婚約破棄? 婚約者は私ではなく……あ、そこにいらっしゃるようですよ!

「クリアーネ・ティシントン! おまえとの婚約を破棄する!」

「わたくしとの婚約は十二の時に解消されております。それも殿下がわたくしを拒否なさったからです。ご記憶ではありませんか? そう『こんな醜女と結婚したくない』とおっしゃったのです」
 殿下はぱくりと口を開いて、鯉のようにしばらく黙りました。よかった、思い出してくださったようです。
「それは……それは……だが……では、私の婚約者は誰なのだ……?」
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