二人で散歩……たまに毒母。

パラレルワールド

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二人で散歩……母と修羅場⑨

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打たれた頬が、痛い。
だんだん腫れてきた気がする。

「どこにある!?出せー!!」

もはや、発狂している精神障害者ようだった。
棚に並べた、漫画、小説、学校の教科書、辞典を取り出して無造作に捲りそこら辺に投げつける。
そして一人用のクローゼットから、洋服を取り出し、それも投げつけ。


「隠した場所を言え!」

だんだん面倒になったのか、
私の服を引っ張り、本棚に顔を押し付けた。

「痛い!くそばば!兄ちゃんから貰った、大事なお金渡すか!
どうせ、パチンコに使うんでしょ!?」

図星を突かれた母は、更に逆ギレし、私の髪を引っ張る。

「おまえに関係ないだろうが!
役立たずのくせに。やけにオシャレだけには、目覚めて男漁りか?デブが!」

この女がなぜ、私の母親何だろう?
こんなこと、普通娘に吐く言葉だろうか?
少ない小遣いで買ったカチューシャや、
今でいうシュシュもばらばらに床に落ちていた。

心もズタズタに引き裂かれ、
そこに散乱した衣服や本と同じように。

すると突然、汚いぼさぼさ頭の臭い子供だった頃に
フラッシュバックを起こした。
呼吸が苦しくなってくる。

母が、待ってましたとばかりにある程度集まった
お年玉を回収し、奪う。

━━取らないで━━


ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン
呼鈴ブザーが何度も鳴っている。

その音を聞いて、乱れた呼吸が
落ち着きを取り戻して行く。
私には、救いの音に聞こえた。

母を力の限り振り払って部屋から逃げる。

怒号、罵声が耳を貫く。
おじじの部屋に避難する。

「凄い声と音がしたが、
何があっ…」

部屋に入ってきた、 
私の顔を見た瞬間絶句した。
髪は乱れ、服もヨレヨレ、
顔は泣きすぎてと
涙と鼻水だらけ。
そしておじじの部屋に入るまえに
洗面台があり、鏡をチラッと
見たら、叩かれた右頬が真っ赤だった。
それを見て、いろいろ悟ったらしかった。

「あの、二万円か?」

「う、うん。か、せって貸せってい、われた…。」

泣きすぎて掠れた声を振り絞って
答えた。
不憫なやつ、という表情のおじじ。

ガ━━━━バーンッ!

引き戸タイプの部屋のドアが
荒々しく開いた。
追いかけてきた母親だった。
電動式車椅子に乗るおじじでも開けやすいように
なっているスライド式のドアを
母の馬鹿力で引けば、
上半分はステンレスガラスでも
割れそうな勢いだった。
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