23 / 25
問題の解決へ
しおりを挟む
街の問題は、レイアが仕組んだもので、その内容はすべて手紙に書いてあったから、それを1つずつ解決していけばいずれ全ての問題は治まる。
でも、それをノア殿下のいる前で進めていくというのに困ってしまった。
問題の根本を全て知っているように解決して行ったら怪しまれるに違いない。
私はユアン殿下に渡された問題の概要が書かれた書類を眺めた。
「えっと、まずこれは、ユアン殿下が悪い所業をしているという噂が流れたことによる暴動ね。」
1枚紙をめくると、送られてきた抗議文がそのまま載っている。
「私の姉、リリアの嫁いだ国コルチカム帝国から、違法な金を受けとっている。ユアン殿下は、元婚約者であるリリアを脅して、ミレサ王子からお金を貰い受けている。」
何枚もの書類を眺めながら私はため息をついた。
「こんなの、本当なわけないじゃない。これが事実なら姉様はまずこの国に殴り込みにくるわよ。」
「まぁ、リリア殿はそういうものに屈するような女性ではないからな。」
「そうよね。…でも、それをどうやって誤解だと民衆に伝えられるか。」
噂を流した本人がそう言っているのに少しおかしくなった。
「それにしても、この噂のまずいところは、多くの民衆が信じているということだよな。普通なら1人の馬鹿な妄想だと切られるような噂だというのに、なぜ暴動がおきるまで広がったのか…」
それはレイアの手腕である。
レイアが街の発信源の強い人に、データを元にした具体的な説明を行ったのだ。
街に住む主要な人物たちにそれを行ってきたから、その噂がより真実味をましたのだ。
「…私問題を治めるのにいい考えがありますわ。」
私はたった今思いついた考えを2人に説明した。
「ユアン殿下がリリア姉様を下に見ているため、コルチカム帝国からの裏金を信じているのですわよね。だからつまり、ユアン殿下が下手に出て、コルチカム帝国のために力になっているところを見せれば良いのですわ。」
「なるほど。具体的には?」
「丁度、もう少しでコルチカム帝国は、建国500年の式典があります。その式典を友好国として、大きく盛り上げるお手伝いをすれば良いのではないでしょうか。」
「…いいかもしれないわね。得にまだ正式な婚約者であるあなたが間に立てば姉の嫁いだ国を祝うとして、すごく自然に見えるわ。」
レイアも満足気に頷く。
「そうか。それはいいな。早速兄さんにも話して、詳しく内容を固めていこう。」
ぽんと嬉しそうにノア殿下も手を叩く。
その姿を見ながら私はもうひとつの資料を手に取った。
「まあ、そちらは良いとして、一番の問題はこれですわよね。」
その言葉に心当たりのあるノア殿下が困ったように下を向いた。
資料の見出しを読み上げる。
「国民の中でのユアン殿下、ノア殿下の支持の派閥分裂。」
今1番巷で問題になっている話である。
「それは今、すぐにどうこう出来るものではないわよね。」
「そうよね。」
最近特に体が弱まってきているユアン殿下の様子を知って民衆たちが次の王に向いていないのではと言っているのだ。
そもそも、ユアン殿下は温和的すぎて、他国からの契約をすんなりと結んでしまう。
現状維持が一番のユアン殿下に不安を抱く民衆が増えているのだ。
そして相対的に次の王に、と、株が上がっているのがノア殿下。
彼が女性好きなのはもう知れ渡っている噂だが、積極性のある性格と、強く意見を言える姿勢に彼を推す人が増えているのだ。
「これは悪いことではないし、むしろ民衆が政治に積極的なのは素晴らしいことなのだけど、派閥争いが激しすぎるのよね。」
そこら中で言い合いが起こっているし、ユアンにもノアにも、それぞれの反対派閥から、過激な抗議文が送られてきている。
「まあ、今、全部の解決策を決めないといけないわけではないし、とりあえず、これは保留でしょ。1つずつやって行きましょう。」
レイアはそう言って資料を閉じた。
第一回目の私たちの話し合いは終わったけれど、私はもやもやしていた。
今現在、たくさんの民衆の間での問題は上がっているが、結局、全てはユアン殿下とノア殿下の派閥争いに繋がる気がする。
ユアン殿下のお金の問題も、派閥争いに拍車をかけるものとして、使われているような気もするし。
「どうすれば、根本解決になるのかしら。」
でも、それをノア殿下のいる前で進めていくというのに困ってしまった。
問題の根本を全て知っているように解決して行ったら怪しまれるに違いない。
私はユアン殿下に渡された問題の概要が書かれた書類を眺めた。
「えっと、まずこれは、ユアン殿下が悪い所業をしているという噂が流れたことによる暴動ね。」
1枚紙をめくると、送られてきた抗議文がそのまま載っている。
「私の姉、リリアの嫁いだ国コルチカム帝国から、違法な金を受けとっている。ユアン殿下は、元婚約者であるリリアを脅して、ミレサ王子からお金を貰い受けている。」
何枚もの書類を眺めながら私はため息をついた。
「こんなの、本当なわけないじゃない。これが事実なら姉様はまずこの国に殴り込みにくるわよ。」
「まぁ、リリア殿はそういうものに屈するような女性ではないからな。」
「そうよね。…でも、それをどうやって誤解だと民衆に伝えられるか。」
噂を流した本人がそう言っているのに少しおかしくなった。
「それにしても、この噂のまずいところは、多くの民衆が信じているということだよな。普通なら1人の馬鹿な妄想だと切られるような噂だというのに、なぜ暴動がおきるまで広がったのか…」
それはレイアの手腕である。
レイアが街の発信源の強い人に、データを元にした具体的な説明を行ったのだ。
街に住む主要な人物たちにそれを行ってきたから、その噂がより真実味をましたのだ。
「…私問題を治めるのにいい考えがありますわ。」
私はたった今思いついた考えを2人に説明した。
「ユアン殿下がリリア姉様を下に見ているため、コルチカム帝国からの裏金を信じているのですわよね。だからつまり、ユアン殿下が下手に出て、コルチカム帝国のために力になっているところを見せれば良いのですわ。」
「なるほど。具体的には?」
「丁度、もう少しでコルチカム帝国は、建国500年の式典があります。その式典を友好国として、大きく盛り上げるお手伝いをすれば良いのではないでしょうか。」
「…いいかもしれないわね。得にまだ正式な婚約者であるあなたが間に立てば姉の嫁いだ国を祝うとして、すごく自然に見えるわ。」
レイアも満足気に頷く。
「そうか。それはいいな。早速兄さんにも話して、詳しく内容を固めていこう。」
ぽんと嬉しそうにノア殿下も手を叩く。
その姿を見ながら私はもうひとつの資料を手に取った。
「まあ、そちらは良いとして、一番の問題はこれですわよね。」
その言葉に心当たりのあるノア殿下が困ったように下を向いた。
資料の見出しを読み上げる。
「国民の中でのユアン殿下、ノア殿下の支持の派閥分裂。」
今1番巷で問題になっている話である。
「それは今、すぐにどうこう出来るものではないわよね。」
「そうよね。」
最近特に体が弱まってきているユアン殿下の様子を知って民衆たちが次の王に向いていないのではと言っているのだ。
そもそも、ユアン殿下は温和的すぎて、他国からの契約をすんなりと結んでしまう。
現状維持が一番のユアン殿下に不安を抱く民衆が増えているのだ。
そして相対的に次の王に、と、株が上がっているのがノア殿下。
彼が女性好きなのはもう知れ渡っている噂だが、積極性のある性格と、強く意見を言える姿勢に彼を推す人が増えているのだ。
「これは悪いことではないし、むしろ民衆が政治に積極的なのは素晴らしいことなのだけど、派閥争いが激しすぎるのよね。」
そこら中で言い合いが起こっているし、ユアンにもノアにも、それぞれの反対派閥から、過激な抗議文が送られてきている。
「まあ、今、全部の解決策を決めないといけないわけではないし、とりあえず、これは保留でしょ。1つずつやって行きましょう。」
レイアはそう言って資料を閉じた。
第一回目の私たちの話し合いは終わったけれど、私はもやもやしていた。
今現在、たくさんの民衆の間での問題は上がっているが、結局、全てはユアン殿下とノア殿下の派閥争いに繋がる気がする。
ユアン殿下のお金の問題も、派閥争いに拍車をかけるものとして、使われているような気もするし。
「どうすれば、根本解決になるのかしら。」
0
あなたにおすすめの小説
『嫌われ令嬢ですが、最終的に溺愛される予定です』
由香
恋愛
貴族令嬢エマは、自分が周囲から嫌われていると信じて疑わなかった。
婚約者である侯爵令息レオンからも距離を取られ、冷たい視線を向けられている――そう思っていたのに。
ある日、思いがけず聞いてしまった彼の本音。
「君を嫌ったことなど、一度もない」
それは誤解とすれ違いが重なっただけの、両片思いだった。
勘違いから始まる、甘くて優しい溺愛恋物語。
転生賢妻は最高のスパダリ辺境伯の愛を独占し、やがて王国を救う〜現代知識で悪女と王都の陰謀を打ち砕く溺愛新婚記〜
紅葉山参
恋愛
ブラック企業から辺境伯夫人アナスタシアとして転生した私は、愛する完璧な夫マクナル様と溺愛の新婚生活を送っていた。私は前世の「合理的常識」と「科学知識」を駆使し、元公爵令嬢ローナのあらゆる悪意を打ち破り、彼女を辺境の落ちぶれた貴族の元へ追放した。
第一の試練を乗り越えた辺境伯領は、私の導入した投資戦略とシンプルな経営手法により、瞬く間に王国一の経済力を確立する。この成功は、王都の中央貴族、特に王弟公爵とその腹心である奸猾な財務大臣の強烈な嫉妬と警戒を引き寄せる。彼らは、辺境伯領の富を「危険な独立勢力」と見なし、マクナル様を王都へ召喚し、アナスタシアを孤立させる第二の試練を仕掛けてきた。
夫が不在となる中、アナスタシアは辺境領の全ての重責を一人で背負うことになる。王都からの横暴な監査団の干渉、領地の資源を狙う裏切り者、そして辺境ならではの飢饉と疫病の発生。アナスタシアは「現代のインフラ技術」と「危機管理広報」を駆使し、夫の留守を完璧に守り抜くだけでなく、王都の監査団を論破し、辺境領の半独立的な経済圏を確立する。
第三の試練として、隣国との緊張が高まり、王国全体が未曽有の財政危機に瀕する。マクナル様は王国の窮地を救うため王都へ戻るが、保守派の貴族に阻まれ無力化される。この時、アナスタシアは辺境伯夫人として王都へ乗り込むことを決意する。彼女は前世の「国家予算の再建理論」や「国際金融の知識」を武器に、王国の経済再建計画を提案する。
最終的に、アナスタシアとマクナル様は、王国の腐敗した権力構造と対峙し、愛と知恵、そして辺境の強大な経済力を背景に、全ての敵対勢力を打ち砕く。王国の危機を救った二人は、辺境伯としての地位を王国の基盤として確立し、二人の愛の結晶と共に、永遠に続く溺愛と繁栄の歴史を築き上げる。 予定です……
【完結】捨てられ令嬢の冒険譚 〜婚約破棄されたので、伝説の精霊女王として生きていきます〜
きゅちゃん
恋愛
名門エルトリア公爵家レオンと婚約していた伯爵令嬢のエレナ・ローズウッドは、レオンから婚約破棄を宣言される。屈辱に震えるエレナだが、その瞬間、彼女にしか見えない精霊王アキュラが現れて...?!地味で魔法の才能にも恵まれなかったエレナが、新たな自分と恋を見つけていくうちに、大冒険に巻き込まれてしまう物語。
悪役令嬢のはずですが、年上王子が幼い頃から私を甘やかす気でいました
ria_alphapolis
恋愛
私は、悪役令嬢なのかもしれない。
王子の婚約者としては少し我儘で、周囲からは気が強いと思われている――
そんな自分に気づいた日から、私は“断罪される未来”を恐れるようになった。
婚約者である年上の王子は、今日も変わらず優しい。
けれどその優しさが、義務なのか、同情なのか、私にはわからない。
距離を取ろうとする私と、何も言わずに見守る王子。
両思いなのに、想いはすれ違っていく。
けれど彼は知っている。
五歳下の婚約者が「我儘だ」と言われていた幼い頃から、
そのすべてが可愛くて仕方なかったことを。
――我儘でいい。
そう決めたのは、ずっと昔のことだった。
悪役令嬢だと勘違いしている少女と、
溺愛を隠し続ける年上王子の、すれ違い恋愛ファンタジー。
※溺愛保証/王子視点あり/幼少期エピソードあり
悪役令嬢が睨んでくるので、理由を聞いてみた
ちくわ食べます
恋愛
転生したのは馴染みのない乙女ゲームの世界だった。
シナリオは分からず、登場人物もうろ覚え、タイトルなんて覚えてすらいない。
そんな世界でモブ男『トリスタン』として暮らす主人公。
恋愛至上主義な学園で大人しく、モブらしく、学園生活を送っていたはずなのに、なぜか悪役令嬢から睨まれていて。
気になったトリスタンは、悪役令嬢のセリスに理由を聞いてみることにした。
お転婆令嬢は、大好きな騎士様に本性を隠し通す
湊一桜
恋愛
侯爵令嬢クロエは、二度も婚約破棄をされた。彼女の男勝りで豪快な性格のせいである。
それに懲りたクロエは、普段は令嬢らしく振る舞い、夜には”白薔薇”という偽名のもと大暴れして、憂さ晴らしをしていた。
そんな彼女のもとに、兄が一人の騎士を連れてきた。
彼の名はルーク、別名”孤高の黒薔薇”。その冷たい振る舞いからそう呼ばれている。
だが実は、彼は女性が苦手であり、女性に話しかけられるとフリーズするため勘違いされていたのだ。
兄は、クロエとルークのこじらせっぷりに辟易し、二人に”恋愛の特訓”を持ちかける。
特訓を重ねるうちに、二人の距離は少しずつ近付いていく。だがクロエは、ルークに”好きな人”がいることを知ってしまった……
恋愛なんてこりごりなのに、恋をしてしまったお転婆令嬢と、実は優しくて一途な騎士が、思い悩んで幸せになっていくお話です。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
十年間虐げられたお針子令嬢、冷徹侯爵に狂おしいほど愛される。
er
恋愛
十年前に両親を亡くしたセレスティーナは、後見人の叔父に財産を奪われ、物置部屋で使用人同然の扱いを受けていた。義妹ミレイユのために毎日ドレスを縫わされる日々——でも彼女には『星霜の記憶』という、物の過去と未来を視る特別な力があった。隠されていた舞踏会の招待状を見つけて決死の潜入を果たすと、冷徹で美しいヴィルフォール侯爵と運命の再会! 義妹のドレスが破れて大恥、叔父も悪事を暴かれて追放されるはめに。失われた伝説の刺繍技術を復活させたセレスティーナは宮廷筆頭職人に抜擢され、「ずっと君を探していた」と侯爵に溺愛される——
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる