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4月26日 最後の探索がはじまる
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『……カナタの提案でいかへん?』
『けど!』
『確かにパーティの条件は達成できへんけど、そもそも友好度マックスも条件やろ? ミキニャが日中自動行動になるとしたら、どうやっても友好度は下がってまう』
『なるほど。そもそも友好度マックス状態で一緒に行動するのは不可能か』
『それと、これは俺の願望も含まれるんやけど……これまで、アーレジェで条件が満たされないと発現せんようなイベントってなかったやん? 扉が開かへんことはあっても、そこにあるイベントは隠されてない……みたいな』
ウワバミが小さく笑った。
ARK LEGENDがこんなに長い間愛されていたのも、そういうスタンスがあったからだと思う。どんなに難易度が高いイベントも、コツコツがんばれば必ずクリアできるようになっているのだ。
『儂らはとにかく小さなとっかかりを見逃さんように隅々まで調べること、か』
『すきまなくマップを調べるには、どう分けたらいいかな?』
ミキニャが不定期になる以上、マップを三等分して、空白ができないようにしなければならない。
『中央プラス東西はどうじゃ? 城とその地下、西地区と東地区。これなら、境界線がはっきりしとるが』
ということは。同意した3人のアバターが顔を見合わせる。意味のないアクションだが、こういう細かな動作があることで、ゲームがよりリアルに感じられる。
『中央は俺だよな。地下水路はアンデッドが多いし』
この初期マップなら最高レベルの金紋章をもってすれば、職業がなにであっても危険なんて存在しない。ただし、新たなイベントが発動すればその限りではなくなるだろう。だとすれば、アンデッドの出るマップには浄化魔法が使える神官のカナタがもっとも適している。
『西の魔法街には儂が行こう』
『東の市場は俺』
『ミキニャは儂と西についてきてもらってもいいか?』
『もちろん。丘の廃墟は魔法封じやもんな』
『通常なら、杖の一撃で充分じゃが、念のためにな』
それじゃ、進捗や何かあれば酒場の掲示板へ。そう確認しあうと、カナタとユーリは順にパーティを抜けた。残されたウワバミが自動行動のミキニャを連れて杖を振る。ふたりの姿が一瞬で消えた。
『移動魔法、便利やなぁ』
『俺たちはチマチマ足で移動だもんね』
それじゃ。手を振りかけたところで、ユーリがカナタの前に立ち塞がった。
『なぁ! 別行動中ってひとりでヒマやん? 通話とかしながらできへん?』
カナタはまたすぐに答えられなかった。
ARK LEGENDの世界では、同じ画面内にいるプレイヤーとしか会話ができない。離れた場所にいる仲間と会話をするには、ゲーム外で繋がるしかないのだ。
ユーリはミキニャだけじゃなくて、カナタともリアルで繋がっていいと思ってくれている。それだけで、くすぶっていたカナタの嫉妬心がスッと消えた。
『……ごめん。俺、ウィスコードとかやってなくて……』
そう口にしてから、無理のある言い訳だったと気づいた。やってないなら始めればいいだけだ。そんなもの、5分もあればアカウントは作成できる。それを、やらないということは「繋がりたくない」と言っているのに等しい。
しまった。焦りにコントローラーを握った手が汗ばんでいる。きっと気を悪くさせてしまった。せっかく一緒に最後の伝説を探そうと誘ってくれたのに。
『そっか。残念やなぁ。ほな、さっさとイベント見つけてまたパーティ行動しよ』
ちゃんと、食事とストレッチすること。そう言い残したユーリが東の市場方面へと去って行った。
翼は、一気に息を吐き出して、椅子の上で脱力していた。念のためマイクの音量をオフにして、ぬるくなった麦茶を飲む。
「……絶対、気分悪くさせたよな……俺ってなんでこんな……」
自己嫌悪に陥りながらも別行動になったことにホッとしてしまう。少なくとも丸一日は探索にかかるだろうから、そのあいだに心を落ち着かせよう。
一緒に過ごしたいと思っているのに、距離が近くなるたび怖くなってしまう。ゲーム内のカナタみたいな容姿だったら、リアルで繋がることにも躊躇しないのに。実際の翼はクソダサ陰キャで、カナタと比べられたくない。
もっと違うアバターにすればよかった。現実には存在しない獣人だってキャラメイクできる。理想の自分なんて作らなきゃよかった。
城下の街は、相変わらずプレイヤーが多く行き交っている。サ終を目前にログインしてきたにわか勢もいるのだろう。
『けど!』
『確かにパーティの条件は達成できへんけど、そもそも友好度マックスも条件やろ? ミキニャが日中自動行動になるとしたら、どうやっても友好度は下がってまう』
『なるほど。そもそも友好度マックス状態で一緒に行動するのは不可能か』
『それと、これは俺の願望も含まれるんやけど……これまで、アーレジェで条件が満たされないと発現せんようなイベントってなかったやん? 扉が開かへんことはあっても、そこにあるイベントは隠されてない……みたいな』
ウワバミが小さく笑った。
ARK LEGENDがこんなに長い間愛されていたのも、そういうスタンスがあったからだと思う。どんなに難易度が高いイベントも、コツコツがんばれば必ずクリアできるようになっているのだ。
『儂らはとにかく小さなとっかかりを見逃さんように隅々まで調べること、か』
『すきまなくマップを調べるには、どう分けたらいいかな?』
ミキニャが不定期になる以上、マップを三等分して、空白ができないようにしなければならない。
『中央プラス東西はどうじゃ? 城とその地下、西地区と東地区。これなら、境界線がはっきりしとるが』
ということは。同意した3人のアバターが顔を見合わせる。意味のないアクションだが、こういう細かな動作があることで、ゲームがよりリアルに感じられる。
『中央は俺だよな。地下水路はアンデッドが多いし』
この初期マップなら最高レベルの金紋章をもってすれば、職業がなにであっても危険なんて存在しない。ただし、新たなイベントが発動すればその限りではなくなるだろう。だとすれば、アンデッドの出るマップには浄化魔法が使える神官のカナタがもっとも適している。
『西の魔法街には儂が行こう』
『東の市場は俺』
『ミキニャは儂と西についてきてもらってもいいか?』
『もちろん。丘の廃墟は魔法封じやもんな』
『通常なら、杖の一撃で充分じゃが、念のためにな』
それじゃ、進捗や何かあれば酒場の掲示板へ。そう確認しあうと、カナタとユーリは順にパーティを抜けた。残されたウワバミが自動行動のミキニャを連れて杖を振る。ふたりの姿が一瞬で消えた。
『移動魔法、便利やなぁ』
『俺たちはチマチマ足で移動だもんね』
それじゃ。手を振りかけたところで、ユーリがカナタの前に立ち塞がった。
『なぁ! 別行動中ってひとりでヒマやん? 通話とかしながらできへん?』
カナタはまたすぐに答えられなかった。
ARK LEGENDの世界では、同じ画面内にいるプレイヤーとしか会話ができない。離れた場所にいる仲間と会話をするには、ゲーム外で繋がるしかないのだ。
ユーリはミキニャだけじゃなくて、カナタともリアルで繋がっていいと思ってくれている。それだけで、くすぶっていたカナタの嫉妬心がスッと消えた。
『……ごめん。俺、ウィスコードとかやってなくて……』
そう口にしてから、無理のある言い訳だったと気づいた。やってないなら始めればいいだけだ。そんなもの、5分もあればアカウントは作成できる。それを、やらないということは「繋がりたくない」と言っているのに等しい。
しまった。焦りにコントローラーを握った手が汗ばんでいる。きっと気を悪くさせてしまった。せっかく一緒に最後の伝説を探そうと誘ってくれたのに。
『そっか。残念やなぁ。ほな、さっさとイベント見つけてまたパーティ行動しよ』
ちゃんと、食事とストレッチすること。そう言い残したユーリが東の市場方面へと去って行った。
翼は、一気に息を吐き出して、椅子の上で脱力していた。念のためマイクの音量をオフにして、ぬるくなった麦茶を飲む。
「……絶対、気分悪くさせたよな……俺ってなんでこんな……」
自己嫌悪に陥りながらも別行動になったことにホッとしてしまう。少なくとも丸一日は探索にかかるだろうから、そのあいだに心を落ち着かせよう。
一緒に過ごしたいと思っているのに、距離が近くなるたび怖くなってしまう。ゲーム内のカナタみたいな容姿だったら、リアルで繋がることにも躊躇しないのに。実際の翼はクソダサ陰キャで、カナタと比べられたくない。
もっと違うアバターにすればよかった。現実には存在しない獣人だってキャラメイクできる。理想の自分なんて作らなきゃよかった。
城下の街は、相変わらずプレイヤーが多く行き交っている。サ終を目前にログインしてきたにわか勢もいるのだろう。
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