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1章 金輪際人を見た目で判断しません
仕返し
しおりを挟むリオ様は、すっかり忘れてしまったのかしら。それとも、あんなの全然意識するまでもないってこと!?さすが、イケメンね。まあ、私もさっきまで忘れていたのだけれど。
悔しいから、この余裕をかますリオ様に、なにか仕返ししてやりたいわ。
「リオ様。私は大丈夫ですので、どうぞお先にお部屋へお戻りになって下さいませ。」
「そんなこと出来る訳ないだろう。さあ、おんぶがいいかい?それとも抱っこ?」
私は子供かあっ!?
もう、もー完全に怒りましたわよ、私は。
「・・・・おんぶでお願いしますわ。」
「おんぶだね。さあ、遠慮なくおぶさるといい。」
リオ様が背中を向け、手を後ろに差し伸べている。
しょうがないから、大人しくおぶさるわ。でも、今に見てらっしゃい!
「医務室まで運ぶから、もう少しの我慢だよ。」
「・・・・大袈裟ですわね。私はそんな子供じゃありませんわよ。」
ただの捻挫で、ちょっとジンジン痛むだけなのに。
でも、こうやって心配して下さることは、ほんのミリ単位程度には感謝してますわ。
ふと、おんぶによって、リオ様の顔が見えないことに気づいた。今なら、私の顔が見られることはないし。顔さえ見なければ、いける気がしてきたわ!
「それより、さっきの話しに戻るけれど、なんで僕の顔を見ないんだい?そろそろ本当のことを話してくれ。」
「それは。恥ずかしくなってしまったからですわよ。」
「恥ずかしく?僕の顔が?」
「そうではなく。」
このリオ様は、アレの出来事を私に口頭で説明しろと!?無理よ、無理。
「コレのことですわよ!」
───よし!
覚悟を決めた私は、前を向くリオ様の頬に、後ろから仕返しをしてやった。
な、なんだかもっと余計に顔を合わせずらくしてしまった気もしないでもないですけど!
「あら、医務室に着きましたわね、それではご機嫌よう!!!」
私は、おぶさっていたリオ様の背中から無理やり剥がれ降りると、棒立ちするリオ様を横目に、一目散に片足で医務室に直行したのでした。
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