With regard to you

消える

未来は、相変わらず多忙な日々を過ごしていたが理恵が言おうとしていた話が気になって何回か電話やメールを理恵にしたが返事はなかった。

何よりも仲直りがしたかった。

しかし、翼がいる以上、元の関係には戻れない事も分かっていた。

副編集長になった礼二は未来に目もくれない。

そんな時、残業を終えてアパートに帰ると翼が未来の部屋の扉を叩いていた。

どうも、酔ってるらしく足元がふらついていた。

「未来！いるんだろ？出てきてくれ！」

未来は、怖くなって隠れた。

未来は、あんなに酔っている翼を見たことが無かった。

いつも沈着冷静だからだ。

誰かが呼んだのか警察官が来て翼を抱えるように連れて行った。

数ヵ月後、翼と理恵から一枚のハガキが届いた。

ハガキには『結婚しました。』　　

と書かれていた。

ハガキを見た未来は自分の震える膝を抱えて泣いた。

失ってしまった大切な親友を…。

同時に、二人。

ハガキには、未来のアパートの住所しか書かれていなかった。

二人は、未来を傷つけまいと消えたのか？
自分達に、不利益だと思って消えたのか？

今となっては分からない。

未来は、隼に電話した。

【珍しいな。そっちから電話なんて。】

隼は少し驚いていた。

【わたし死のうと思います。】

【おいおい、待てよ！何があった？】

死にたい。二人はそれほどまでに未来を支えてくれていた。

【親友二人が結婚したんです。】

【めでたい事じゃねーかよ。】

【だから死にたいんです。長谷川さん、さようなら。】

未来は、一方的に電話を切った。

古い風邪薬を未来は躊躇わずに大量に飲んだ。

頭がくらくらしてきたのでベッドに横になった。

それから手足の感覚がマヒした。

全く動かないのだ。

それから大量の涙が出た。

そこで未来は意識を失った。