Vegetables

Vegetablesー２ー

祝！ 就職 １

　眠たい……。

　翌朝六時、俺はまだ半分寝たままの目を必死でこじ開けながらキッチンに立っていた。

　昨夜、家に着いたのは深夜一時を過ぎていて、真っ暗な廊下を這うように自室に入り、そのまま服も着替えず死んだように寝た。

　とりあえず朝飯と弁当作ったらもう一回寝よう――二人分の弁当を詰めながらそう思った。

「千章、おはよー。あんたさぁ、昨日だれと一緒にいたの？」

　甲高い美晴の声が頭に響く。元はと言えば元凶はこいつだよな。

　俺は腹立たしくなって、美晴を無視したまま、朝食用の目玉焼きを焼き始めた。

　弁当の準備もあと数日だ。俺の仕事が始まったら、俺が仕事のときは各自で準備するのが決まりだ。まぁ、そうはいっても美晴は料理できないし、ほとんど母がすることになるのは目にみえてる。

「小塚製薬の子が、夕べあんたに電話したらむっちゃ怖い男が出た、って言ってたわよ？」

「誰だっていいだろ？」

「帰ったのだって遅かったみたいだしさー。環たちじゃないわよねぇ。あいつらじゃそこまで怖くないだろうしぃ」

　ああぁウルサイ……。

「はい、弁当。朝飯ここ。俺は寝る！」

　一方的に怒鳴って部屋に戻った。あ、朝飯食うの忘れた――ま、いっか。とにかくダルイし眠い。

　俺は一瞬で深い眠りに落ちた。