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5月8日 現実世界
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――田中さん! 田中翼さん! 聞こえますか!?
大きく呼ばれる声に、ぼんやりと目を開けた。大勢の人が翼を見下ろしている。見慣れた天井と壁が、ここが翼の部屋だと主張していた。
ログアウトできたのだ。
確か、昨日の朝にユーリから7日だと言われて……。
「っ仕事……!!」
2日も無断欠勤になってしまう。焦って飛び起きた翼を、いくつもの手が支えた。そこで、翼の腕に点滴が刺さっていることにも気づく。こんなの重病人みたいだ。他人事に思いながらも、見知らぬ人に支えさせていることが申し訳なくて、自力で座ろうと力を込めた。
「急に動かないで。落ち着いて……」
よくよく見ると、翼の部屋にいるのは多分救急隊員の人たちで、離れた玄関あたりには担架が準備されている。
「田中さんは4日間座りっぱなしで、飲まず食わずなんです。今から病院に搬送して検査をしますので、ゆっくり横になってください」
「けど、職場にせめて電話を……俺の携帯……」
見慣れた端末をパソコンデスクに見つけて指差した。救急隊員のひとりがそれを手渡してくれる。急いで電話をかけようとディスプレイをタップして……。
「充電0!?」
そりゃそうだ。4日も放置していればそうなる。どうして充電に繋いでおかなかったのだろう。後悔してもどうしようもない。こんなことになるなんて、予想できるはずもないのだ。
救急隊に言われるままに身分証などを準備し、翼は仰々しくも担架で救急車に乗せられる羽目になった。出動に際しては、株式会社ARCから警察への通報があり、そこからログ解析、プロバイダ開示を経て、翼の住所にたどり着いたらしい。どうしてさっさと住所を言わなかったのだという説教にひたすら謝った。
検査の結果は、中程度の脱水症と軽い疲労だと伝えられた。あいかわらず、身体だけは丈夫だ。
「それじゃ、もう帰ってもいいですか?」
「ダメです」
にこにこと柔和な担当医師にキッパリ言われ、肩を落としてしまう。入院なんてしたら一体いくら医療費がかかるのだろう。しがない独身男にそんな余裕があるはずもなく、一刻も早く帰りたいところだ。
「事情が事情なので、月曜日に脳波の検査をします。退院はそれからになります」
ゆっくり休んでください。そう言い残して医師が出て行った。翼がいるのは個室で、それも金額が不安で仕方ない。なんとか充電できた端末を引き寄せ、ブラウザを開いた。
個室 入院代
「うわっ……マジかよ。こんなの払えないって……あ、でも病院都合なら払わなくていい? これじゃね?」
運ばれてきた味の薄い病人食は柔らかすぎて食べる気になれない。絶食のあとだからと看護師に言い諭され、なんとか半分ほどを飲み込んだ。
時刻は19時前で、職場は定時退社時刻を過ぎている。どうしようかと迷いながらも、この時間なら上の人が電話に出てくれるかもと、深呼吸をして直通番号に電話をかけた。
直属の上司である課長の高梨が電話口に出てくれたことにホッとして、とにかく無断欠勤を謝り、現在入院していることだけを伝えた。検査結果が月曜になるから詳しいことはまた連絡するとごまかせたのは、我ながら上出来だ。
この件に関して、翼は現時点でどこまで人に言ってもいいものか判断できなかった。
翌日、近くに住む兄が翼の着替えなどを抱えてやってきた。連絡を受けた母にでも頼まれたのだろう。弟が特に問題ないと判断すると、兄はさっさと帰っていった。別に兄弟仲が悪いわけでもなく、昔からこんな感じだ。翼自身もそのほうが気兼ねなくていい。
午後になると、看護師が面会希望の人が来ているが体調はどうかと尋ねてきた。正直、人としゃべるのは苦手だったが、とにかく今は情報に飢えている。了承を伝えると程なくして、病室がノックされた。
「どうぞ」
お邪魔しますと入ってきたのは、50歳半ばほどの男性だった。背が高く、同じくらい横幅も立派な男性は、人のよさそうな垂れ目をしゅんとさせて頭を下げた。
「株式会社ARCの槻間透と言います。田中さん、このたびは大変申し訳なく……」
丁寧な言葉の途中で、翼は気づいてしまった。
「つ、つ……つ……tsukiさん!?」
総理大臣に遭遇するよりも、断然興奮してしまう状況に、翼はパクパクと口を開閉させていた。雑誌などのインタビューで見たままのtsukiは、少し表情を緩め、tsukiですと照れたように名乗った。
tsukiは、明日記者会見があること、翼の勤務先に事情を説明したいこと、また翼の個人情報は完全に守ること、この件において充分な補償をしたいことなどを、ゆっくりした口調で説明してくれた。
翼としても、別に体調もいつもどおりで、そもそも目立ちたくないから他人にしゃべるようなこともしたくない。つまり、tsukiからの申し出になんら異存はなかった。
帰り際のtsukiに、たどたどしくもサインを頼み、兄が届けてくれた荷物が入っていた不織布のバッグを差しだした。
「俺、ARK LEGENDがずっと支えでした。すごく楽しくて……最後の伝説も残してくれてうれしかったです」
「あの部屋に入れたのかい?」
「はい。信頼できるパーティがいたので、見つけられました」
ユーリとミキニャとウワバミと……翼から離れてしまったけれど、あの日々はかけがえのないものだった。きっと一生忘れない。
「ありがとうございました。もしかすると、すぐには無理なのかもしれないですけど、Ⅱも楽しみにしています」
ユーリからtsukiのスタンスを聞いたことで、新しいARK LEGENDを受け入れられそうだ。tsukiはプレイヤーがつらい思いをするゲームなんか絶対に作らない。
「ありがとう。きちんとみんなのところに届けられるようにがんばるよ」
そう笑って、tsukiが帰っていった。
「夢みたいだ……tsukiさんとしゃべっちゃったよ……」
しかもサインまでもらって。翼にすれば神様としゃべったに等しい。
ひとりになって、やっと今の状況をゆっくりと分析できるようになった。
ゲームの世界にひとり取り残されたこと、ユーリが助けに来てくれたこと、非合法の感覚的VRの体験……ユーリの感触――。
思い出して顔が熱くなってしまう。
「身元は完全に伏せてくれるって言ってたし、ユーリにも分かんないよな、きっと」
カナタはもういないのだ。翼は、やっぱり現実のユーリには会いたくない。カナタとしてのキレイな記憶だけで終わりたい。
「でも、うれしかったなぁ……」
自然とほころぶ表情を、素直に受け入れた。
好きだなんてはじめて言われた。
偽物でも抱き合えてキスだってできて、それから、始めて自分から誰かに好きだと伝えた。
「俺、結構がんばったじゃん」
携帯端末には木彫りのブタのストラップが揺れている。今となっては、どの記憶も夢だったんじゃないかとさえ思えてくる。
翌日は病室のテレビで記者会見を見て、予想以上に大きな事態になっていることに驚いた。SNSもARK LEGENDの話題で持ちきりで、おすすめタグもアーレジェオンリーだ。
「すげぇな。会社のほうにどんな説明されてるんだろ……」
そんなことを考えていると、課長の高梨が社長とともに見舞いに訪れた。もっとも、入社式で見たきりの社長の顔など覚えているはずもなく、高梨に言われるまで翼はきょとんとそのハゲオヤジを眺めていた。
「え、すぐに出勤できるのかね!?」
大げさに驚く社長に首を傾げてしまう。
「はい。別に体調も元に戻ってますし、まぁ月曜に脳波の検査があるみたいですけど、なにもなければ午後には退院していいそうです」
入院代がどれだけかかるか分からない状態で、無駄に欠勤したくない。内心でそう付け加えると「なので、火曜日には出勤します」と、さも当然と答えた。驚愕している社長は、翼の状態について、どうも必要以上に大事だと勘違いしているようだ。ゲームに詳しくない人にすれば、そんなものなのかも知れない。
高梨は隣で笑いを噛み殺している。ARCからの対応は高梨がしてくれたらしい。
「うちの部としても早く復帰してくれるとありがたいよ」
「? 自分なんかがいなくても、そこまで変わらないとは思いますけど……」
翼ごとき、たった数日いないくらいでなんてことないだろう。そんな翼に、また高梨が笑いを堪えた。
「いや、まぁ大変だったんだよ。来てみれば分かるよ」
それじゃ、無理しないようにね。高梨はまだ納得できていなさそうな社長を連れて帰っていった。
部内で恐れられている高梨だが、翼はそこまで苦手ではない。合理的で話が早いところが大変助かるのだ。
結局、脳波も異常なし。
翼は11日の午後、晴れて自宅に戻ることができた。
「……落ち着く……」
狭いワンルームがこれほど恋しかったことはない。5日にログインしておよそ1週間、予期せぬ旅に行っていたようなものだ。
VRヘッドセットのバウティスタVR pro7は回収になり、すでに翼の部屋には残っていない。パソコンを立ち上げ、少し怯みつつもARK LEGENDを立ち上げた。
「はは……動かないや……」
真っ黒な画面に、ARK LEGENDのロゴが表示されたまま動かない。
「終わったんだ……ホントに……」
遅れてきた実感が怒濤のように押し寄せて、翼の涙腺を破壊していく。もうユーリにも会えない。翼の理想だったカナタにもなれない。あの世界はどこにもなくなった。
涙で霞んだ視界のまま、フォルダを開いてユーリとの思い出を振り返る。大好きな笑顔のユーリがそこかしこでカナタに笑いかけていた。
そこで、最後の探索で撮っていた動画が目に入った。
「あっ」
慌ててパソコンの通知を見れば、怒濤のような未読メッセージ数が表示されている。コマだ。
大きく呼ばれる声に、ぼんやりと目を開けた。大勢の人が翼を見下ろしている。見慣れた天井と壁が、ここが翼の部屋だと主張していた。
ログアウトできたのだ。
確か、昨日の朝にユーリから7日だと言われて……。
「っ仕事……!!」
2日も無断欠勤になってしまう。焦って飛び起きた翼を、いくつもの手が支えた。そこで、翼の腕に点滴が刺さっていることにも気づく。こんなの重病人みたいだ。他人事に思いながらも、見知らぬ人に支えさせていることが申し訳なくて、自力で座ろうと力を込めた。
「急に動かないで。落ち着いて……」
よくよく見ると、翼の部屋にいるのは多分救急隊員の人たちで、離れた玄関あたりには担架が準備されている。
「田中さんは4日間座りっぱなしで、飲まず食わずなんです。今から病院に搬送して検査をしますので、ゆっくり横になってください」
「けど、職場にせめて電話を……俺の携帯……」
見慣れた端末をパソコンデスクに見つけて指差した。救急隊員のひとりがそれを手渡してくれる。急いで電話をかけようとディスプレイをタップして……。
「充電0!?」
そりゃそうだ。4日も放置していればそうなる。どうして充電に繋いでおかなかったのだろう。後悔してもどうしようもない。こんなことになるなんて、予想できるはずもないのだ。
救急隊に言われるままに身分証などを準備し、翼は仰々しくも担架で救急車に乗せられる羽目になった。出動に際しては、株式会社ARCから警察への通報があり、そこからログ解析、プロバイダ開示を経て、翼の住所にたどり着いたらしい。どうしてさっさと住所を言わなかったのだという説教にひたすら謝った。
検査の結果は、中程度の脱水症と軽い疲労だと伝えられた。あいかわらず、身体だけは丈夫だ。
「それじゃ、もう帰ってもいいですか?」
「ダメです」
にこにこと柔和な担当医師にキッパリ言われ、肩を落としてしまう。入院なんてしたら一体いくら医療費がかかるのだろう。しがない独身男にそんな余裕があるはずもなく、一刻も早く帰りたいところだ。
「事情が事情なので、月曜日に脳波の検査をします。退院はそれからになります」
ゆっくり休んでください。そう言い残して医師が出て行った。翼がいるのは個室で、それも金額が不安で仕方ない。なんとか充電できた端末を引き寄せ、ブラウザを開いた。
個室 入院代
「うわっ……マジかよ。こんなの払えないって……あ、でも病院都合なら払わなくていい? これじゃね?」
運ばれてきた味の薄い病人食は柔らかすぎて食べる気になれない。絶食のあとだからと看護師に言い諭され、なんとか半分ほどを飲み込んだ。
時刻は19時前で、職場は定時退社時刻を過ぎている。どうしようかと迷いながらも、この時間なら上の人が電話に出てくれるかもと、深呼吸をして直通番号に電話をかけた。
直属の上司である課長の高梨が電話口に出てくれたことにホッとして、とにかく無断欠勤を謝り、現在入院していることだけを伝えた。検査結果が月曜になるから詳しいことはまた連絡するとごまかせたのは、我ながら上出来だ。
この件に関して、翼は現時点でどこまで人に言ってもいいものか判断できなかった。
翌日、近くに住む兄が翼の着替えなどを抱えてやってきた。連絡を受けた母にでも頼まれたのだろう。弟が特に問題ないと判断すると、兄はさっさと帰っていった。別に兄弟仲が悪いわけでもなく、昔からこんな感じだ。翼自身もそのほうが気兼ねなくていい。
午後になると、看護師が面会希望の人が来ているが体調はどうかと尋ねてきた。正直、人としゃべるのは苦手だったが、とにかく今は情報に飢えている。了承を伝えると程なくして、病室がノックされた。
「どうぞ」
お邪魔しますと入ってきたのは、50歳半ばほどの男性だった。背が高く、同じくらい横幅も立派な男性は、人のよさそうな垂れ目をしゅんとさせて頭を下げた。
「株式会社ARCの槻間透と言います。田中さん、このたびは大変申し訳なく……」
丁寧な言葉の途中で、翼は気づいてしまった。
「つ、つ……つ……tsukiさん!?」
総理大臣に遭遇するよりも、断然興奮してしまう状況に、翼はパクパクと口を開閉させていた。雑誌などのインタビューで見たままのtsukiは、少し表情を緩め、tsukiですと照れたように名乗った。
tsukiは、明日記者会見があること、翼の勤務先に事情を説明したいこと、また翼の個人情報は完全に守ること、この件において充分な補償をしたいことなどを、ゆっくりした口調で説明してくれた。
翼としても、別に体調もいつもどおりで、そもそも目立ちたくないから他人にしゃべるようなこともしたくない。つまり、tsukiからの申し出になんら異存はなかった。
帰り際のtsukiに、たどたどしくもサインを頼み、兄が届けてくれた荷物が入っていた不織布のバッグを差しだした。
「俺、ARK LEGENDがずっと支えでした。すごく楽しくて……最後の伝説も残してくれてうれしかったです」
「あの部屋に入れたのかい?」
「はい。信頼できるパーティがいたので、見つけられました」
ユーリとミキニャとウワバミと……翼から離れてしまったけれど、あの日々はかけがえのないものだった。きっと一生忘れない。
「ありがとうございました。もしかすると、すぐには無理なのかもしれないですけど、Ⅱも楽しみにしています」
ユーリからtsukiのスタンスを聞いたことで、新しいARK LEGENDを受け入れられそうだ。tsukiはプレイヤーがつらい思いをするゲームなんか絶対に作らない。
「ありがとう。きちんとみんなのところに届けられるようにがんばるよ」
そう笑って、tsukiが帰っていった。
「夢みたいだ……tsukiさんとしゃべっちゃったよ……」
しかもサインまでもらって。翼にすれば神様としゃべったに等しい。
ひとりになって、やっと今の状況をゆっくりと分析できるようになった。
ゲームの世界にひとり取り残されたこと、ユーリが助けに来てくれたこと、非合法の感覚的VRの体験……ユーリの感触――。
思い出して顔が熱くなってしまう。
「身元は完全に伏せてくれるって言ってたし、ユーリにも分かんないよな、きっと」
カナタはもういないのだ。翼は、やっぱり現実のユーリには会いたくない。カナタとしてのキレイな記憶だけで終わりたい。
「でも、うれしかったなぁ……」
自然とほころぶ表情を、素直に受け入れた。
好きだなんてはじめて言われた。
偽物でも抱き合えてキスだってできて、それから、始めて自分から誰かに好きだと伝えた。
「俺、結構がんばったじゃん」
携帯端末には木彫りのブタのストラップが揺れている。今となっては、どの記憶も夢だったんじゃないかとさえ思えてくる。
翌日は病室のテレビで記者会見を見て、予想以上に大きな事態になっていることに驚いた。SNSもARK LEGENDの話題で持ちきりで、おすすめタグもアーレジェオンリーだ。
「すげぇな。会社のほうにどんな説明されてるんだろ……」
そんなことを考えていると、課長の高梨が社長とともに見舞いに訪れた。もっとも、入社式で見たきりの社長の顔など覚えているはずもなく、高梨に言われるまで翼はきょとんとそのハゲオヤジを眺めていた。
「え、すぐに出勤できるのかね!?」
大げさに驚く社長に首を傾げてしまう。
「はい。別に体調も元に戻ってますし、まぁ月曜に脳波の検査があるみたいですけど、なにもなければ午後には退院していいそうです」
入院代がどれだけかかるか分からない状態で、無駄に欠勤したくない。内心でそう付け加えると「なので、火曜日には出勤します」と、さも当然と答えた。驚愕している社長は、翼の状態について、どうも必要以上に大事だと勘違いしているようだ。ゲームに詳しくない人にすれば、そんなものなのかも知れない。
高梨は隣で笑いを噛み殺している。ARCからの対応は高梨がしてくれたらしい。
「うちの部としても早く復帰してくれるとありがたいよ」
「? 自分なんかがいなくても、そこまで変わらないとは思いますけど……」
翼ごとき、たった数日いないくらいでなんてことないだろう。そんな翼に、また高梨が笑いを堪えた。
「いや、まぁ大変だったんだよ。来てみれば分かるよ」
それじゃ、無理しないようにね。高梨はまだ納得できていなさそうな社長を連れて帰っていった。
部内で恐れられている高梨だが、翼はそこまで苦手ではない。合理的で話が早いところが大変助かるのだ。
結局、脳波も異常なし。
翼は11日の午後、晴れて自宅に戻ることができた。
「……落ち着く……」
狭いワンルームがこれほど恋しかったことはない。5日にログインしておよそ1週間、予期せぬ旅に行っていたようなものだ。
VRヘッドセットのバウティスタVR pro7は回収になり、すでに翼の部屋には残っていない。パソコンを立ち上げ、少し怯みつつもARK LEGENDを立ち上げた。
「はは……動かないや……」
真っ黒な画面に、ARK LEGENDのロゴが表示されたまま動かない。
「終わったんだ……ホントに……」
遅れてきた実感が怒濤のように押し寄せて、翼の涙腺を破壊していく。もうユーリにも会えない。翼の理想だったカナタにもなれない。あの世界はどこにもなくなった。
涙で霞んだ視界のまま、フォルダを開いてユーリとの思い出を振り返る。大好きな笑顔のユーリがそこかしこでカナタに笑いかけていた。
そこで、最後の探索で撮っていた動画が目に入った。
「あっ」
慌ててパソコンの通知を見れば、怒濤のような未読メッセージ数が表示されている。コマだ。
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