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信じて欲しい
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観光パンフレットの監修。これはチャンスだと思った。
監修だということを盾にして、いろいろな場所に行き、レイアの噂や、この国の噂を聞くことが出来る。
さすがに1人で行くのは許しが出ないため、ユーリアを連れて街を巡りに来ていた。
城下町のレストランの前にやってくる。資料の写真と、記事を照らし合わせて、店主の話も聞いて織り込んでいく。
「ねえ、話は逸れるのだけど、レイア・フローレンスという女性を知らない?」
「レイア?彼女のことなら知ってますよ。」
「ほんとう?レイアはこの街でどんなことをしているの?」
「レイアほどいい女の子はいませんよ。」
店主は嬉しそうに腕を組む。
「そうなの?」
「ええ。彼女はね頭が良くキレるんです。特に金の扱いが上手くてね。金があるところから金が必要なところへ、動かしてくれるんですよ。」
「そうなの…?」
なんだか怪しい話になってきたなと思いながら先を促す。
「それで、店主さんも彼女の力を借りたの?」
「ええ。私の知り合いの店が潰れそうだった時にね、彼女に相談したら、そいつがレイアの言う通りにしたら金がたんまり設けられたって言うんですよ。」
「そう…それってどんなことでお金が入ってきたのかしら。」
「ん~、確か何かの捜査をしたって言ってたっけなぁ。」
「捜査?事件とか、揉め事とかの解決をしたってこと?」
「そうそう。そう言ってたな。報酬金として金が入ったって言ってた気がしますね。」
「まあ、そうなのね。」
ますます、レイアが怪しく思えてくる。
「ねえ、この店には街のいろいろな情報が入ってくるわよね。このレストランの記事を大きく載せるから、レイアの情報集めを手伝ってくれない?」
「情報集めくらいぜんぜんいいですよ。でも公爵令嬢様が気になるほどの秘密がレイアにあるとは思えませんけどねぇ。」
そう納得していなさそうな反応をしていたが、彼に協力を頼むことはできた。
店を出て歩きながらユーリアと話す。
「この街で聞き込みをしていたら、レイアの話はたくさん聞けるかもしれないわね。」
「そうですね。レイア様は今のところいい噂しかないですが、確実に裏でなにか噛んでいると思います。」
「そうよね。」
またもう一度彼女に会って、正面から話がしたい。
彼女が何をしたいのか。彼女は一体何者なのか。
ノア殿下からうまくレイアの情報を知れたらいいんだけど。
お茶会の時に聞いても、彼は私に気を使ってか、あまりレイアの話をしてくれないから。
城に帰る道中、馬車の中で、ユーリアに聞いてみた。
「ねえ、ユーリア、私のためにスパイになってくれない?」
「え?」
驚いてその白銀の瞳が見開かれる。
どういうことか?という質問が飛んでくる前に、続けて言った。
「レイアについて、ロシェルは確実に何か考えがあるわ。」
「兄さんが…」
そう言いつつも、夜会での彼の不自然な行動にユーリアも思い当たりがあるようだった。
「ロシェルはきっと、私とは違う方法でレイアとバッティングを図るはず。レイアが人に操られるような人間には見えないけど、もしもロシェルの思惑に乗ってしまったら、私の考える国の未来が困ることになるの。」
「国の、未来?」
「ええ。私はノア殿下と婚約破棄したあと、レイアが新しい婚約者になってくれればと思ってるわ。今は裏の顔が気になるレイアだけれど、彼女にはこの国を任せられる力があると思うから。」
矢継ぎ早にそう言うと、ユーリアは理解しきれていないという表情で悩んでいた。
「スパイと言っても壮大なものじゃないの。ユーリアの立場を最大限活用して、ロシェルの動向を確認したり、ユアン殿下の状態を抑えておくことでいいの。」
「…私にできることなら」
理解出来はしていないが、私が言うから、とりあえずやってみると思ってくれているのが分かる。
「私のことを信じて欲しい。ロシェルと私、どっちのほうに信頼があるかなんて分かってる。」
陶器ように白い肌の顔をまっすぐ前から見つめて、彼の手を握る。
「それでも、今は分からないかもしれないけど、私のこの言葉を思い出す時にはきっと、この国のためだったんだって分かるから。その時まで私を信じて。」
手に力を入れると、私の手の中でユーリアの手が強ばったのが分かった。
女に触れられたから耳が赤くなっている。
それでも羞恥に負けないように、頑張って話してくれた。
「…分かりました。私も兄さんの行動には不可解に思うところがあったので、自分なりに兄さんの目的を追ってみます。」
「ありがとう。ユーリア。」
監修だということを盾にして、いろいろな場所に行き、レイアの噂や、この国の噂を聞くことが出来る。
さすがに1人で行くのは許しが出ないため、ユーリアを連れて街を巡りに来ていた。
城下町のレストランの前にやってくる。資料の写真と、記事を照らし合わせて、店主の話も聞いて織り込んでいく。
「ねえ、話は逸れるのだけど、レイア・フローレンスという女性を知らない?」
「レイア?彼女のことなら知ってますよ。」
「ほんとう?レイアはこの街でどんなことをしているの?」
「レイアほどいい女の子はいませんよ。」
店主は嬉しそうに腕を組む。
「そうなの?」
「ええ。彼女はね頭が良くキレるんです。特に金の扱いが上手くてね。金があるところから金が必要なところへ、動かしてくれるんですよ。」
「そうなの…?」
なんだか怪しい話になってきたなと思いながら先を促す。
「それで、店主さんも彼女の力を借りたの?」
「ええ。私の知り合いの店が潰れそうだった時にね、彼女に相談したら、そいつがレイアの言う通りにしたら金がたんまり設けられたって言うんですよ。」
「そう…それってどんなことでお金が入ってきたのかしら。」
「ん~、確か何かの捜査をしたって言ってたっけなぁ。」
「捜査?事件とか、揉め事とかの解決をしたってこと?」
「そうそう。そう言ってたな。報酬金として金が入ったって言ってた気がしますね。」
「まあ、そうなのね。」
ますます、レイアが怪しく思えてくる。
「ねえ、この店には街のいろいろな情報が入ってくるわよね。このレストランの記事を大きく載せるから、レイアの情報集めを手伝ってくれない?」
「情報集めくらいぜんぜんいいですよ。でも公爵令嬢様が気になるほどの秘密がレイアにあるとは思えませんけどねぇ。」
そう納得していなさそうな反応をしていたが、彼に協力を頼むことはできた。
店を出て歩きながらユーリアと話す。
「この街で聞き込みをしていたら、レイアの話はたくさん聞けるかもしれないわね。」
「そうですね。レイア様は今のところいい噂しかないですが、確実に裏でなにか噛んでいると思います。」
「そうよね。」
またもう一度彼女に会って、正面から話がしたい。
彼女が何をしたいのか。彼女は一体何者なのか。
ノア殿下からうまくレイアの情報を知れたらいいんだけど。
お茶会の時に聞いても、彼は私に気を使ってか、あまりレイアの話をしてくれないから。
城に帰る道中、馬車の中で、ユーリアに聞いてみた。
「ねえ、ユーリア、私のためにスパイになってくれない?」
「え?」
驚いてその白銀の瞳が見開かれる。
どういうことか?という質問が飛んでくる前に、続けて言った。
「レイアについて、ロシェルは確実に何か考えがあるわ。」
「兄さんが…」
そう言いつつも、夜会での彼の不自然な行動にユーリアも思い当たりがあるようだった。
「ロシェルはきっと、私とは違う方法でレイアとバッティングを図るはず。レイアが人に操られるような人間には見えないけど、もしもロシェルの思惑に乗ってしまったら、私の考える国の未来が困ることになるの。」
「国の、未来?」
「ええ。私はノア殿下と婚約破棄したあと、レイアが新しい婚約者になってくれればと思ってるわ。今は裏の顔が気になるレイアだけれど、彼女にはこの国を任せられる力があると思うから。」
矢継ぎ早にそう言うと、ユーリアは理解しきれていないという表情で悩んでいた。
「スパイと言っても壮大なものじゃないの。ユーリアの立場を最大限活用して、ロシェルの動向を確認したり、ユアン殿下の状態を抑えておくことでいいの。」
「…私にできることなら」
理解出来はしていないが、私が言うから、とりあえずやってみると思ってくれているのが分かる。
「私のことを信じて欲しい。ロシェルと私、どっちのほうに信頼があるかなんて分かってる。」
陶器ように白い肌の顔をまっすぐ前から見つめて、彼の手を握る。
「それでも、今は分からないかもしれないけど、私のこの言葉を思い出す時にはきっと、この国のためだったんだって分かるから。その時まで私を信じて。」
手に力を入れると、私の手の中でユーリアの手が強ばったのが分かった。
女に触れられたから耳が赤くなっている。
それでも羞恥に負けないように、頑張って話してくれた。
「…分かりました。私も兄さんの行動には不可解に思うところがあったので、自分なりに兄さんの目的を追ってみます。」
「ありがとう。ユーリア。」
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