色々おかしいヤンデレゲームをやってみた件

維織

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《番外編 》壊す愛

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私は何かを壊すのが大好きだった
物も自分も他人も何もかも。
その気持ちが大きくなったのは大切な人ができたあの日からだった...
 
私は茉優 普通の高校生
親やクラスメイトから忌み子扱いされてる事を除けば
それも仕方が無いかもしれない
私は何もかも壊してきたのだ 
それは楽しいから
だって人が作ったものや関係を壊すなんてあまりに滑稽で醜いでしょう?
それが私を滾らせる それが私を興奮させる
それが私の趣味で生き甲斐で生きる意味だった
でも、一度壊してしまうと元には戻らない
それも素晴らしい
壊してしまうことは簡単なのに作る事は難しい
だからこそ楽しい
でも、私は親もクラスメイトも大嫌いだった
壊しても楽しくない
きっと想いだ
その人を愛して想う程、壊した時に快感を得れる そんな初歩的な事に今更気づいた
そんな時真と言う男子クラスメイトが現れる
彼は私を決して忌み子扱いなんてしなかった 普通に接してくれていた
私は彼を本気で好きになった
そして、いつからか思うようになった
「壊したらどれだけ楽しいのかな」と
 
それから私は真に猛烈なアタックを続け付き合うことが出来た
私はこの時気づいていなかった
私の嫉妬心を独占欲をそして狂気を。
 
始めて誰かを愛すことが出来た
だからなのだろうか彼に誰か話しかけるだけでも、黒い心が出てしまう
どうして私を愛してくれないの?どうして私だけを見てくれないの?
そんな事を日々考えていた
そうしてバカな事を思ってしまった
「壊してしまえば私のものに出来る」
その日から私は壊れ始めた
 
そんな私を見兼ねてか彼はとても優しい言葉をかけてくれた
でも、心做しかほかの女子に話しかけることが多くなっていく
それは不安定な私を壊すには充分過ぎた
そして、しばらく経ったある日
その日は訪れる
 
「茉優、俺と別れてくれないか?」
「... 真、私冗談とか嫌いなんだけど」
「ごめん、本当なんだ」
「どうして? 私は悪いことなんてしてない」
「茉優の愛が重いんだ 俺が女子に話しかけてくるだけで怒って暴力をする そんなの耐えられないよ」
「どうして?私は愛しているのに」
「だから、君は..」
「ど う し て?」
「...ごめん許してくれ じゃあ」 
愛しい彼が離れていく
何がいけなかったのかずっと考えていた
結論はすぐに出る
「私が壊してしまえばいいんだ そうしたら一緒だよ...」

私はもう一回だけ会って欲しいと真を騙し、呼び寄せた
案の定優しい真は来てくれた
私が思い描く優しいままの姿
でも、もう遅すぎた
 
「茉優、話ってなんだ」
「真 私ねあなたを壊したいの」
「何言ってるんだ?...」
「苦労して手に入れた物や人、愛しい人 人には必ずある」
 「...そうだな」
「作る事は難しい でも、壊す事は簡単に出来る 楽しいでしょう?壊したらあなたは私のものになるのだから」
「狂ってる...そんなのおかしい! だから別れたんだ もう帰ってくれ...」
真は逃げようとしたでも、私は
決してその手を離さない
「もう逃げられないわ ねえ、楽になりましょう?」
私は愛した人の目を抉り手を折り血液を採取等愛情表現を繰り返した
彼は最後に
「ごめん」
と言っていたようだった
でも、私はむしろ感謝したい
愛する人を 貴方を壊すことが出来たのだから
それはいつしか快感から愛に変わったのだ
壊れてしまった私は彼を壊すことを選ぶ
それは必然で当然であった
でも、私は初めてこんな感情を得たのだ
「壊れた玩具が戻らないってどうしてこんなにつまらないの?」
愛した人は一生帰って来ない
その罪を私は初めて理解出来た
でも、そんな事今更どうでもいいのだろう
壊れた世界で壊れた私が綺麗な人を壊す
そんな事実だけが頭の中でグルグル回るだけだから
そして私は自らも壊し、終わらせた
愛した人を壊した私を
最初から壊れていた 私を。
 
《番外編 》壊す愛


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