Vegetables

二一

文字の大きさ
122 / 160
Vegetables―スピンオフ―

あいつらの旅行 8

しおりを挟む
 言い終わらないうちに起き上がりかけた腹を押し戻され、熱をもち始めたおれ自身を律が口に含んだ。直接的な刺激につま先まで一気に痺れが伝わっていく。

「っん――律……ゃだ……んっ」

 意地悪な律の舌が焦らすようにゆっくりと絡みつく。おれは中庭が気になって、それでいて自身の中心からの刺激にも晒され、どうしようもないほど熱が上がっていった。

 極度の緊張感を強いられた身体が、有りえないほどの欲望を生み出し支配していく。

 思考回路がどんどん崩れ落ちていく感覚――。

「……っふ……ん……り・つ――まだ、イキたくない……」

 体内を駆け巡る衝動を必死で堪えながら律に訴えた。どうかしてる――こんな状況で……頭の隅では極僅かに残った理性が語りかけてはいたけど、もうおれ自身どうしようもなかったんだ。

「……そんなに煽るな」

 顔をあげた律が目を細めている。欲情した律はぞくりとするほど艶かしい。

「律、ジッとしてろよ……」

 おれだけが翻弄されてるなんて腹が立つじゃないか――。

 身体の熱を宥めながらゆっくりと起き上がり、律の下肢へと手を伸ばした。

 跪くように屈み、浴衣の下ですでに頭を擡げている律をゆっくりと探し当て、仕返しとばかりに口に含んでやる。律が軽く跳ねたのが分かった。

「っんっ――ん」

 徐々に膨張していく律を感じながら一心に舌を絡める。

「っ千章……コッチこい」

 不意に身体が浮き上がり向きを変えられる。律の上に跨るようなこの姿勢は――。

「ちょっ――律っ……コレ……っ」

「ほら、続けろよ?」

 熱を含んだ律の声、その瞬間に腰を捉えられ再び自身を含まれた感触――。

「ぅあっ……ゃあ……んっ律……やめ」

 恥ずかしさで気が狂いそうだ。

「千章――このままイカしてやろうか?」

「っ――咥えたまま、しゃべるなぁっ……ひゃぁあ――」

 わざとらしく吸い上げられ背筋が反り上がる。

 結局いいように翻弄されてる――悔しい。

「んっ――」

 目の前の律を捉え、目を瞑って意識を口内にだけ集中させる。視覚を遮ったことで部屋に響く唾液の音は一際大きく耳に訴えかけ、余計に熱を高めていく。

 畳についた膝がガクガクと震え始めた。

「ん、ふっ……っ!? ――ゃあっ……」

 不意に腰を捉えていた律の手が離れ、無防備な後腔を弄び始める。相変わらず口に含まれたままの自身と同時に責められ意識が一気に後部に集中した。

「っやっ……ソレ、卑怯――くっ……んんっ」

 非難を込めて再度律を咥え直す。けれどそれは全く集中できず、声が出そうになる口元を止めるのにただ必死になるばかりだった。

「ん……あ・はっぁ――」

 全身が痺れだんだんと力が入らなくなっていく。自らを支える腕が崩れそうになる瞬間、待ち構えていたかのように律に抱え起こされた。
 背後から抱きすくめられ耳の後ろに熱い吐息を感じる。

「――千章……どうして欲しい?」

 聞くなよ、そんなもん――。分かってるはずだろう? 抗議を込めて律の腕にしがみ付く。

「言えよ」

 耳に唇が触れる距離に囁かれ、ぞくりと震える。

「――欲しい……」

「何が?」

「律」

「どうするかな?」

「――っいじめんなよ……」

 抗議を込めて胸に回された律の腕を甘噛みする。自分の口から吐き出される息が驚くほどに熱かった。

 背後の律が小さく笑う振動が響いてくる。

「腰、あげな」

 優しく囁かれ、促されるがままに足に力をこめる。ついさっきまでかき混ぜられていた後部に律を感じた。

「いいぜ……来いよ」

 もう脳内には律の声しか聞こえない――。おれは誘われるままに腰を落としていった。

「ん――ふぅ……ん」

 充分に解された後腔は抵抗をみせることなく律を飲み込んでいく。

 待ち切れなかったのか律の両手がおれの膝裏を抱え強く引き付けた。

「ひぁあっ――」

 最奥を突き上げられる衝撃に身体が仰け反る。

 天井を向いた拍子に律と視線が絡まり、どちらからともなく唇を重ねた。不自然に捻った体勢のままお互いの口内を貪る。

 おれはというとまるで椅子に座るかのように律の上に腰を下ろしていて……足が――っ。

「っり・つっ……手離してっ……」

 大きく開かれた膝に思い至って我に返り、慌てて足を閉じようとするも律に掴まっていて思うようにいかない。

「ばか、いきなり締めるな……キツイ」

「いいから離せって……こんな、外から見えたらっ」

 焦るおれをものともせず律の力は緩まない。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

見ぃつけた。

茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは… 他サイトにも公開しています

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

処理中です...