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43(レイチェル)*最終話*
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「レイチェル・カレン・マクシーム。愛してる。どうか私の妻になってほしい。結婚してください」
聖マシュー教会を出ると、ウィルフリド殿下が跪いて待っていた。
一昨年の舞踏会で踊って以来、随分と一途に想ってくださっているこの第三王子とは実のところ幼馴染で、私としては全く恋愛感情がない。
見目麗しいのも理解している。
そしてそもそも王子である。
私の伯父が国王付首席近侍を務めている関係で、付き合いは長い。
「殿下……」
「私は本気だ」
冗談とは思っていない。
ただ、私は、燃えるような恋がしたい。
あと親戚の役職を利用して王子の妃になるという成り上がりについて、興味がない。
「お気持ちは光栄ですが、大変、急いでおりますので」
今日は、私の名前の由来でもあるレイチェル夫人と、王国の英雄で建築家で最愛の妻を看取ったあとは聖職者にもなった聖マシュー、この所謂コルボーン伯爵夫妻が晩年に立てた大学の設立五十周年記念式典の準備がある。
マクシーム一家の一員として、本当に忙しい。嘘ではない。
「レイチェル!」
気心の知れた遊び仲間だった子ども時代なら、ウィルフリド殿下はいい相棒だった。
でも互いに大人になった今、其々の身分において、其々の責任がある。
私は平民だ。
大事なウィルフリド殿下を平民と結婚させるなんてとんでもない。それが私なんて、いやいや、ちょっと待ってよ……
「はい。それは私ですけれど、何か?」
「どうしてそう私を避けるんだ!?あんなに仲良しだったではないか……!」
「子どもの頃の話です。殿下、人が見ています」
「求婚を目撃されるのはこれが初めてではない」
自信たっぷりに何を言うのか、この殿下は。
「私の身にもなってください」
「心配いらない。大切にする。王家はマクシーム一家の全員を余すところなく愛している」
私が身分の差を何よりも心配していると思っているなら大間違いだ。
それは、確かに重要な点ではある。併し私にとっていちばん重要なのは、マクシーム一族の女は王侯貴族との結婚によって貴族に成り上がるべからずという家訓以上に、ウィルフリド殿下にぜんぜんときめかないという事実だ。
善人だと知っている。
信頼している。
人格上、何一つ問題はない。
ただ、私は恋をしていない。
だからこの求婚を断り続けている。
「殿下や陛下の寵愛には心から感謝しております」
「レイチェル。硬い。どうしたら昔のように笑ってくれる?」
身分も弁えずケラケラ笑って水遊びをしていた頃に戻れると思っているなら、ウィルフリド殿下にはきつい再教育が必要だ。
「愛してる。君しかいないんだ」
「……」
応えられないのが辛い。
私だって、人として、ウィルフリド殿下を愛している。
この人を幸せにできるなら、喜んでそうする。
でも、私は、ウィルフリド殿下の運命の相手ではないのだ。だって、ときめかないのだから。
「一昨年、うっかり踊ったのが間違いでしたね」
「あの夜の君はどんな宝石よりも輝いていた。美しかった。今も美しい」
「どうも」
王子の求婚を断り続けている私には、どんな男性も寄り付かない。
王子の恋路を邪魔してしまっては、王家に逆らうことになるからだ。
このままでは、私は一生、独りぼっち。
そして皺くちゃのお婆ちゃんになって、可愛い甥か姪の作った子どもたちを孫みたいに可愛がるのだ。絶対いや。
「レイチェル……!何が駄目なんだ。私に何が足りない?」
「殿下、人が見ています」
「見せておけばいい。私が真剣だということを知ってくれている民は多ければ多いほどいい」
私が靡かないからといって、民の心を集めても、それほど意味はないのでは?
「他に想う相手がいるのか?」
いた方がいっそ楽だった。
いなくて困っている。
「いいえ」
「では!何故!私では駄目なんだ……!」
ウィルフリド殿下が悔しそうに拳を握りしめ呻る。
気の毒……。
「殿下」
本当は急がなくてはいけないけれど、私は、人目も気にしなければならないし、このタイミングで一度ウィルフリド殿下と向き合う決意を固めた。
「殿下、申し訳ありません。光栄なことに、あまりにも身近な存在であらせられる殿下に全くときめかないのです」
「…………」
ウィルフリド殿下は驚愕している。
「…………兄みたいってこと?」
愕然と問うてくる表情は少し面白いものの、状況は別に面白くはない。
「いえ、私には兄がおりますが、兄という感じでもありません」
「そうか。言ってくれてよかった。いい機会だ。ここは一つ男として見て欲しい」
「頼んで結べるのは心ではなく単なる契約です、殿下」
「むむっ」
互いの状況を正確に把握したところで、どちらともなく歩き出す。
私は記念式典の準備で忙しいし、殿下は……たぶん単純に意味もなくふらつけない。
「とりあえず、他の御令嬢とお茶でも楽しまれてください。式典にはたくさん集まりますから」
「私は諦めないぞ」
粘るわね。
粘り強い性格なのは、よく知っているけれど……
「殿下ぁ」
「君だって今、聖マシュー教会から出て来たではないか。ん?あんなに一途に待ち続けた男もなかなかいないぞ」
「……」
聖マシュー様ったら。
いい人かもしれないけれど余計なことをしてくれたものだわ。
レイチェル夫人は、人に好かれる人物でありながら周囲の親しい仲間に悉く先立たれてしまった晩年、若かりし頃一時的に婚約関係にあった聖マシューとよりを戻して、最期はとても幸せだったみたいだから、まあよかったけれどね。
よかったレイチェルはあっちのレイチェルであって、私ではない。あと、私は若い。
別に不幸とは思わないけれど……どちらかと言えば、ずっと待ってることになるウィルフリド殿下の方が不幸というか可哀相。
面倒なので、私が誰かと恋に落ちたらどうするのか等、絶対に尋ねたくはない。
「待てばいいというものでもありませんよ」
「気にするな。片想いには片想いでしか味わえない幸せがある。相手が君なら、その幸せの価値も増す」
「重い」
正直に告げるとウィルフリド殿下がまた愕然として、そして項垂れた。
「君の重荷を背負ってあげたいのに、私が君の重荷なのか」
「……」
気の毒な殿下。
殿下が気の毒すぎて、ときめけない自分がもどかしい。
だからと言って、嘘の恋なんてウィルフリド殿下には相応しくない。というか誰に対しても失礼だ。
「殿下」
私は殿下をそっと促し、作り笑いではない労いの笑みを向ける。
「ご安心ください。たとえ結婚しなくても私はずっと傍におります。マクシーム一族の女ですから」
「違う。私はマクシーム家の娘だから恋をしたのではなくてだな……」
「あぁ」
とても面倒くさい。
「君を愛しているんだ、レイチェル」
「はい、そうですよね」
悪い気はしないけれど、もうずっと堂々巡り。
これが二人の運命でないとしたら、とんでもない人生の時間の無駄遣い。
「ま、殿下。あまり考え込まず気楽にいきましょう」
私はウィルフリド殿下の腕をぽんぽんと叩いた。
子どもの頃のような気安い触れ合いにウィルフリド殿下がわかりやすく喜んだので、暫くはこの手法で煽ててやり過ごすのがいいかもしれない。
「レイチェル……!」
「長い人生です。そのうち、どちらかの気が変わって状況も変わるでしょう」
「私の愛は変わらない。否、変わるかもしれないが、それはより一層レイチェルへの愛が深まっていくという変化であって」
「そうですね。はい。ああ、なので、こう考えてみるのはどうでしょう」
「うん?」
できれば、燃えるような恋がしたい。
ウィルフリド殿下にも絶対に幸せになって欲しい。
だから。
私は、笑顔でウィルフリド殿下に断言した。
「魂で結ばれていれば、私たち、そのうち成るように成りますよ。それが二人の運命なんですから」
聖マシュー教会を出ると、ウィルフリド殿下が跪いて待っていた。
一昨年の舞踏会で踊って以来、随分と一途に想ってくださっているこの第三王子とは実のところ幼馴染で、私としては全く恋愛感情がない。
見目麗しいのも理解している。
そしてそもそも王子である。
私の伯父が国王付首席近侍を務めている関係で、付き合いは長い。
「殿下……」
「私は本気だ」
冗談とは思っていない。
ただ、私は、燃えるような恋がしたい。
あと親戚の役職を利用して王子の妃になるという成り上がりについて、興味がない。
「お気持ちは光栄ですが、大変、急いでおりますので」
今日は、私の名前の由来でもあるレイチェル夫人と、王国の英雄で建築家で最愛の妻を看取ったあとは聖職者にもなった聖マシュー、この所謂コルボーン伯爵夫妻が晩年に立てた大学の設立五十周年記念式典の準備がある。
マクシーム一家の一員として、本当に忙しい。嘘ではない。
「レイチェル!」
気心の知れた遊び仲間だった子ども時代なら、ウィルフリド殿下はいい相棒だった。
でも互いに大人になった今、其々の身分において、其々の責任がある。
私は平民だ。
大事なウィルフリド殿下を平民と結婚させるなんてとんでもない。それが私なんて、いやいや、ちょっと待ってよ……
「はい。それは私ですけれど、何か?」
「どうしてそう私を避けるんだ!?あんなに仲良しだったではないか……!」
「子どもの頃の話です。殿下、人が見ています」
「求婚を目撃されるのはこれが初めてではない」
自信たっぷりに何を言うのか、この殿下は。
「私の身にもなってください」
「心配いらない。大切にする。王家はマクシーム一家の全員を余すところなく愛している」
私が身分の差を何よりも心配していると思っているなら大間違いだ。
それは、確かに重要な点ではある。併し私にとっていちばん重要なのは、マクシーム一族の女は王侯貴族との結婚によって貴族に成り上がるべからずという家訓以上に、ウィルフリド殿下にぜんぜんときめかないという事実だ。
善人だと知っている。
信頼している。
人格上、何一つ問題はない。
ただ、私は恋をしていない。
だからこの求婚を断り続けている。
「殿下や陛下の寵愛には心から感謝しております」
「レイチェル。硬い。どうしたら昔のように笑ってくれる?」
身分も弁えずケラケラ笑って水遊びをしていた頃に戻れると思っているなら、ウィルフリド殿下にはきつい再教育が必要だ。
「愛してる。君しかいないんだ」
「……」
応えられないのが辛い。
私だって、人として、ウィルフリド殿下を愛している。
この人を幸せにできるなら、喜んでそうする。
でも、私は、ウィルフリド殿下の運命の相手ではないのだ。だって、ときめかないのだから。
「一昨年、うっかり踊ったのが間違いでしたね」
「あの夜の君はどんな宝石よりも輝いていた。美しかった。今も美しい」
「どうも」
王子の求婚を断り続けている私には、どんな男性も寄り付かない。
王子の恋路を邪魔してしまっては、王家に逆らうことになるからだ。
このままでは、私は一生、独りぼっち。
そして皺くちゃのお婆ちゃんになって、可愛い甥か姪の作った子どもたちを孫みたいに可愛がるのだ。絶対いや。
「レイチェル……!何が駄目なんだ。私に何が足りない?」
「殿下、人が見ています」
「見せておけばいい。私が真剣だということを知ってくれている民は多ければ多いほどいい」
私が靡かないからといって、民の心を集めても、それほど意味はないのでは?
「他に想う相手がいるのか?」
いた方がいっそ楽だった。
いなくて困っている。
「いいえ」
「では!何故!私では駄目なんだ……!」
ウィルフリド殿下が悔しそうに拳を握りしめ呻る。
気の毒……。
「殿下」
本当は急がなくてはいけないけれど、私は、人目も気にしなければならないし、このタイミングで一度ウィルフリド殿下と向き合う決意を固めた。
「殿下、申し訳ありません。光栄なことに、あまりにも身近な存在であらせられる殿下に全くときめかないのです」
「…………」
ウィルフリド殿下は驚愕している。
「…………兄みたいってこと?」
愕然と問うてくる表情は少し面白いものの、状況は別に面白くはない。
「いえ、私には兄がおりますが、兄という感じでもありません」
「そうか。言ってくれてよかった。いい機会だ。ここは一つ男として見て欲しい」
「頼んで結べるのは心ではなく単なる契約です、殿下」
「むむっ」
互いの状況を正確に把握したところで、どちらともなく歩き出す。
私は記念式典の準備で忙しいし、殿下は……たぶん単純に意味もなくふらつけない。
「とりあえず、他の御令嬢とお茶でも楽しまれてください。式典にはたくさん集まりますから」
「私は諦めないぞ」
粘るわね。
粘り強い性格なのは、よく知っているけれど……
「殿下ぁ」
「君だって今、聖マシュー教会から出て来たではないか。ん?あんなに一途に待ち続けた男もなかなかいないぞ」
「……」
聖マシュー様ったら。
いい人かもしれないけれど余計なことをしてくれたものだわ。
レイチェル夫人は、人に好かれる人物でありながら周囲の親しい仲間に悉く先立たれてしまった晩年、若かりし頃一時的に婚約関係にあった聖マシューとよりを戻して、最期はとても幸せだったみたいだから、まあよかったけれどね。
よかったレイチェルはあっちのレイチェルであって、私ではない。あと、私は若い。
別に不幸とは思わないけれど……どちらかと言えば、ずっと待ってることになるウィルフリド殿下の方が不幸というか可哀相。
面倒なので、私が誰かと恋に落ちたらどうするのか等、絶対に尋ねたくはない。
「待てばいいというものでもありませんよ」
「気にするな。片想いには片想いでしか味わえない幸せがある。相手が君なら、その幸せの価値も増す」
「重い」
正直に告げるとウィルフリド殿下がまた愕然として、そして項垂れた。
「君の重荷を背負ってあげたいのに、私が君の重荷なのか」
「……」
気の毒な殿下。
殿下が気の毒すぎて、ときめけない自分がもどかしい。
だからと言って、嘘の恋なんてウィルフリド殿下には相応しくない。というか誰に対しても失礼だ。
「殿下」
私は殿下をそっと促し、作り笑いではない労いの笑みを向ける。
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「違う。私はマクシーム家の娘だから恋をしたのではなくてだな……」
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「はい、そうですよね」
悪い気はしないけれど、もうずっと堂々巡り。
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「ま、殿下。あまり考え込まず気楽にいきましょう」
私はウィルフリド殿下の腕をぽんぽんと叩いた。
子どもの頃のような気安い触れ合いにウィルフリド殿下がわかりやすく喜んだので、暫くはこの手法で煽ててやり過ごすのがいいかもしれない。
「レイチェル……!」
「長い人生です。そのうち、どちらかの気が変わって状況も変わるでしょう」
「私の愛は変わらない。否、変わるかもしれないが、それはより一層レイチェルへの愛が深まっていくという変化であって」
「そうですね。はい。ああ、なので、こう考えてみるのはどうでしょう」
「うん?」
できれば、燃えるような恋がしたい。
ウィルフリド殿下にも絶対に幸せになって欲しい。
だから。
私は、笑顔でウィルフリド殿下に断言した。
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たまたまオススメで上がってきていて目に留まり読みました。結構長いお話でしたが本当に面白かったです!もう、最後あたりから涙がとまらなかったから、いま私の目はぶち腫れてます。本当にいいお話でした、読んでよかったです。
ご感想ありがとうございます!
お瞼が…!恐れ多い限りであります。
しかし愛と結婚の部分を感じて頂けたのかなと思い、とても嬉しいです。
こちらこそ、この物語をお読みくださり、胸に迫るご感想をお寄せ下さり、本当にありがとうございました!!
辺境にお嫁に行ったあたりで一度栞を挟んで長らく読んでいませんでしたm(_ _)m
レイチェル大好きです(^^)
マシューを振ってどんどん素敵な女性になって恋をして良き夫婦、良き母親になって感情移入より憧れ的な目線で最後まで読みました
マシューがねぇ…なんともいえなくしつこかったなと感じました
そんなん好きなら何故幼馴染取って解放してあげるよあはぁはぁって上から目線で関係遮断したんだろうか…と…若さ?いや、まだ再構築の余地があると判断して手を離したのではないかと思いました…あくまでも私個人の感じ方です
別れても自分の事は好きだろうという典型的な男思想なのかな…
男程女性はロマンチストではなく、現実主義だと愚かなボンボンは知らなかったのでしょうね…
ハリエットは…まぁ…優しい虐待の果てにできた怪物でしたね…アレはもう魂からしてイカれてますね=_=最後アッサリ亡くなって…良かったんではないかと…天から迎えに来てくれたんですねって…雷の使者でお迎えしてくれるなんて、熱烈に愛されてる証拠ですよね♪南無南無…
栞を挟んだ先から一気に読んで感想を書きました
ネタバレ多数ですみませんm(_ _)m
驚いたことに、登場人物忘れてなかった(笑)
それだけ熱心に読んでたんだなと自分にも驚きでした\(^o^)/
とても素敵な女性の物語…ありがとうございましたm(_ _)m
ご感想ありがとうございます!
地味で長い話である自覚はあるので、その辺りは大変心苦しい限りです。
そんなこの物語ではありますが、栞を挟んで積んでおいていただけたことや、登場人物を覚えていてくださったことなど、本当に熱心にお読み下さったのだと感動いたしました。
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この物語をお読みいただき、熱いご感想もお寄せ下さり、本当にありがとうございました!!
ご感想ありがとうございます!
率直な御意見もいただき、とても学びになりました。重ねて感謝です!
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全体的には面白かったと仰って頂けてよかったです。
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今後も頑張ります!
お読み下さり、本当にありがとうございました!