Vegetables

二一

文字の大きさ
50 / 160
Vegetablesー2ー

絶体絶命 9

しおりを挟む
 律の手がゆっくりと俺の腰あたりに触れ、なぞるように移動していく。なにをするでもなくただゆっくりと触れられているだけなのに、俺はもう耐え切れなくなってきていた。

 なぞる指が頂上に到達して、ゆっくりと双丘の谷間に侵入する。

「……っひぁ……ん」

 シーツをさらにきつく握りしめ、声が漏れないように顔を沈めた。力……力を抜かなきゃ――。

「顔、あげろ」

 そんなの無理にきまってる。俺にはこれで精一杯なんだ。

「声が聞こえねぇよ……」

 律はそう呟くと、もう片方の手を俺の顔の下に差し入れ、そのまま持ち上げた。律の指で唇をこじ開けられる。

「っやぁ……あっ……り・・つっ……」

「それでいい……もっとなけよ」

 律の指を噛まないように口を開くと、声が止められない。その間も律は俺の体内を容赦なく責めたてていった。絶間なく耳に入る自分の声に全身が熱くなる。

 もう……イキそっ……。

 その瞬間、急に律が身体を離した。

「千章……まだだ……」

 耳元で意地悪く囁いてくる。こいつサイテーだ……。

 抱き起こされ、座る律の膝を跨ぐように誘導された。これってもしかして――。

「千章……どうするか、わかるな?」

「……っ律っ……むり……」

 そのまま律自身を受け入れながら腰を落とすように、ということなのはわかる――わかるけど。

「千章」

 ダメだ。逆らえない――。

「……ふっ・あ……ん・くぅ・・っ」

 キツイ――これ以上はもう……。それで許してもらえるはずもなく、俺は必死で律を受け入れていった。

「……っは……あぁ……」

「……いい子だ……千章、すげぇエロい……」

 身体が真っ二つに裂けてしまいそうな錯覚に陥る。

「キス」

 律が言う。俺は目の前の律に深く口づけた。律とのキスは好きだ。身体がドロドロに溶けて律と混ざっていくような気分になる。

 無心に律の唇を貪っていると、身体がふっと持ち上げられベッドに寝かせれた。深く繋げたままの動作に身体がぞくりと波うった。

「悪ぃ……ちょい余裕ねぇわ」

 聞き返す間もなく、律は俺の脚を捕まえ、そのまま一気に貫いた。頭の中を火花が散っている。何も考えられない――!

 どこまでが自分で、どこからが律なのかもうわからなくなってきた。

「……律っ……俺っ……もぅっ」

「……いいぜ、イケよ……」

 その瞬間、律が深く抉った。

「……ああぁっ……」

 奈落へと落ちてしまいそうな錯覚に陥り、律の肩を力いっぱい抱いた。律が抱き返してくる。すげぇキモチイイ――。

 このまま寝たら最高かも……。

「千章……千章!」

「んぁ……律?」

「まだだからな?」

 律の笑顔が近い……って言うか、まだ律が入ったまんまっ!?

「律っ! もう無理! 頼むから……ひぁっ……」

「「なんでも言うこと聞く」んだろ?」

「・・んあっ・・はっぁ……む・・りだっ……て」

 もう二度とあんなことしない!

 俺は飛びそうになる意識の隅で固く誓った――。
 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

処理中です...