妊娠条令

父と子供

「口が裂けても言わない！」

「遥香、分かってくれないかい？僕はずっと待ってたんだよ。君の帰りを。」

圭介が遥香の頭を触ろうとすると遥香はそれを避けるように後退した。

「父さん、あのチームを呼べば遥香が教えてくれるかもしれません。遥香が子供の居場所を吐いたら連絡下さい。」

「ああ！」

少し孝は、興奮気味である。

圭介は、自宅に戻ってベッドの中に潜り込んだ。

「お義父さんなんだって？」

緑が心配そうに聞いてきた。

「たいした事ではないよ。ただの仕事の打ち合わせをしてきたんだ。」

「寝てなかったの？」

「何か心がざわざわしてね。」

女の勘はすごい。

遥香を落とすのに二日間かかった。

子供は、叔父に預けていた。

すぐに孝は、車を飛ばした。

叔父に抵抗されたが孝の拳で黙らせて連れて来た。

「お母さん！」

「守！」

感動の再会を演出した。

抱き合う二人を黙って圭介は見ていた。

「これでまた後継者が出来たな。」

孝は、上機嫌だった。

緑には言わない方が良いと思った。

やっと安定期に入ったばかりで外部の揉め事に巻き込みたくはなかった。

緑のお腹の中には女の子が宿っていた。

守は、男の子だった。

孝は、二人で将来的に経営を任せたいようだ。

「男とか女は関係無い！」

と言っていた。