悪役令嬢と氷の騎士兄弟

飴爽かに

文字の大きさ
22 / 25

あなたのための、王子様

しおりを挟む
ユアン殿下にも、推されてノア殿下、レイア、私の3人は話し合う時間を設けられた。

一番最初に部屋に入った私は、緊張しながら椅子に座った。

「…どうすればいいのよ。」
街の問題をどう治めるのかがそもそも難しいのに、この面子で話し合うのもなかなか骨が折れる。

「私が1番気使うじゃないこれ。」
「それもそうよね。」
返ってきた言葉に驚く。
「レイア。」
いつのまに来ていたのだろうか。

藍色の髪に金色の瞳。綺麗な容姿の彼女には派手な部屋が良く似合う。
「やっぱり、あなたの方がノア殿下の隣にふさわしいわね。綺麗。」

私がそう言うと彼女は表情を変えずに、私の顔を見るように屈んで近づいた。

「ココは可愛いわ。」
そう言ってぽんと頭を撫でる。
大好きなものを生み出した人にそんなことを言われるのだ、照れるに決まっている。

「それにしても、あなたはノア殿下を自分から手放したのね、好みじゃなかった?まぁノアはクズ設定だったものね。」
なんていうか原作者からそんな言葉聞きたくなかった。

「…わるいところの方が多い王子様だったかな。」
寂しそうにレイアは言う。

その時ガチャリとドアが開いた音がした。
私はそれにかまわずに言い返した。

「…でも、ノアはその時のあなたにとって、物語を書いた時のあなたにとって、必要な人だったんだと思う。」
なんていうか、ノアのクズだけどそれでも優しいその優しさは、レイアを見つけ出すためにあったんじゃないかと思う。

「ノアはあなたにとって、やっぱり必要な王子様だったんじゃないかな。ライラでもなく、ココでもなく、レイアのための王子様だったんだと思うよ。」

そう言うとどこか泣きそうな表情でレイアは私を見つめていた。

「…えっと、よく分からないが話は終わったか?」
困ったように言ってきたのは、さっき入ってきたらしかったノア殿下だった。

『物語を書いた』とか言ってしまっていたが、ノア殿下はあまりそれを気にしている表情はしていなかった。

言ってる意味も分からないだろうし、なにも気にしない振りをしてくれているのかも知れなかった。

「ええ。待たせてしまってすみませんわ。」
私はそう言うと、彼を椅子に座るよう促した。

「それにしても、こうしてレイアとココが仲良くしているところをみると嬉しいな。」
それはそうだろう。
普通は婚約を解消する予定の婚約者と、新たなパートナーが仲良くしている姿は見ないだろう。

「…まぁ、私はレイアに悪印象を持っていませんでしたからね。」
とまったくの嘘なのだが適当に返す。

するとノアが口を開いた。
「ココが優しいからじゃないか?私の不貞にも見て見ぬふりをして突き放すのではなく、しつこく注意してくれただろう。本当に優しいというのは、そういうのを言うのじゃないか?」
「…そんなことはないですわよ。」

ライラの言っていたことを思い出す。
彼はやっぱり、人の見つけて欲しい部分を見つけてくれる人なのかもしれない。
人に向き合うのが得意なのは、よっぽど彼の方なのかも。

「正直ユアン殿下が私に頼ってくださるとは思ってなかったわ。」
レイアが考えるように言った。

「私が、私とレイアを頼って欲しいと言ったの。そしたら、ノア殿下も問題解決の力になるように、と仰っていたわ。」
ノアを見ると、前私が強くユアン殿下の助けをなぜしないのかと言ったことがあるため、気まづそうな顔をした。

「ノア殿下、ユアン殿下は自分よりもあなたの方がクォーツ帝国の王に向いていると言っていましたわよ。」
「そうなのか?」
「ええ。お2人ってけっこう仲のいい兄弟ですのに、意思疎通の違いが意外とありますよね。」
思ったことをそのまま言うと、ノアは遠くを見つめて言った。

「兄さんは、私のことが好きではないんだと思う。…なんだかいつも距離を置かれている。」
「え?」
そう言って思わずレイアを見た。
彼女も少し不思議そうにノアを見つめている。
彼女が知らないのなら、いったいなぜこんなことになっているのだろう。

「まあ、ともかく街の問題について話し合うか。」
ノア殿下はパンと手を叩いて、話を区切った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『嫌われ令嬢ですが、最終的に溺愛される予定です』

由香
恋愛
貴族令嬢エマは、自分が周囲から嫌われていると信じて疑わなかった。 婚約者である侯爵令息レオンからも距離を取られ、冷たい視線を向けられている――そう思っていたのに。 ある日、思いがけず聞いてしまった彼の本音。 「君を嫌ったことなど、一度もない」 それは誤解とすれ違いが重なっただけの、両片思いだった。 勘違いから始まる、甘くて優しい溺愛恋物語。

転生賢妻は最高のスパダリ辺境伯の愛を独占し、やがて王国を救う〜現代知識で悪女と王都の陰謀を打ち砕く溺愛新婚記〜

紅葉山参
恋愛
ブラック企業から辺境伯夫人アナスタシアとして転生した私は、愛する完璧な夫マクナル様と溺愛の新婚生活を送っていた。私は前世の「合理的常識」と「科学知識」を駆使し、元公爵令嬢ローナのあらゆる悪意を打ち破り、彼女を辺境の落ちぶれた貴族の元へ追放した。 第一の試練を乗り越えた辺境伯領は、私の導入した投資戦略とシンプルな経営手法により、瞬く間に王国一の経済力を確立する。この成功は、王都の中央貴族、特に王弟公爵とその腹心である奸猾な財務大臣の強烈な嫉妬と警戒を引き寄せる。彼らは、辺境伯領の富を「危険な独立勢力」と見なし、マクナル様を王都へ召喚し、アナスタシアを孤立させる第二の試練を仕掛けてきた。 夫が不在となる中、アナスタシアは辺境領の全ての重責を一人で背負うことになる。王都からの横暴な監査団の干渉、領地の資源を狙う裏切り者、そして辺境ならではの飢饉と疫病の発生。アナスタシアは「現代のインフラ技術」と「危機管理広報」を駆使し、夫の留守を完璧に守り抜くだけでなく、王都の監査団を論破し、辺境領の半独立的な経済圏を確立する。 第三の試練として、隣国との緊張が高まり、王国全体が未曽有の財政危機に瀕する。マクナル様は王国の窮地を救うため王都へ戻るが、保守派の貴族に阻まれ無力化される。この時、アナスタシアは辺境伯夫人として王都へ乗り込むことを決意する。彼女は前世の「国家予算の再建理論」や「国際金融の知識」を武器に、王国の経済再建計画を提案する。 最終的に、アナスタシアとマクナル様は、王国の腐敗した権力構造と対峙し、愛と知恵、そして辺境の強大な経済力を背景に、全ての敵対勢力を打ち砕く。王国の危機を救った二人は、辺境伯としての地位を王国の基盤として確立し、二人の愛の結晶と共に、永遠に続く溺愛と繁栄の歴史を築き上げる。 予定です……

【完結】捨てられ令嬢の冒険譚 〜婚約破棄されたので、伝説の精霊女王として生きていきます〜

きゅちゃん
恋愛
名門エルトリア公爵家レオンと婚約していた伯爵令嬢のエレナ・ローズウッドは、レオンから婚約破棄を宣言される。屈辱に震えるエレナだが、その瞬間、彼女にしか見えない精霊王アキュラが現れて...?!地味で魔法の才能にも恵まれなかったエレナが、新たな自分と恋を見つけていくうちに、大冒険に巻き込まれてしまう物語。

悪役令嬢のはずですが、年上王子が幼い頃から私を甘やかす気でいました

ria_alphapolis
恋愛
私は、悪役令嬢なのかもしれない。 王子の婚約者としては少し我儘で、周囲からは気が強いと思われている―― そんな自分に気づいた日から、私は“断罪される未来”を恐れるようになった。 婚約者である年上の王子は、今日も変わらず優しい。 けれどその優しさが、義務なのか、同情なのか、私にはわからない。 距離を取ろうとする私と、何も言わずに見守る王子。 両思いなのに、想いはすれ違っていく。 けれど彼は知っている。 五歳下の婚約者が「我儘だ」と言われていた幼い頃から、 そのすべてが可愛くて仕方なかったことを。 ――我儘でいい。 そう決めたのは、ずっと昔のことだった。 悪役令嬢だと勘違いしている少女と、 溺愛を隠し続ける年上王子の、すれ違い恋愛ファンタジー。 ※溺愛保証/王子視点あり/幼少期エピソードあり

悪役令嬢が睨んでくるので、理由を聞いてみた

ちくわ食べます
恋愛
転生したのは馴染みのない乙女ゲームの世界だった。  シナリオは分からず、登場人物もうろ覚え、タイトルなんて覚えてすらいない。 そんな世界でモブ男『トリスタン』として暮らす主人公。 恋愛至上主義な学園で大人しく、モブらしく、学園生活を送っていたはずなのに、なぜか悪役令嬢から睨まれていて。 気になったトリスタンは、悪役令嬢のセリスに理由を聞いてみることにした。

お転婆令嬢は、大好きな騎士様に本性を隠し通す

湊一桜
恋愛
侯爵令嬢クロエは、二度も婚約破棄をされた。彼女の男勝りで豪快な性格のせいである。 それに懲りたクロエは、普段は令嬢らしく振る舞い、夜には”白薔薇”という偽名のもと大暴れして、憂さ晴らしをしていた。 そんな彼女のもとに、兄が一人の騎士を連れてきた。 彼の名はルーク、別名”孤高の黒薔薇”。その冷たい振る舞いからそう呼ばれている。 だが実は、彼は女性が苦手であり、女性に話しかけられるとフリーズするため勘違いされていたのだ。 兄は、クロエとルークのこじらせっぷりに辟易し、二人に”恋愛の特訓”を持ちかける。 特訓を重ねるうちに、二人の距離は少しずつ近付いていく。だがクロエは、ルークに”好きな人”がいることを知ってしまった…… 恋愛なんてこりごりなのに、恋をしてしまったお転婆令嬢と、実は優しくて一途な騎士が、思い悩んで幸せになっていくお話です。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

十年間虐げられたお針子令嬢、冷徹侯爵に狂おしいほど愛される。

er
恋愛
十年前に両親を亡くしたセレスティーナは、後見人の叔父に財産を奪われ、物置部屋で使用人同然の扱いを受けていた。義妹ミレイユのために毎日ドレスを縫わされる日々——でも彼女には『星霜の記憶』という、物の過去と未来を視る特別な力があった。隠されていた舞踏会の招待状を見つけて決死の潜入を果たすと、冷徹で美しいヴィルフォール侯爵と運命の再会! 義妹のドレスが破れて大恥、叔父も悪事を暴かれて追放されるはめに。失われた伝説の刺繍技術を復活させたセレスティーナは宮廷筆頭職人に抜擢され、「ずっと君を探していた」と侯爵に溺愛される——

処理中です...