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28(パトリック)
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第二庭園、噴水の傍のテラスで待つこと約一時間。
ようやく懐かしい顔を拝むことができ、私の胸中はすっと凪いだ。
見慣れない顔立ちの男を連れているが、シンシアは異国から迎えた妃殿下の侍女をしているというから、その関係者だろう。
「やあ、久しぶりだね」
声を掛けると、シンシアは言葉に詰まった様子で胸元を押さえた。
私は椅子をすすめたがシンシアは硬い表情と身振りでそれを断り、見張りの異国の男を一瞥する。
どうやら常に監視される不自由な暮らしを強いられているらしい。可哀相だが、私ほどではない。
「まずは、第五王子ファロン殿下及び妃殿下の第一子ご誕生、お祝い申し上げます」
「ありがとうございます」
他人行儀な返答だったが、仕方ないだろう。
私の身勝手により婚約を反故にした相手だ。こうして顔を見せてくれるだけでもありがたいと思わなくてはならない。
「やっと整理がついてね。君の顔が見たくなったのさ」
「……」
シンシアは難しい表情でやや俯くと、小さな声で早口に言った。
「御用件を手短にお願いします。忙しいので……」
「?」
委縮しているように見えるが、見張りの男を恐れているのだろうか。
私は異国の男をそれとなく一瞥してみた。騎士の階級にあるのか腰には剣を携えているが、レロヴァス王国のものとは形状が違う。物騒だ。こんな物騒な者と二人きりで行動させられては、それは委縮もするというものだろう。
たとえ破局したとしても、私とシンシアは旧知の仲だ。
私は心からシンシアを労う気持ちで微笑みを向ける。
「充分に休ませてもらえているかい?結婚から出産となると、侍女の君は本当に忙しかっただろうね」
「……」
どうやら私語を禁じられているらしい。
そしてシンシアは、現在の状況に居心地の悪さを感じているらしかった。
やはり私が思っていた通り、シンシアは母親ほど宮廷に馴染めなかったのかもしれない。もっと程よい務めの暮らしが性に合っているのだろう。
私たちが結婚していれば、互いに苦しい日々を送る必要はなかったのに……本当に馬鹿な決断をしてしまった。
シンシアが口を開かないので、私は自分の話をすることにした。
元からそのつもりであったわけだし、シンシアが会話も制限される窮屈な暮らしをしているなら尚更、私の話は魅力的に感じてもらえるだろう。
「君が大変な思いをしている間、私も相当の苦労をしたよ。聞いてくれ、シンシア。あの結婚は間違いだった。彼女が家族に虐げられているなんて大嘘だよ。騙された」
「……!」
私が自らの過ちを認めたのに心打たれたのか、シンシアがやっとまともに此方を見た。
「リリアナは身勝手で幼稚で、まるで手が付けられない野良猫のようだ。少しでも自分の思い通りにならなければ相手を悪者と思い込み延々と詰る。本気でね。本気で、自分が虐げられたつもりで泣いたり喚いたりするわけだよ。だから家族も虐めたことにされ、今では私も妻を虐める極悪非道な夫だと思われている」
「……そう」
自分から愛する婚約者を奪った女の話など、どう反応すればいいかわからないと戸惑うのも当然だ。だが私はシンシアを困惑させたくてリリアナの話をしたいわけではない。
これは懺悔であり、心を込めたセレナーデなのだ。
たとえ歌を歌えなくとも私の心は熱くシンシアへの愛を語る。
「私を悪者にしたリリアナは酒に溺れた。財産を使い込まれ酷い目に遇ったが、リリアナにとってそれは正当防衛のつもりのようだった。狂っているよ。狂っている……」
「奥様をそのように仰るのは……」
善人のシンシアらしい苦言を呈されたが、私は微笑みでそれを封じた。
「リリアナにラムリー伯爵夫人は務まらない。君と結婚していたらと、何度も考えたよ。何度も、何度もね」
「……」
「まあ、リリアナにはどんな夫人も務まらないと思うけどね。貴族はおろか、平民の日夜働く女たちにも及ばない。酒を取り上げても駄目だった。ついに私は神に助けを求めたのさ」
「……」
「君も知っての通り、私の父という人物は今や修道士だからね。悪魔に憑りつかれているとまでは言わないが、救いを求める狂った女であることには違いない。父がリリアナを看てくれて、やっと人前に出せるようになったんだ。だから夫である私から、最初で最後のラムリー伯爵夫人らしい体験をさせてやった」
「ラムリー伯爵」
シンシアが硬い声を挟む。
少し悲しくて胸がちくりと痛んだが、私がシンシアにしたことを思えば多少の溝は我慢して然るべきだと私も弁えているつもりだ。
「御身内の世間話をするような関係ではないように思います。そのようなお話でしたら私、今後一切、遠慮いたします」
シンシアは善人だ。
私がまるで悪妻の愚痴を聞かせている浅ましい男に見えているのだろう。
だが違う。
私は過ちを正せる男だ。
「シンシア。これは君も関係のある話さ」
「そうは思えませんが……」
「聞いてくれ。せっかく会いに来てくれたのだから、少しは私を恋しがってくれていたんだろう?」
「え……」
「君にも有益な話だ」
私はシンシアの目をまっすぐに見つめる。
かつては愛を通わせていた眼差しが今では歪にすれ違い、絡むこともない。この試練はリリアナという苦行を経た私にとって最早ご褒美といっても過言ではない。
私はシンシアに告げる。
「リリアナとは離婚する。宮殿に連れて来てやったのだ。もう充分だろう」
「……」
シンシアは驚愕の表情で一旦は言葉を失ったものの、戸惑った様子で私に問うた。
「ヒューソン伯爵は御存じなのですか?」
相変わらずの他人行儀だが、聞きたいのはそんなことではないはずだと私にはわかる。
「関係ないさ。リリアナに苦しめられた者同士わかりあえる」
「リリアナは何処へ?」
「父が女子修道院の営む療養所へ連れて行く。それで皆が救われる。私は我が身と財産を犠牲にして、更にリリアナ本人には傷ひとつ付けずにこの悲劇に美しく幕を下ろすのさ」
「……」
「慰めてくれ、シンシア。私の心にはシ──」
その時だった。
シンシアを監視していた異国の男が大声で笑い始めた。
「ムァアーッハッハッハッハッ、はあっ!!」
「!?」
私のみならずシンシアも肩を揺らすほどに驚愕し、同時に男を凝視する。
男は大声で笑っているが、その実、鋭い眼光が危険な人物であることを如実に物語っている。シンシアが委縮して発言を躊躇うのも納得だ。忌々しい粗野な異人め。
「面白い冗談であったラムリー伯爵!この俺がシンシアに変わって一つ大事なことを言って差し上げよう!」
「は?言葉が通じるのか?」
「!?」
私が呟きを洩らすと、シンシアが焦った様子で私の腕の辺りを強く叩いた。
急に笑い出した異国の男とシンシアらしからぬ行いに困惑を極めた私は、自我を保つためにこの無礼な異国の男をキッと睨みつける。
男が白い歯を煌めかせ高らかに宣った。
「淑やかなシンシアは絶対に口に出さないだろうが心では強くこう思っているはずだ!妻を貶め同情を誘ったくらいで元婚約者の私に慰めてもらえるとでも!?──と、な!!はあっ!!」
何だこの男は。
ようやく懐かしい顔を拝むことができ、私の胸中はすっと凪いだ。
見慣れない顔立ちの男を連れているが、シンシアは異国から迎えた妃殿下の侍女をしているというから、その関係者だろう。
「やあ、久しぶりだね」
声を掛けると、シンシアは言葉に詰まった様子で胸元を押さえた。
私は椅子をすすめたがシンシアは硬い表情と身振りでそれを断り、見張りの異国の男を一瞥する。
どうやら常に監視される不自由な暮らしを強いられているらしい。可哀相だが、私ほどではない。
「まずは、第五王子ファロン殿下及び妃殿下の第一子ご誕生、お祝い申し上げます」
「ありがとうございます」
他人行儀な返答だったが、仕方ないだろう。
私の身勝手により婚約を反故にした相手だ。こうして顔を見せてくれるだけでもありがたいと思わなくてはならない。
「やっと整理がついてね。君の顔が見たくなったのさ」
「……」
シンシアは難しい表情でやや俯くと、小さな声で早口に言った。
「御用件を手短にお願いします。忙しいので……」
「?」
委縮しているように見えるが、見張りの男を恐れているのだろうか。
私は異国の男をそれとなく一瞥してみた。騎士の階級にあるのか腰には剣を携えているが、レロヴァス王国のものとは形状が違う。物騒だ。こんな物騒な者と二人きりで行動させられては、それは委縮もするというものだろう。
たとえ破局したとしても、私とシンシアは旧知の仲だ。
私は心からシンシアを労う気持ちで微笑みを向ける。
「充分に休ませてもらえているかい?結婚から出産となると、侍女の君は本当に忙しかっただろうね」
「……」
どうやら私語を禁じられているらしい。
そしてシンシアは、現在の状況に居心地の悪さを感じているらしかった。
やはり私が思っていた通り、シンシアは母親ほど宮廷に馴染めなかったのかもしれない。もっと程よい務めの暮らしが性に合っているのだろう。
私たちが結婚していれば、互いに苦しい日々を送る必要はなかったのに……本当に馬鹿な決断をしてしまった。
シンシアが口を開かないので、私は自分の話をすることにした。
元からそのつもりであったわけだし、シンシアが会話も制限される窮屈な暮らしをしているなら尚更、私の話は魅力的に感じてもらえるだろう。
「君が大変な思いをしている間、私も相当の苦労をしたよ。聞いてくれ、シンシア。あの結婚は間違いだった。彼女が家族に虐げられているなんて大嘘だよ。騙された」
「……!」
私が自らの過ちを認めたのに心打たれたのか、シンシアがやっとまともに此方を見た。
「リリアナは身勝手で幼稚で、まるで手が付けられない野良猫のようだ。少しでも自分の思い通りにならなければ相手を悪者と思い込み延々と詰る。本気でね。本気で、自分が虐げられたつもりで泣いたり喚いたりするわけだよ。だから家族も虐めたことにされ、今では私も妻を虐める極悪非道な夫だと思われている」
「……そう」
自分から愛する婚約者を奪った女の話など、どう反応すればいいかわからないと戸惑うのも当然だ。だが私はシンシアを困惑させたくてリリアナの話をしたいわけではない。
これは懺悔であり、心を込めたセレナーデなのだ。
たとえ歌を歌えなくとも私の心は熱くシンシアへの愛を語る。
「私を悪者にしたリリアナは酒に溺れた。財産を使い込まれ酷い目に遇ったが、リリアナにとってそれは正当防衛のつもりのようだった。狂っているよ。狂っている……」
「奥様をそのように仰るのは……」
善人のシンシアらしい苦言を呈されたが、私は微笑みでそれを封じた。
「リリアナにラムリー伯爵夫人は務まらない。君と結婚していたらと、何度も考えたよ。何度も、何度もね」
「……」
「まあ、リリアナにはどんな夫人も務まらないと思うけどね。貴族はおろか、平民の日夜働く女たちにも及ばない。酒を取り上げても駄目だった。ついに私は神に助けを求めたのさ」
「……」
「君も知っての通り、私の父という人物は今や修道士だからね。悪魔に憑りつかれているとまでは言わないが、救いを求める狂った女であることには違いない。父がリリアナを看てくれて、やっと人前に出せるようになったんだ。だから夫である私から、最初で最後のラムリー伯爵夫人らしい体験をさせてやった」
「ラムリー伯爵」
シンシアが硬い声を挟む。
少し悲しくて胸がちくりと痛んだが、私がシンシアにしたことを思えば多少の溝は我慢して然るべきだと私も弁えているつもりだ。
「御身内の世間話をするような関係ではないように思います。そのようなお話でしたら私、今後一切、遠慮いたします」
シンシアは善人だ。
私がまるで悪妻の愚痴を聞かせている浅ましい男に見えているのだろう。
だが違う。
私は過ちを正せる男だ。
「シンシア。これは君も関係のある話さ」
「そうは思えませんが……」
「聞いてくれ。せっかく会いに来てくれたのだから、少しは私を恋しがってくれていたんだろう?」
「え……」
「君にも有益な話だ」
私はシンシアの目をまっすぐに見つめる。
かつては愛を通わせていた眼差しが今では歪にすれ違い、絡むこともない。この試練はリリアナという苦行を経た私にとって最早ご褒美といっても過言ではない。
私はシンシアに告げる。
「リリアナとは離婚する。宮殿に連れて来てやったのだ。もう充分だろう」
「……」
シンシアは驚愕の表情で一旦は言葉を失ったものの、戸惑った様子で私に問うた。
「ヒューソン伯爵は御存じなのですか?」
相変わらずの他人行儀だが、聞きたいのはそんなことではないはずだと私にはわかる。
「関係ないさ。リリアナに苦しめられた者同士わかりあえる」
「リリアナは何処へ?」
「父が女子修道院の営む療養所へ連れて行く。それで皆が救われる。私は我が身と財産を犠牲にして、更にリリアナ本人には傷ひとつ付けずにこの悲劇に美しく幕を下ろすのさ」
「……」
「慰めてくれ、シンシア。私の心にはシ──」
その時だった。
シンシアを監視していた異国の男が大声で笑い始めた。
「ムァアーッハッハッハッハッ、はあっ!!」
「!?」
私のみならずシンシアも肩を揺らすほどに驚愕し、同時に男を凝視する。
男は大声で笑っているが、その実、鋭い眼光が危険な人物であることを如実に物語っている。シンシアが委縮して発言を躊躇うのも納得だ。忌々しい粗野な異人め。
「面白い冗談であったラムリー伯爵!この俺がシンシアに変わって一つ大事なことを言って差し上げよう!」
「は?言葉が通じるのか?」
「!?」
私が呟きを洩らすと、シンシアが焦った様子で私の腕の辺りを強く叩いた。
急に笑い出した異国の男とシンシアらしからぬ行いに困惑を極めた私は、自我を保つためにこの無礼な異国の男をキッと睨みつける。
男が白い歯を煌めかせ高らかに宣った。
「淑やかなシンシアは絶対に口に出さないだろうが心では強くこう思っているはずだ!妻を貶め同情を誘ったくらいで元婚約者の私に慰めてもらえるとでも!?──と、な!!はあっ!!」
何だこの男は。
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