悪役令嬢と氷の騎士兄弟

飴爽かに

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衝撃

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全員が揃うと会談が始まった。
ミレサ王子のとなりにリリアが座っていて、その向かい側に、ユアン殿下とノア殿下が座っている。
ロシェルもユアン殿下の後ろに控えていた。
私もそのノア殿下のとなりに座っている。
ローズヒップの紅茶の入ったカップを持ち上げて飲みながら、ユアン殿下を盗み見た。
今はまだ体調は安定しているようだ。

「クォーツ帝国の最近の貴金属は豊作でしょう?もう少し輸出量を増やして頂いて、代わりにこちらで生産した製品を輸入しませんこと?」

意気揚々と貿易を持ちかけるのは我が姉リリアである。リリアはこんな風に政治に関わるのが大好きだった。

「そうですね。そちらのコルチカム帝国には日々、野菜や果物の輸入に頼らせて頂いていますし、できる限り好意的に提案を進めさせて頂きたいですね。」

リリアに流されそうなユアン殿下の返答。
ここまで王子を差し置いて主張してくる王妃も珍しいものね。

ローズヒップの紅茶は独特な酸味が苦手だけど、この茶葉はおいしい。
さすが、緑豊かなコルチカム帝国産のローズヒップだ。

ひとしきり話が進んだ後、リリアが目配せしてきた。
「久しぶりに、この国に帰ってきたし、両親に挨拶でもしてこようかしら。ココ、一緒に来てくれる?」
「ええ。もちろんですわ。」
ナイスタイミング。
すごく自然にこの場を離れられる。

「ではミレサ王子、あとの話し合いは頼んだわよ。」
そう言ってリリアはポンと彼の肩をたたいた。

部屋を出ると、さっそくリリアとは別れる。
「姉様は本当に母と父のところに挨拶に行くのですか?」
「まさか。顔を見た途端追い出されるわよ。私はこの城の散歩でもしとくわ。懐かしいわね。」
そう言ってステンドグラスを見上げる。

「ありがとうございます。姉様、もう少し会談に参加していたかったですよね。」
「ふふ。まぁ、政治の話は大好物だけれど、疲れてきていたからちょうどいいわ。それに私ばかりが提案していたら、ミレサはいつまで経っても自分で政治改革を出来るようにならないからね。」

相変わらず、二人の関係は姉が手網を握っているようだ。
「それでは、お言葉に甘えて、私はもう行かせて頂きますわ。帰りに見送りには間に合わせる予定ですわ。」
「ええ。分かったわ。あなたも頑張ってね。」
手を振るリリアに頭を下げてから、急いで部屋に向かった。

事前にさりげなくレイアのいる部屋はノア殿下に聞いておいてある。
部屋の前にたどり着くと、そこを守るように立っていた兵士がこちらを向く。

「お疲れ様ですココ様。」
「ありがとう、ユーリア。」

部屋の前に立つ兵士は、ユーリアが快く本当の担当の兵士と替わってくれていた。
おかげでなんの説明もなくスムーズに部屋に入れる。

水晶の散りばめられた茶色のドアを3回ノックする。
「はい。」
聞こえてきた声に体が、緊張し始めてきた。
「入ってもよろしいかしら。」
「どちら様?」
「…ノア殿下の婚約者、ココ・レイルウェイズよ。」
部屋から息を飲むような空気が伝わってきた気がした。
1呼吸おいたくらいの時間を空けて意を決したような声が聞こえてきた。
「いいわよ。」

「失礼するわ。」
そう言ってドアを開けると、椅子に座るレイアが居た。
藍色の髪に銀色のドレスがよく似合っていて綺麗だ。

私の姿をその目に捉えたあと、余裕そうにカップの中の飲み物を飲む。
ピンク色の紅茶で、私がさっきまで飲んでいたものと同じ茶葉のようだった。

椅子に座る彼女の前に立つ。
どう切り出そうかと考えて口ごもっていたら、先にレイアが口を開いた。

「ココ様、私をノア殿下の新しい婚約者に望んでいるって本当?彼から聞いたわ。」

出鼻をくじかれた。
遅れを取らないようにすぐに口を開く。

「ええそうよ。あなたのこと信じられないでいるけど、あなたにはその器があると思ってるの。」

レイアはまっすぐに私を見て続ける。
「私のことが信じきれないのに、私のことなにか疑っているのに、婚約者に推薦するの?変わってるのね。」
笑っている表情からは本心が見抜けなかった。

「ここには私たち二人だけしかいないし、周りのことは気にせず話してしまいましょうか。…ねぇ、あなたも転生者なんでしょ?」

レイアのいきなりの言葉に驚く。
「…そうよ。ということはやっぱり、レイアも転生者なのね。まあだろうとは思っていたけど。」

少しづつ詰めていこうと思っていたことをいきなり解決して、肩透かしをくらった。

「じゃあ私からも聞かせて。どうしてあなたはこの物語を自分から壊そうとしているの?私の大好きなこの世界を壊そうとするなんて許せないわ。」

レイアは私の言葉にすぐには答えずに、紅茶を飲んだ。

「…あなたは、私の書くココ・レイルウェイズより、ココらしいわね。彼女の本質はこうだったんだなって、今気づいた。」
「え?」

寂しそうに笑うその表情に理解が追いつかない。
まさか、

「わたしは、レイアと星の国の作者よ。」
その言葉にほんとうに時計の針が止まった気がした。
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