずっと、ずっと・・・。  でも、もういいのかもしれない。

【完結】泣き虫だったあなたへ

彩華(あやはな)
恋愛
小さい頃あなたは泣き虫だった。 わたしはあなたをよく泣かした。 綺麗だと思った。溶けるんじゃないかと思った。 あなたが泣かなくなったのはいつの頃だった・・・。

聖女は別れの歌を紡ぐ

豆狸
恋愛
リジアはアフォンソが大好きだった微笑みを浮かべて言う。 『私が人間だったころ、どんなにあなたを愛したかは覚えています』

幸せな結婚生活に妻が幼馴染と不倫関係、夫は許すことができるか悩み人生を閉じて妻は後悔と罪の意識に苦しむ

佐藤 美奈
恋愛
王太子ハリー・アレクサンディア・テオドール殿下と公爵令嬢オリビア・フランソワ・シルフォードはお互い惹かれ合うように恋に落ちて結婚した。 夫ハリー殿下と妻オリビア夫人と一人娘のカミ-ユは人生の幸福を満たしている家庭。 ささいな夫婦喧嘩からハリー殿下がただただ愛している妻オリビア夫人が不倫関係を結んでいる男性がいることを察する。 歳の差があり溺愛している年下の妻は最初に相手の名前を問いただしてもはぐらかそうとして教えてくれない。夫は胸に湧き上がるものすごい違和感を感じた。 ある日、子供と遊んでいると想像の域を遥かに超えた出来事を次々に教えられて今までの幸せな家族の日々が崩れていく。 自然な安らぎのある家庭があるのに禁断の恋愛をしているオリビア夫人をハリー殿下は許すことができるのか日々胸を痛めてぼんやり考える。 長い期間積み重ねた愛情を深めた夫婦は元の関係に戻れるのか頭を悩ませる。オリビア夫人は道ならぬ恋の相手と男女の関係にピリオドを打つことができるのか。

【R15】婚約破棄イベントを無事終えたのに「婚約破棄はなかったことにしてくれ」と言われました

あんころもちです
恋愛
やり直しした人生で無事破滅フラグを回避し婚約破棄を終えた元悪役令嬢 しかし婚約破棄後、元婚約者が部屋を尋ねに来た。

王子が親友を好きになり婚約破棄「僕は本当の恋に出会えた。君とは結婚できない」王子に付きまとわれて迷惑してる?衝撃の真実がわかった。

佐藤 美奈
恋愛
セシリア公爵令嬢とヘンリー王子の婚約披露パーティーが開かれて以来、彼の様子が変わった。ある日ヘンリーから大事な話があると呼び出された。 「僕は本当の恋に出会ってしまった。もう君とは結婚できない」 もうすっかり驚いてしまったセシリアは、どうしていいか分からなかった。とりあえず詳しく話を聞いてみようと思い尋ねる。 先日の婚約披露パーティーの時にいた令嬢に、一目惚れしてしまったと答えたのです。その令嬢はセシリアの無二の親友で伯爵令嬢のシャロンだったというのも困惑を隠せない様子だった。 結局はヘンリーの強い意志で一方的に婚約破棄したいと宣言した。誠実な人柄の親友が裏切るような真似はするはずがないと思いシャロンの家に会いに行った。 するとヘンリーがシャロンにしつこく言い寄っている現場を目撃する。事の真実がわかるとセシリアは言葉を失う。 ヘンリーは勝手な思い込みでシャロンを好きになって、つきまとい行為を繰り返していたのだ。

【完結】わたしの大事な従姉妹を泣かしたのですから、覚悟してくださいませ

彩華(あやはな)
恋愛
突然の婚約解消されたセイラ。それも本人の弁解なしで手紙だけという最悪なものだった。 傷心のセイラは伯母のいる帝国に留学することになる。そこで新しい出逢いをするものの・・・再び・・・。 従兄妹である私は彼らに・・・。 私の従姉妹を泣かしたからには覚悟は必要でしょう!? *セイラ視点から始まります。

【完結】わたしは大事な人の側に行きます〜この国が不幸になりますように〜

彩華(あやはな)
恋愛
 一つの密約を交わし聖女になったわたし。  わたしは婚約者である王太子殿下に婚約破棄された。  王太子はわたしの大事な人をー。  わたしは、大事な人の側にいきます。  そして、この国不幸になる事を祈ります。  *わたし、王太子殿下、ある方の視点になっています。敢えて表記しておりません。  *ダークな内容になっておりますので、ご注意ください。 ハピエンではありません。ですが、救済はいれました。

処理中です...