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あらら

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好きな女

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礼二は、当時、キャバ嬢と付き合っていた。

接待でキャバクラに行った時に黒木凛と出会った。

「出版社に勤めてるんでしょ?」

「ああ、そうだけど。」

「名刺、頂戴よ。」

礼二は、面倒くさそうにくしゃくやになった名刺を渡した。

酒の勢いで、二人は夜を共にした。

そして凛は礼二の彼女になった。

礼二は、凛を抱いた後、タバコを吸いながら未来の事を考えていた。

『ブタ食うメシ』が発表されたばかりだった。

ブタ食うメシを、礼二は読んで未来が一発屋では無いと感じた。

凛は、未来のファンだった。

「今度、サイン、貰ってきて。」

と礼二に頼むほどである。


ブタ食うメシのベストセラーを記念して

未来の部屋で祝賀会をした。

「一発屋では無かったみたいだな。」

と礼二がジュースを飲んでいる未来に言った。

未来は、べーと舌を出した。

「上野さんの期待には応えられなくて残念。」

と未来は礼二に言った。

「まあ、俺が担当編集者だからな、当たり前か。」

「上野さんのしてることってボウリング場に半強制的に連れてくぐらいだと思いますけど。」

と未来は笑いながら言った。

「そうだな…。」

と寂しげに礼二は答えた。

礼二は、未来を自分だけの女にしたくなる衝動に駆られた。

相手は、中学生だ冷静になれと自分に言い聞かせていた。

礼二は、有給休暇を使って旅に出た。

海外の紛争地域に行って写真を撮った。

命がけである。

未来を忘れるために、あえて危険と言われている国に行って取材する。

命は美しい。

礼二は、思う。

ボロホテルに泊まりベッドの上に写真を広げる。

取材ノートと照らし合わせてノートに写真を貼っていく。

無意味と思える行為に礼二は陶酔したかった。

日本には、帰りたくないとさえ思った。

しかし、未来の事を忘れる事は出来なかった。

日本に帰国すると、高木美保の担当編集者になった。

美保とはすぐに肉体関係を結んだ。

「ずっと、上野さんに傍にいて欲しかった。」

と美保はベッドの中で言った。

「俺みたいなろくでなしのどこが良いの?」

「ろくでなしなところが良いの。粗暴で口が悪くて、でも、セックスが上手い。」

礼二は、タバコに火をつけて大きな窓から見下ろせる光を見つめていた。

あの光の中に、未来がいる。

礼二の背中に美保はそっと抱き付いた。

「そんなに、松本未来が気になる?」

「ガキには興味は無い。」

好き、愛してる?

女は、抱くとそればかりだ。

礼二の心は蝕まれていく…。

このまま、死んでしまいたくなる。

礼二は、気持ちを整理して高校生になった未来に会いに行った。

「ボウリング行くぞ。」

断られると思っていたが

「はい。」

と未来は答えた。

やはり自分には嘘をつけなかった。

未来は、また綺麗になっていた。

ボウリング場に着くと未来から提案してきた。

「わたしが勝ったら朝まで一緒に過ごして下さい。」

礼二は、耳を疑った。

好きな女の前では動揺は隠せなかった。

「ああ…。」

礼二は、本気でやったが未来に負けた。
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