悪役令嬢と氷の騎士兄弟

飴爽かに

文字の大きさ
13 / 25

信じて欲しい

しおりを挟む
観光パンフレットの監修。これはチャンスだと思った。
監修だということを盾にして、いろいろな場所に行き、レイアの噂や、この国の噂を聞くことが出来る。

さすがに1人で行くのは許しが出ないため、ユーリアを連れて街を巡りに来ていた。

城下町のレストランの前にやってくる。資料の写真と、記事を照らし合わせて、店主の話も聞いて織り込んでいく。

「ねえ、話は逸れるのだけど、レイア・フローレンスという女性を知らない?」
「レイア?彼女のことなら知ってますよ。」
「ほんとう?レイアはこの街でどんなことをしているの?」

「レイアほどいい女の子はいませんよ。」
店主は嬉しそうに腕を組む。
「そうなの?」
「ええ。彼女はね頭が良くキレるんです。特に金の扱いが上手くてね。金があるところから金が必要なところへ、動かしてくれるんですよ。」

「そうなの…?」
なんだか怪しい話になってきたなと思いながら先を促す。
「それで、店主さんも彼女の力を借りたの?」
「ええ。私の知り合いの店が潰れそうだった時にね、彼女に相談したら、そいつがレイアの言う通りにしたら金がたんまり設けられたって言うんですよ。」

「そう…それってどんなことでお金が入ってきたのかしら。」
「ん~、確か何かの捜査をしたって言ってたっけなぁ。」
「捜査?事件とか、揉め事とかの解決をしたってこと?」
「そうそう。そう言ってたな。報酬金として金が入ったって言ってた気がしますね。」

「まあ、そうなのね。」
ますます、レイアが怪しく思えてくる。

「ねえ、この店には街のいろいろな情報が入ってくるわよね。このレストランの記事を大きく載せるから、レイアの情報集めを手伝ってくれない?」
「情報集めくらいぜんぜんいいですよ。でも公爵令嬢様が気になるほどの秘密がレイアにあるとは思えませんけどねぇ。」

そう納得していなさそうな反応をしていたが、彼に協力を頼むことはできた。

店を出て歩きながらユーリアと話す。
「この街で聞き込みをしていたら、レイアの話はたくさん聞けるかもしれないわね。」
「そうですね。レイア様は今のところいい噂しかないですが、確実に裏でなにか噛んでいると思います。」
「そうよね。」

またもう一度彼女に会って、正面から話がしたい。
彼女が何をしたいのか。彼女は一体何者なのか。

ノア殿下からうまくレイアの情報を知れたらいいんだけど。
お茶会の時に聞いても、彼は私に気を使ってか、あまりレイアの話をしてくれないから。

城に帰る道中、馬車の中で、ユーリアに聞いてみた。
「ねえ、ユーリア、私のためにスパイになってくれない?」
「え?」
驚いてその白銀の瞳が見開かれる。

どういうことか?という質問が飛んでくる前に、続けて言った。
「レイアについて、ロシェルは確実に何か考えがあるわ。」
「兄さんが…」
そう言いつつも、夜会での彼の不自然な行動にユーリアも思い当たりがあるようだった。

「ロシェルはきっと、私とは違う方法でレイアとバッティングを図るはず。レイアが人に操られるような人間には見えないけど、もしもロシェルの思惑に乗ってしまったら、私の考える国の未来が困ることになるの。」
「国の、未来?」

「ええ。私はノア殿下と婚約破棄したあと、レイアが新しい婚約者になってくれればと思ってるわ。今は裏の顔が気になるレイアだけれど、彼女にはこの国を任せられる力があると思うから。」
矢継ぎ早にそう言うと、ユーリアは理解しきれていないという表情で悩んでいた。

「スパイと言っても壮大なものじゃないの。ユーリアの立場を最大限活用して、ロシェルの動向を確認したり、ユアン殿下の状態を抑えておくことでいいの。」

「…私にできることなら」
理解出来はしていないが、私が言うから、とりあえずやってみると思ってくれているのが分かる。

「私のことを信じて欲しい。ロシェルと私、どっちのほうに信頼があるかなんて分かってる。」
陶器ように白い肌の顔をまっすぐ前から見つめて、彼の手を握る。

「それでも、今は分からないかもしれないけど、私のこの言葉を思い出す時にはきっと、この国のためだったんだって分かるから。その時まで私を信じて。」

手に力を入れると、私の手の中でユーリアの手が強ばったのが分かった。
女に触れられたから耳が赤くなっている。
それでも羞恥に負けないように、頑張って話してくれた。

「…分かりました。私も兄さんの行動には不可解に思うところがあったので、自分なりに兄さんの目的を追ってみます。」
「ありがとう。ユーリア。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『嫌われ令嬢ですが、最終的に溺愛される予定です』

由香
恋愛
貴族令嬢エマは、自分が周囲から嫌われていると信じて疑わなかった。 婚約者である侯爵令息レオンからも距離を取られ、冷たい視線を向けられている――そう思っていたのに。 ある日、思いがけず聞いてしまった彼の本音。 「君を嫌ったことなど、一度もない」 それは誤解とすれ違いが重なっただけの、両片思いだった。 勘違いから始まる、甘くて優しい溺愛恋物語。

転生賢妻は最高のスパダリ辺境伯の愛を独占し、やがて王国を救う〜現代知識で悪女と王都の陰謀を打ち砕く溺愛新婚記〜

紅葉山参
恋愛
ブラック企業から辺境伯夫人アナスタシアとして転生した私は、愛する完璧な夫マクナル様と溺愛の新婚生活を送っていた。私は前世の「合理的常識」と「科学知識」を駆使し、元公爵令嬢ローナのあらゆる悪意を打ち破り、彼女を辺境の落ちぶれた貴族の元へ追放した。 第一の試練を乗り越えた辺境伯領は、私の導入した投資戦略とシンプルな経営手法により、瞬く間に王国一の経済力を確立する。この成功は、王都の中央貴族、特に王弟公爵とその腹心である奸猾な財務大臣の強烈な嫉妬と警戒を引き寄せる。彼らは、辺境伯領の富を「危険な独立勢力」と見なし、マクナル様を王都へ召喚し、アナスタシアを孤立させる第二の試練を仕掛けてきた。 夫が不在となる中、アナスタシアは辺境領の全ての重責を一人で背負うことになる。王都からの横暴な監査団の干渉、領地の資源を狙う裏切り者、そして辺境ならではの飢饉と疫病の発生。アナスタシアは「現代のインフラ技術」と「危機管理広報」を駆使し、夫の留守を完璧に守り抜くだけでなく、王都の監査団を論破し、辺境領の半独立的な経済圏を確立する。 第三の試練として、隣国との緊張が高まり、王国全体が未曽有の財政危機に瀕する。マクナル様は王国の窮地を救うため王都へ戻るが、保守派の貴族に阻まれ無力化される。この時、アナスタシアは辺境伯夫人として王都へ乗り込むことを決意する。彼女は前世の「国家予算の再建理論」や「国際金融の知識」を武器に、王国の経済再建計画を提案する。 最終的に、アナスタシアとマクナル様は、王国の腐敗した権力構造と対峙し、愛と知恵、そして辺境の強大な経済力を背景に、全ての敵対勢力を打ち砕く。王国の危機を救った二人は、辺境伯としての地位を王国の基盤として確立し、二人の愛の結晶と共に、永遠に続く溺愛と繁栄の歴史を築き上げる。 予定です……

【完結】捨てられ令嬢の冒険譚 〜婚約破棄されたので、伝説の精霊女王として生きていきます〜

きゅちゃん
恋愛
名門エルトリア公爵家レオンと婚約していた伯爵令嬢のエレナ・ローズウッドは、レオンから婚約破棄を宣言される。屈辱に震えるエレナだが、その瞬間、彼女にしか見えない精霊王アキュラが現れて...?!地味で魔法の才能にも恵まれなかったエレナが、新たな自分と恋を見つけていくうちに、大冒険に巻き込まれてしまう物語。

悪役令嬢のはずですが、年上王子が幼い頃から私を甘やかす気でいました

ria_alphapolis
恋愛
私は、悪役令嬢なのかもしれない。 王子の婚約者としては少し我儘で、周囲からは気が強いと思われている―― そんな自分に気づいた日から、私は“断罪される未来”を恐れるようになった。 婚約者である年上の王子は、今日も変わらず優しい。 けれどその優しさが、義務なのか、同情なのか、私にはわからない。 距離を取ろうとする私と、何も言わずに見守る王子。 両思いなのに、想いはすれ違っていく。 けれど彼は知っている。 五歳下の婚約者が「我儘だ」と言われていた幼い頃から、 そのすべてが可愛くて仕方なかったことを。 ――我儘でいい。 そう決めたのは、ずっと昔のことだった。 悪役令嬢だと勘違いしている少女と、 溺愛を隠し続ける年上王子の、すれ違い恋愛ファンタジー。 ※溺愛保証/王子視点あり/幼少期エピソードあり

悪役令嬢が睨んでくるので、理由を聞いてみた

ちくわ食べます
恋愛
転生したのは馴染みのない乙女ゲームの世界だった。  シナリオは分からず、登場人物もうろ覚え、タイトルなんて覚えてすらいない。 そんな世界でモブ男『トリスタン』として暮らす主人公。 恋愛至上主義な学園で大人しく、モブらしく、学園生活を送っていたはずなのに、なぜか悪役令嬢から睨まれていて。 気になったトリスタンは、悪役令嬢のセリスに理由を聞いてみることにした。

お転婆令嬢は、大好きな騎士様に本性を隠し通す

湊一桜
恋愛
侯爵令嬢クロエは、二度も婚約破棄をされた。彼女の男勝りで豪快な性格のせいである。 それに懲りたクロエは、普段は令嬢らしく振る舞い、夜には”白薔薇”という偽名のもと大暴れして、憂さ晴らしをしていた。 そんな彼女のもとに、兄が一人の騎士を連れてきた。 彼の名はルーク、別名”孤高の黒薔薇”。その冷たい振る舞いからそう呼ばれている。 だが実は、彼は女性が苦手であり、女性に話しかけられるとフリーズするため勘違いされていたのだ。 兄は、クロエとルークのこじらせっぷりに辟易し、二人に”恋愛の特訓”を持ちかける。 特訓を重ねるうちに、二人の距離は少しずつ近付いていく。だがクロエは、ルークに”好きな人”がいることを知ってしまった…… 恋愛なんてこりごりなのに、恋をしてしまったお転婆令嬢と、実は優しくて一途な騎士が、思い悩んで幸せになっていくお話です。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

十年間虐げられたお針子令嬢、冷徹侯爵に狂おしいほど愛される。

er
恋愛
十年前に両親を亡くしたセレスティーナは、後見人の叔父に財産を奪われ、物置部屋で使用人同然の扱いを受けていた。義妹ミレイユのために毎日ドレスを縫わされる日々——でも彼女には『星霜の記憶』という、物の過去と未来を視る特別な力があった。隠されていた舞踏会の招待状を見つけて決死の潜入を果たすと、冷徹で美しいヴィルフォール侯爵と運命の再会! 義妹のドレスが破れて大恥、叔父も悪事を暴かれて追放されるはめに。失われた伝説の刺繍技術を復活させたセレスティーナは宮廷筆頭職人に抜擢され、「ずっと君を探していた」と侯爵に溺愛される——

処理中です...