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4月26日 最後の探索がはじまる
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『不意打ちかよ……!』
このレベル帯になってからは、不意打ちなんてされることがなかった。慌てて回復呪文を唱えると、次の攻撃はなんとか防ぐことができた。
浄化呪文があまり効かない。ヘドロの塊みたいなモンスターは水属性みたいだ。
アイテムボックスから火属性を与えるアイテムをユーリに使う。物理攻撃は効いているようだから、ここはサポートに回るほうがいいと判断した。
ユーリの動きはいつ見ても惚れ惚れする。カナタも決してゲームが下手な方ではないが、接近戦での操作はどうしても単調になってしまう。ユーリはというと、回避アクションからのカウンターが流れるように決まっていくのだ。
ヘドロのモンスターは、ある一定の攻撃を受けると分裂するようだった。その小さな一体がカナタへと飛びかかってくる。
『キリがないよ!』
『溜めゲージもうすぐ溜まる! ちょっとずつ削るわ!』
分裂するギリギリまでモンスターの体力を削る。ユーリが攻撃を受けることで溜まる怒りのゲージは、あと少しでマックスだ。
そのとき、モンスターが見たことのない動きをし始めた。コントローラーが激しく振動する。
『防御せぇ!』
ユーリの叫び声に合わせて、カナタも防御モーションに入る。それでも、ジリジリと削られていく体力ゲージに、冷や汗が出た。
『カナタ! 大丈夫か!?』
大きな波が去って、なんとか瀕死手前で持ちこたえた体力にホッとする。そこで、画面の違和感に首を傾げた。カナタの白い装束がいつもと違う?
『え、なんで……こんな効果なかったよな?』
目の前に両腕を持ち上げ、全身を眺める。
『どうしたん? って、カナタの服、破れてるやん。なんで?』
同じように驚いたユーリの声に、もしかしてとユーリをまじまじと見つめた。ユーリのほうは頑丈な鎧のおかげか、ほとんど変わりなく見える。
『新しい要素ってことは、やっぱりここが隠しイベントな感じかな?』
そんなことをつぶやきつつ、回復呪文のモーションをしたところで、目の端になにかが横切った。
『二段階攻撃!?』
普通、大技を出した直後は動けなくなる。だから油断してしまった。あの攻撃は、大技と連続して通常攻撃を重ねてくる嫌なものだったのだ。
『間に合わない!』
神官の回避能力で躱すのは不可能だ。ゲームオーバーが脳裏にちらつき、思わず目を瞑った。
『あれ?』
握りしめたコントローラーには振動がこない。おそるおそる目を開けると、画面いっぱいに、ユーリの鎧が映っていた。
『うわ……』
焦りに声が上ずりかけて、慌てて口をつぐんだ。
戦士のスキルのひとつである「かばう」が発動したのだ。ユーリの大きな身体が、カナタに覆い被さるようになっている。熱も重みも感じるわけじゃないのに、抱き締められているような錯覚で動けなくなった。
しかも、今度はユーリの装備がボロボロになって、ところどころ頑強な肉体が露出しているのだ。つまり、生身のユーリに抱き締められている生身のカナタ、というシチュエーションが完成しているわけで……。
感触なんかもちろんない。だけど、VRごしの視界には、限りなく接近したユーリの身体が、自分を抱き締めていて。心臓があり得ないくらいリズムを早めている。
次の瞬間、立ち上がったユーリがマックスになった怒りのゲージを解放する。特殊必殺技でモンスターがやっと消滅した。
『死ぬかと思ったわ……』
座り込んだままのカナタの前にしゃがんだユーリは、さすが戦士の体力で余裕はあるものの、アバターはキズだらけになっている。そう、キズだらけの戦士がまた色っぽいのだ。ましてや、今は破損した装備のあいだから、最高にかっこいい筋肉が見えている。翼の指は、無意識にショートカットボタンを押し、いい感じの角度に視点を調整してスクリーンショットを取っていた。
『ユーリ。ありがとう』
裏返りそうになる声をなんとか宥めて、かばってもらったお礼を言いつつ、回復呪文を唱える。ユーリの傷がみるみるきれいになると同時に、どんな作用なのか装備の破損も直っていた。ちょっと残念だ。
『服も直るんやな。ってことは、先にカナタのほう治さんとあかんやん。それ、むっちゃ破れとるし』
どこか焦ったようなユーリが、カナタの傷に触るように手を伸ばした。
距離が、近い――。
ユーリの手がカナタの肌に触れそうだ
間近に迫る推しの顔に、心臓が情けなく騒いでいる。むしろこれでトドメを刺されそうだ。
あらためて自分を見ると、ユーリ以上に酷い有り様で、ボロボロの布からはきれいな肉体が傷を作っている。好みの身体が傷を負ったビジュアルが良さ過ぎて、カナタはまたスクリーンショットを撮っていた。
『ほら、はよ呪文』
ユーリになぜか急かされ、自分を回復させると、今度はアイテムでMPを回復させる。やっと落ち着いたとばかりにユーリが胸を撫で下ろすアクションをした。
このレベル帯になってからは、不意打ちなんてされることがなかった。慌てて回復呪文を唱えると、次の攻撃はなんとか防ぐことができた。
浄化呪文があまり効かない。ヘドロの塊みたいなモンスターは水属性みたいだ。
アイテムボックスから火属性を与えるアイテムをユーリに使う。物理攻撃は効いているようだから、ここはサポートに回るほうがいいと判断した。
ユーリの動きはいつ見ても惚れ惚れする。カナタも決してゲームが下手な方ではないが、接近戦での操作はどうしても単調になってしまう。ユーリはというと、回避アクションからのカウンターが流れるように決まっていくのだ。
ヘドロのモンスターは、ある一定の攻撃を受けると分裂するようだった。その小さな一体がカナタへと飛びかかってくる。
『キリがないよ!』
『溜めゲージもうすぐ溜まる! ちょっとずつ削るわ!』
分裂するギリギリまでモンスターの体力を削る。ユーリが攻撃を受けることで溜まる怒りのゲージは、あと少しでマックスだ。
そのとき、モンスターが見たことのない動きをし始めた。コントローラーが激しく振動する。
『防御せぇ!』
ユーリの叫び声に合わせて、カナタも防御モーションに入る。それでも、ジリジリと削られていく体力ゲージに、冷や汗が出た。
『カナタ! 大丈夫か!?』
大きな波が去って、なんとか瀕死手前で持ちこたえた体力にホッとする。そこで、画面の違和感に首を傾げた。カナタの白い装束がいつもと違う?
『え、なんで……こんな効果なかったよな?』
目の前に両腕を持ち上げ、全身を眺める。
『どうしたん? って、カナタの服、破れてるやん。なんで?』
同じように驚いたユーリの声に、もしかしてとユーリをまじまじと見つめた。ユーリのほうは頑丈な鎧のおかげか、ほとんど変わりなく見える。
『新しい要素ってことは、やっぱりここが隠しイベントな感じかな?』
そんなことをつぶやきつつ、回復呪文のモーションをしたところで、目の端になにかが横切った。
『二段階攻撃!?』
普通、大技を出した直後は動けなくなる。だから油断してしまった。あの攻撃は、大技と連続して通常攻撃を重ねてくる嫌なものだったのだ。
『間に合わない!』
神官の回避能力で躱すのは不可能だ。ゲームオーバーが脳裏にちらつき、思わず目を瞑った。
『あれ?』
握りしめたコントローラーには振動がこない。おそるおそる目を開けると、画面いっぱいに、ユーリの鎧が映っていた。
『うわ……』
焦りに声が上ずりかけて、慌てて口をつぐんだ。
戦士のスキルのひとつである「かばう」が発動したのだ。ユーリの大きな身体が、カナタに覆い被さるようになっている。熱も重みも感じるわけじゃないのに、抱き締められているような錯覚で動けなくなった。
しかも、今度はユーリの装備がボロボロになって、ところどころ頑強な肉体が露出しているのだ。つまり、生身のユーリに抱き締められている生身のカナタ、というシチュエーションが完成しているわけで……。
感触なんかもちろんない。だけど、VRごしの視界には、限りなく接近したユーリの身体が、自分を抱き締めていて。心臓があり得ないくらいリズムを早めている。
次の瞬間、立ち上がったユーリがマックスになった怒りのゲージを解放する。特殊必殺技でモンスターがやっと消滅した。
『死ぬかと思ったわ……』
座り込んだままのカナタの前にしゃがんだユーリは、さすが戦士の体力で余裕はあるものの、アバターはキズだらけになっている。そう、キズだらけの戦士がまた色っぽいのだ。ましてや、今は破損した装備のあいだから、最高にかっこいい筋肉が見えている。翼の指は、無意識にショートカットボタンを押し、いい感じの角度に視点を調整してスクリーンショットを取っていた。
『ユーリ。ありがとう』
裏返りそうになる声をなんとか宥めて、かばってもらったお礼を言いつつ、回復呪文を唱える。ユーリの傷がみるみるきれいになると同時に、どんな作用なのか装備の破損も直っていた。ちょっと残念だ。
『服も直るんやな。ってことは、先にカナタのほう治さんとあかんやん。それ、むっちゃ破れとるし』
どこか焦ったようなユーリが、カナタの傷に触るように手を伸ばした。
距離が、近い――。
ユーリの手がカナタの肌に触れそうだ
間近に迫る推しの顔に、心臓が情けなく騒いでいる。むしろこれでトドメを刺されそうだ。
あらためて自分を見ると、ユーリ以上に酷い有り様で、ボロボロの布からはきれいな肉体が傷を作っている。好みの身体が傷を負ったビジュアルが良さ過ぎて、カナタはまたスクリーンショットを撮っていた。
『ほら、はよ呪文』
ユーリになぜか急かされ、自分を回復させると、今度はアイテムでMPを回復させる。やっと落ち着いたとばかりにユーリが胸を撫で下ろすアクションをした。
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