3 / 3
3
しおりを挟む
それでも国を率いるのが国王の使命。
泣き言ばかりだろうと、王妃である私の義務というものは、やはりある。
母国では父が国王として国を統治し、弟が王太子として真っ当に生きている。
往復書簡はあっという間に嵩張り、方針は決まった。
この国が疲弊しきって、反乱が起こるのを待つ。それもいい。
でもそこまで国民を追い詰めるのは憚られるため、離婚と同時に援助を打ち切るか、援助を続ける代わりに属国になるか、王妃である私に政権を譲るかの3拓を迫った。
「外国人のくせに!この国を乗っ取ろうと言うのね!」
今回は愚かなマルベルに手を焼いた。
政治の話は全く通じないのだ。
その点、ゴドウィンは腐っても国王だった。
結婚で同盟国となった私の母国の国王から突き付けられた最後通牒の重みに、若干、目が覚めたらしい。
「フランチェスカ、すまなかった。なんとか考え直してもらえないだろうか」
「口では何とでも言えるでしょう。マルベルと酒に溺れる生活を改めてから出直してください」
私はゴドウィンに何の期待もしていなかった。
ところが、ゴドウィンは予想を超えて来た。
あれだけ粋がっていたというのに、マルベルと手を切ったのだ。
かなり揉めたというのは大臣から聞いた。ゴドウィンは私財からマルベルに多額の手切れ金を払い、なんとか片付いたらしい。
寵姫マルベルとの蜜月は1年にも満たなかった。
その短期間で宮廷を腐敗させたのだから、醜悪さは目を瞠るものがある。
そんなマルベルは、手切れ金を元手に娼館を開いたとだいぶ後になってから聞いた。
「フランチェスカ、俺を愛してくれとは言わない。俺は君に相応しくないだろう。だが、どうか、国民のために離婚だけは考え直してくれ」
ゴドウィンは私に頭を下げた。
「これからは君に国政を任せる。君の思うようにしてくれ」
「あなたにとっては、それが一番楽で、利益がありますものね」
「何を言われてもその通りだ。俺は国王失格だ。だからどうか、国民だけは守らせてくれ」
一度の浮気でゴドウィンという男の底は見切れていた。
国王としても、夫としても、ゴドウィンは無能だった。
「しばらく夢を見せてあげましょう。私が男児を産んで早々に王位を継がせても良し、弟が王位についたら攻め込ませても良し」
夫を愛する事はないとしても、私は王妃。
ただ二度と縛られはしない。私は国民を守るという義務を果たしながら、好きに生きる。
離宮での生活は素晴らしかったから。
やがて私が誰かと恋に落ちようとも、ゴドウィンは文句一つ言えないだろう。
私は国を揺るがしたりしない。
泣き言ばかりだろうと、王妃である私の義務というものは、やはりある。
母国では父が国王として国を統治し、弟が王太子として真っ当に生きている。
往復書簡はあっという間に嵩張り、方針は決まった。
この国が疲弊しきって、反乱が起こるのを待つ。それもいい。
でもそこまで国民を追い詰めるのは憚られるため、離婚と同時に援助を打ち切るか、援助を続ける代わりに属国になるか、王妃である私に政権を譲るかの3拓を迫った。
「外国人のくせに!この国を乗っ取ろうと言うのね!」
今回は愚かなマルベルに手を焼いた。
政治の話は全く通じないのだ。
その点、ゴドウィンは腐っても国王だった。
結婚で同盟国となった私の母国の国王から突き付けられた最後通牒の重みに、若干、目が覚めたらしい。
「フランチェスカ、すまなかった。なんとか考え直してもらえないだろうか」
「口では何とでも言えるでしょう。マルベルと酒に溺れる生活を改めてから出直してください」
私はゴドウィンに何の期待もしていなかった。
ところが、ゴドウィンは予想を超えて来た。
あれだけ粋がっていたというのに、マルベルと手を切ったのだ。
かなり揉めたというのは大臣から聞いた。ゴドウィンは私財からマルベルに多額の手切れ金を払い、なんとか片付いたらしい。
寵姫マルベルとの蜜月は1年にも満たなかった。
その短期間で宮廷を腐敗させたのだから、醜悪さは目を瞠るものがある。
そんなマルベルは、手切れ金を元手に娼館を開いたとだいぶ後になってから聞いた。
「フランチェスカ、俺を愛してくれとは言わない。俺は君に相応しくないだろう。だが、どうか、国民のために離婚だけは考え直してくれ」
ゴドウィンは私に頭を下げた。
「これからは君に国政を任せる。君の思うようにしてくれ」
「あなたにとっては、それが一番楽で、利益がありますものね」
「何を言われてもその通りだ。俺は国王失格だ。だからどうか、国民だけは守らせてくれ」
一度の浮気でゴドウィンという男の底は見切れていた。
国王としても、夫としても、ゴドウィンは無能だった。
「しばらく夢を見せてあげましょう。私が男児を産んで早々に王位を継がせても良し、弟が王位についたら攻め込ませても良し」
夫を愛する事はないとしても、私は王妃。
ただ二度と縛られはしない。私は国民を守るという義務を果たしながら、好きに生きる。
離宮での生活は素晴らしかったから。
やがて私が誰かと恋に落ちようとも、ゴドウィンは文句一つ言えないだろう。
私は国を揺るがしたりしない。
3,380
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(11件)
あなたにおすすめの小説
〖完結〗私は旦那様には必要ないようですので国へ帰ります。
藍川みいな
恋愛
辺境伯のセバス・ブライト侯爵に嫁いだミーシャは優秀な聖女だった。セバスに嫁いで3年、セバスは愛人を次から次へと作り、やりたい放題だった。
そんなセバスに我慢の限界を迎え、離縁する事を決意したミーシャ。
私がいなければ、あなたはおしまいです。
国境を無事に守れていたのは、聖女ミーシャのおかげだった。ミーシャが守るのをやめた時、セバスは破滅する事になる…。
設定はゆるゆるです。
本編8話で完結になります。
妻を蔑ろにしていた結果。
下菊みこと
恋愛
愚かな夫が自業自得で後悔するだけ。妻は結果に満足しています。
主人公は愛人を囲っていた。愛人曰く妻は彼女に嫌がらせをしているらしい。そんな性悪な妻が、屋敷の最上階から身投げしようとしていると報告されて急いで妻のもとへ行く。
小説家になろう様でも投稿しています。
〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····
藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」
……これは一体、どういう事でしょう?
いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。
ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した……
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全6話で完結になります。
婚約者は、今月もお茶会に来ないらしい。
白雪なこ
恋愛
婚約時に両家で決めた、毎月1回の婚約者同士の交流を深める為のお茶会。だけど、私の婚約者は「彼が認めるお茶会日和」にしかやってこない。そして、数ヶ月に一度、参加したかと思えば、無言。短時間で帰り、手紙を置いていく。そんな彼を……許せる?
*6/21続編公開。「幼馴染の王女殿下は私の元婚約者に激おこだったらしい。次期女王を舐めんなよ!ですって。」
*外部サイトにも掲載しています。(1日だけですが総合日間1位)
〖完結〗その愛、お断りします。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚して一年、幸せな毎日を送っていた。それが、一瞬で消え去った……
彼は突然愛人と子供を連れて来て、離れに住まわせると言った。愛する人に裏切られていたことを知り、胸が苦しくなる。
邪魔なのは、私だ。
そう思った私は離婚を決意し、邸を出て行こうとしたところを彼に見つかり部屋に閉じ込められてしまう。
「君を愛してる」と、何度も口にする彼。愛していれば、何をしても許されると思っているのだろうか。
冗談じゃない。私は、彼の思い通りになどならない!
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
〖完結〗死にかけて前世の記憶が戻りました。側妃? 贅沢出来るなんて最高! と思っていたら、陛下が甘やかしてくるのですが?
藍川みいな
恋愛
私は死んだはずだった。
目を覚ましたら、そこは見知らぬ世界。しかも、国王陛下の側妃になっていた。
前世の記憶が戻る前は、冷遇されていたらしい。そして池に身を投げた。死にかけたことで、私は前世の記憶を思い出した。
前世では借金取りに捕まり、お金を返す為にキャバ嬢をしていた。給料は全部持っていかれ、食べ物にも困り、ガリガリに痩せ細った私は路地裏に捨てられて死んだ。そんな私が、側妃? 冷遇なんて構わない! こんな贅沢が出来るなんて幸せ過ぎるじゃない!
そう思っていたのに、いつの間にか陛下が甘やかして来るのですが?
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
〖完結〗もうあなたを愛する事はありません。
藍川みいな
恋愛
愛していた旦那様が、妹と口付けをしていました…。
「……旦那様、何をしているのですか?」
その光景を見ている事が出来ず、部屋の中へと入り問いかけていた。
そして妹は、
「あら、お姉様は何か勘違いをなさってますよ? 私とは口づけしかしていません。お義兄様は他の方とはもっと凄いことをなさっています。」と…
旦那様には愛人がいて、その愛人には子供が出来たようです。しかも、旦那様は愛人の子を私達2人の子として育てようとおっしゃいました。
信じていた旦那様に裏切られ、もう旦那様を信じる事が出来なくなった私は、離縁を決意し、実家に帰ります。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全8話で完結になります。
知りませんでした?私再婚して公爵夫人になりました。
京月
恋愛
学生時代、家の事情で士爵に嫁がされたコリン。
他国への訪問で伯爵を射止めた幼馴染のミーザが帰ってきた。
「コリン、士爵も大変よね。領地なんてもらえないし、貴族も名前だけ」
「あらミーザ、知りませんでした?私再婚して公爵夫人になったのよ」
「え?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
阿保な王には鉄槌を!弟に攻め込ませて首のすげ替えしかない!
手切れ金なぞ必要なし。国費を使い込んだ寵姫と王に弁済させなきゃ!
ご感想ありがとうございます!
どうやら、為政者として意識高い系ヒロインだったようですね😲
お読み下さり、貴重なお時間を割いてご意見をお寄せいただき、本当にありがとうございました!
なんで主人公はそんなに他国の国民を心配するんだろ?
愚かなのは主人公(祖国含む)と国王だよ。
賢いのは愛人。好き放題した後に、立場が悪くなる前に離縁できて大金を手に入れた後は、経営者として遊んで暮らせるわけだし。
好きに生きる?それって愛人のことですよね??
ご感想ありがとうございます!