妊娠条令

誕生

それから半月経過して遥香は妊娠した。

圭介が気をきかせて実家に帰らせた。

遥香は、圭介の運転する車で送られた。

「体、大切にね。」

と圭介が言うと遥香はありがとうと明るい声で言った。

しかし、遥香は実家から逃亡した。

圭介は、内心そんな気がしていたが実際にそうなると辛かった。

見つけ出して捕まれば死刑執行しなければならない。

孝は死に物狂いになって遥香を捜索させた。

工場は、変わらずに質と量で勝負している。

第二工場、第三工場は第一工場よりも生産や質を下げなければ睨まれると思い偽造の結果報告書を提出していた。

第二工場は、本当にぎりぎり第一工場が生産と質が事実上回っていた。

しかし、第三工場、遥香の彼氏三浦兼がいる工場だけは質も量も第一工場を上回っていた。

三浦兼は、マシーンのように女達を妊娠させていく。

遥香の行方は、半年経過しても見付からなかった。

孝は、匙を投げて圭介に遥香よりも美しい女達を見合いさせた。

圭介も、あれを初体験した事で女性を受け入れやすい性格になっていた。

その中でも体の関係がとても良くて妻に迎え入れやすい女が現れた。

田中緑二十歳である。

圭介は、付き合い始めて一年で田中緑と結婚した。

孝も大喜びだった。

緑のお腹には孫も出来たからだ。

久しぶりに工場から離れて海外で緑と過ごした。

「ねぇ、圭ちゃん何でわたしを選んでくれたの？」

体の相性が良いからとは言えずに

「自然と緑に惹かれたんだ。」

と圭介は嘘をついた。

「わたしも…。」

圭介も緑の存在で遥香の事を忘れていたそんな矢先に孝から帰国命令の電話がかかって来た。

「この！アバズレが！」

と第一工場の工場長室で全裸にされて孝に鞭で叩かれてる女がいた。

遥香だった。

「圭介、お前も鞭を入れてやれ！」と

孝は言いながら鞭を圭介に渡した。

「俺には関係無い。オヤジの好きにすれば良い。」

と言って圭介は鞭を返した。

遥香の姿を圭介は見ていられなくなった。

安定した仕事

妻の存在

が圭介を変えた。

もう面倒はごめんだ。

「そうかじゃあ俺のオモチャにしてやる。」

孝は嬉しそうに言った。

じゃあ、遥香は子供はどこで産んだ？

それだけ確かめたくて倒れこんでいる遥香に圭介は聞いた。

「流産したわ。」

分かりやい嘘だった。

「圭介、今さら子供なんて良いだろう。」

「いや、父さん大切な事だよ。子供が遥香を待っているんだ。」

「相変わらず優しいのね、おめでたい人。」

「何だと！」

孝は、鞭を振り上げた。

しかし、圭介に止められた。

「圭介、まだこの女に未練があるのか？」

「ある。遥香と僕の子供に会いたいんです。」

遥香は、顔を上げて圭介を見つめた。