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昔の話
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この恋は残酷だ。
結ばれたって誰も幸せにならない。
そう思って俺はリリア様から距離を置くようにしていた。
でもその事にすぐに気がついたリリアが逆に面白がって、俺を困らすように近づいてくるようになった。
そうだったこの人はそういう人だった。
リリア様とユアン殿下とのお茶会に俺が立ち会った時も、わざと俺のことをじっと見つめてきたりした。
「…どうしました?リリア様。」
「いいえ。ロシェルって綺麗だなと思って。さすが巷の人気は伊達じゃないわね。ねぇ、ユアン殿下?」
「そうだね。私もいつも近くにいるけれど、未だになれずに、惚れ惚れするよ。」
「ユ、ユアン殿下まで…」
「将来、いったいどんな方をお嫁に貰うのかしら。さぞ綺麗な方なのでしょうね。」
「そうだな。…ロシェルそういう人はいないのかい?」
「…いませんよ。今はそんな方をつくる気はありません。」
そう言うと、じっと見つめてきたリリアと目が合う。その目が楽しげに細められた。
恋っていうのは病気だ。
落ちたくもないのに、どんどん落ちていってしまう。
ユアン殿下が居ない時を見計らってリリアは俺によく会いに来るようになった。
「ねえ、ロシェル。」
「…なんですか。」
「退屈なの。あなたのそばにいると楽しいから。」
俺の反応を見るように顔を覗き込んでくる。
この人はきっと、自分のことに興味がある俺という存在を純粋に面白いものの一つとして捉えているんだろうなと思った。
そのことにムカついて、わざと冷たく接するようにした。
「私は今から剣の稽古がありますので。」
「そう。…私を守ってくれるのはロシェルなのかしら。」
「俺は、ユアン殿下にお仕えするために日々鍛錬しているんですよ。」
「…ユアン殿下は、あなたが思っているよりずっとおかしな方よ。敵国にいたら楽しいのだけど。」
「…はぁ?」
好きじゃないの。小さく呟いたその声を俺は聞こえないフリをした。
それからも、何度も何度もリリアに呼ばれ2人きりで部屋で話すことが多くなった。
「…俺は暇じゃないんですけど。」
「私本当に退屈なのが嫌いなの。公爵令嬢なんかに生まれて来なければ良かったなんて思うわ。」
「…そうですか?リリア様ほど偉そうに思う存分周りを振り回すのが似合う人はいませんけどね。」
「ふふ。…それはあなたが私に付き合ってくれるからよ。こんな国なんて大嫌い。平和と派手と豊かさが美学なのよ。きっとどんどん綻んでいくわ。」
リリアはいつもどこか遠くからこの国を見ている。そういう視点の人がここでは珍しくて、純粋に尊敬してしまう。
「…そう、なのかもしれませんね。」
「あなただけは肯定してくれるのね。…そういうところほんとに可愛い。」
「え?」
俺がそう言った瞬間、彼女に口付けされた。
ぐしゃぐしゃと俺の頭を撫でると満足気に部屋から帰って行った。
それからというもの、2人でバレないように会う時には恋人のような関係になってしまった。
側近が王太子殿下の婚約者と恋仲。
こんなものバレたらユアン殿下は許して下さったとしても、王が俺を破門にするだろう。
誑かしたのはあっちからだとしてもどうしたって俺が断罪されるのだ。
ユアン殿下には、申し訳なさでまともに顔を見ることが出来なかった。
「ユアン殿下、わたしたちが2人で会っていること気づいてるわよ。」
「え?」
リリアにそんなことを言われた日には、心臓が止まるかと思った。
「でもあの人は私たちがどうなろうと何か口出ししてくることなんて無いわよ。そういう人なの。自分の立場が平穏で変わらないことが1番大切なのよ。…だから虐めたくなるのよ。」
「…それでも、もうこんな関係終わりにしましょう。…俺はユアン殿下に仕えていたいんです。」
「分かった。」
俺の恋心は、そんなこんなですんなりと終わった。
リリアはそのうち遠くの国に嫁いで行った。
自分が権力を握れるきっともっと彼女にとって面白い場所へ。
旦那ではなく、そこからの距離のユアン殿下は彼女にとって面白いのだろうか。彼が敵国にいたらいいのに、と言っていた言葉を思い出す。
誰かが捕まえておくことなんてできない。
そんな彼女だから俺は惹かれたのだ。
だからもうミレサ王子の隣に並んでいる彼女を見ても感情は動かない。
彼女と過ごした時間を思い出し話ながら俺はそうまとめた。
結ばれたって誰も幸せにならない。
そう思って俺はリリア様から距離を置くようにしていた。
でもその事にすぐに気がついたリリアが逆に面白がって、俺を困らすように近づいてくるようになった。
そうだったこの人はそういう人だった。
リリア様とユアン殿下とのお茶会に俺が立ち会った時も、わざと俺のことをじっと見つめてきたりした。
「…どうしました?リリア様。」
「いいえ。ロシェルって綺麗だなと思って。さすが巷の人気は伊達じゃないわね。ねぇ、ユアン殿下?」
「そうだね。私もいつも近くにいるけれど、未だになれずに、惚れ惚れするよ。」
「ユ、ユアン殿下まで…」
「将来、いったいどんな方をお嫁に貰うのかしら。さぞ綺麗な方なのでしょうね。」
「そうだな。…ロシェルそういう人はいないのかい?」
「…いませんよ。今はそんな方をつくる気はありません。」
そう言うと、じっと見つめてきたリリアと目が合う。その目が楽しげに細められた。
恋っていうのは病気だ。
落ちたくもないのに、どんどん落ちていってしまう。
ユアン殿下が居ない時を見計らってリリアは俺によく会いに来るようになった。
「ねえ、ロシェル。」
「…なんですか。」
「退屈なの。あなたのそばにいると楽しいから。」
俺の反応を見るように顔を覗き込んでくる。
この人はきっと、自分のことに興味がある俺という存在を純粋に面白いものの一つとして捉えているんだろうなと思った。
そのことにムカついて、わざと冷たく接するようにした。
「私は今から剣の稽古がありますので。」
「そう。…私を守ってくれるのはロシェルなのかしら。」
「俺は、ユアン殿下にお仕えするために日々鍛錬しているんですよ。」
「…ユアン殿下は、あなたが思っているよりずっとおかしな方よ。敵国にいたら楽しいのだけど。」
「…はぁ?」
好きじゃないの。小さく呟いたその声を俺は聞こえないフリをした。
それからも、何度も何度もリリアに呼ばれ2人きりで部屋で話すことが多くなった。
「…俺は暇じゃないんですけど。」
「私本当に退屈なのが嫌いなの。公爵令嬢なんかに生まれて来なければ良かったなんて思うわ。」
「…そうですか?リリア様ほど偉そうに思う存分周りを振り回すのが似合う人はいませんけどね。」
「ふふ。…それはあなたが私に付き合ってくれるからよ。こんな国なんて大嫌い。平和と派手と豊かさが美学なのよ。きっとどんどん綻んでいくわ。」
リリアはいつもどこか遠くからこの国を見ている。そういう視点の人がここでは珍しくて、純粋に尊敬してしまう。
「…そう、なのかもしれませんね。」
「あなただけは肯定してくれるのね。…そういうところほんとに可愛い。」
「え?」
俺がそう言った瞬間、彼女に口付けされた。
ぐしゃぐしゃと俺の頭を撫でると満足気に部屋から帰って行った。
それからというもの、2人でバレないように会う時には恋人のような関係になってしまった。
側近が王太子殿下の婚約者と恋仲。
こんなものバレたらユアン殿下は許して下さったとしても、王が俺を破門にするだろう。
誑かしたのはあっちからだとしてもどうしたって俺が断罪されるのだ。
ユアン殿下には、申し訳なさでまともに顔を見ることが出来なかった。
「ユアン殿下、わたしたちが2人で会っていること気づいてるわよ。」
「え?」
リリアにそんなことを言われた日には、心臓が止まるかと思った。
「でもあの人は私たちがどうなろうと何か口出ししてくることなんて無いわよ。そういう人なの。自分の立場が平穏で変わらないことが1番大切なのよ。…だから虐めたくなるのよ。」
「…それでも、もうこんな関係終わりにしましょう。…俺はユアン殿下に仕えていたいんです。」
「分かった。」
俺の恋心は、そんなこんなですんなりと終わった。
リリアはそのうち遠くの国に嫁いで行った。
自分が権力を握れるきっともっと彼女にとって面白い場所へ。
旦那ではなく、そこからの距離のユアン殿下は彼女にとって面白いのだろうか。彼が敵国にいたらいいのに、と言っていた言葉を思い出す。
誰かが捕まえておくことなんてできない。
そんな彼女だから俺は惹かれたのだ。
だからもうミレサ王子の隣に並んでいる彼女を見ても感情は動かない。
彼女と過ごした時間を思い出し話ながら俺はそうまとめた。
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