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1章 金輪際人を見た目で判断しません

脱出

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「ルミネさん、どうした、急に黙り混んで。」

 この声はイヴァン!どうしましょう、このまま入ってこられたらリオ様といるのがバレてしまうわ。

「リオ様、少々お耳をお貸し下さいませ。」

 リオ様って何気に身長が高いから、耳の位置をもうちょっと下げてもらわないと届かないのよね。

「なんだい?」

 嬉しそうなニヤニヤ顔で耳を近づけてくるリオ様。気色が悪いですわよ。

「リオ様は窓から飛び降りることってできるのかしら?」
「・・・・・僕に死ねと。」

 私はそこまでリオ様をお恨みしておりませんわよ!

「そうではなく!この部屋に窓から入ってこられたじゃあありませんの!」
「ああ。簡単だよ、雨どいをつたって上ってきたんだ。この宿はベランダもあるし、存外難しくはない。」

 雨どいって、雨水を流す筒のことよね。まさか、あの細い棒を使ってここまで来たというのですの!?

「じゃあ私には無理ね、ここから降りるなんて。リオ様だけでも早くお逃げになって。」
「はは、それじゃあ僕がここに来た意味がない。」

 リオ様がそう言うと、体が宙に浮いたような感覚になった瞬間。リオ様に抱え上げられていた、、。

「ぎゃあっ下ろしてくださいませ変態チカン王子!」

 あ、まずい。つい大声で叫んでしまったわ。

「ルミネさん!?!?」

 イヴァンが勢いよく扉を開け入ってきたと同時に、リオ様はなんと、私ごとベランダから飛び降りたのだった──。

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