魔法の杖になって、見守ることにしました。

高緋ぴお

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プロローグ

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────***********─────


「私に関わっては駄目。」
「だって、私は───。」
「許されない罪を、犯したのだから。」

 悲しげな瞳で、どこか遠くを見つめるリアラは、目の前のエアリアルは映っていないようだった。その瞳の青空は、揺れていた。エアリアルを、認識できない程に。


────***********──── 


 人々が行き交うシュトレッツェ繁華街にて、エアリアルは追われていた。

「な、ん、で、いっつも俺はこうなんだー!?!?!?」

 エアリアル=フェルディナント──生まれは貴族ではあったものの、この根っからの不幸体質のせい(?)で、ある令嬢との縁談が破談になったあげく、令嬢を不快にさせた罰として、海外留学という名目でフェルディナント家を追放されてしまっていたのだ。しかもその矢先、貴族の身なりから勘違いをした輩に、金目当てで狙われる始末。

─やばい、やばいって!俺の所持金、追放されたときに持たされた分しかないから、今全て失くしたら1文無しなんだが!!!

 エアリアルの所持金は無防備にも全て懐に入れてあり、貯金もなにもしていなかったのだ。
つまり、今この追いかけてくる輩に盗られると、非常にまずいことになる。

 ひたすら逃げつづける最中、目の前の路地が別れていることに気づく。

 右に行くか、左に行くか。迷っている暇はない。エアリアルは、今生の運を使いきる覚悟で右の角を選び、走り抜こうとした。だが──。


 案の定、行き止まりであった。


「またかよ!!!」

 自分の運に呆れ返るもつかの間、不良の輩の足音が近づいてくる。

「終わったな....。」

 その時。エアリアルはみた。行き止まりである筈の壁から、少女が、出てくるのを。
正確には、壁に大きな渦が出現しており、そこからでてきたのだ。


 紺青の髪色に、青空の瞳。ショートではあるが、麗しくきめ細やかな顔立ちから、すぐに少女であることがわかった。

「.....こっち、きて。」

 少女はそう言うと、エアリアルの腕を引っ張り、渦に引き込もうとする。

「うわっ!?!?な、な、誰なんだあなたは!」
「それに、この渦は一体何なんだ?」

 この世界は、確かに魔法は存在するが、使いこなすには相当な修行が必要で、魔法使いたちは大体高齢である筈だが.....。


「.....説明は後。とにかく早くこっちに来ないと、捕まっちゃうよ?」
「、、、そうだった。」

 とにかくここは助けられようと思い、エアリアルは戸惑いながらもその渦の中に入ることにした。



「なんとか、逃げ切れたね。」

 謎の少女は表情を変えず、そう言った。

 渦の中は異空間のようで、何も存在しなかった。周りは真っ白な空間に覆われている。エアリアルと少女しかいないようだ。

 改めて見ると、この少女は相当な美少女であることに気づく。まず目を引くのが、紺青の髪色。深く、濃い青であるのに、透き通って見える。続いて、青空の瞳。今にも吸い込まれそうな、遠い景色を映しているような、そんな瞳だ。肌も、少女らしい全く焼けていない雪のようで、顔立ちもすっきりと整っている。まるで、人形のようだ。

「.....助けてくれてありがとう。俺はエアリアル。君は?」

「.....名前なんて、無い。」
「へ?」

「.....名前は、忘れてしまったの。それより、あなたにお願いがあるの。」

 名前が、ない....?この少女は訳ありなのだろうか。あまり面倒事に関わるのはできるだけ避けたいエアリアルは、断ろうと思ったが。

「ごはん、頂戴」
「!?!?」

 なんと、少女は目の前で倒れたのだった。
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