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問題の解決へ
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街の問題は、レイアが仕組んだもので、その内容はすべて手紙に書いてあったから、それを1つずつ解決していけばいずれ全ての問題は治まる。
でも、それをノア殿下のいる前で進めていくというのに困ってしまった。
問題の根本を全て知っているように解決して行ったら怪しまれるに違いない。
私はユアン殿下に渡された問題の概要が書かれた書類を眺めた。
「えっと、まずこれは、ユアン殿下が悪い所業をしているという噂が流れたことによる暴動ね。」
1枚紙をめくると、送られてきた抗議文がそのまま載っている。
「私の姉、リリアの嫁いだ国コルチカム帝国から、違法な金を受けとっている。ユアン殿下は、元婚約者であるリリアを脅して、ミレサ王子からお金を貰い受けている。」
何枚もの書類を眺めながら私はため息をついた。
「こんなの、本当なわけないじゃない。これが事実なら姉様はまずこの国に殴り込みにくるわよ。」
「まぁ、リリア殿はそういうものに屈するような女性ではないからな。」
「そうよね。…でも、それをどうやって誤解だと民衆に伝えられるか。」
噂を流した本人がそう言っているのに少しおかしくなった。
「それにしても、この噂のまずいところは、多くの民衆が信じているということだよな。普通なら1人の馬鹿な妄想だと切られるような噂だというのに、なぜ暴動がおきるまで広がったのか…」
それはレイアの手腕である。
レイアが街の発信源の強い人に、データを元にした具体的な説明を行ったのだ。
街に住む主要な人物たちにそれを行ってきたから、その噂がより真実味をましたのだ。
「…私問題を治めるのにいい考えがありますわ。」
私はたった今思いついた考えを2人に説明した。
「ユアン殿下がリリア姉様を下に見ているため、コルチカム帝国からの裏金を信じているのですわよね。だからつまり、ユアン殿下が下手に出て、コルチカム帝国のために力になっているところを見せれば良いのですわ。」
「なるほど。具体的には?」
「丁度、もう少しでコルチカム帝国は、建国500年の式典があります。その式典を友好国として、大きく盛り上げるお手伝いをすれば良いのではないでしょうか。」
「…いいかもしれないわね。得にまだ正式な婚約者であるあなたが間に立てば姉の嫁いだ国を祝うとして、すごく自然に見えるわ。」
レイアも満足気に頷く。
「そうか。それはいいな。早速兄さんにも話して、詳しく内容を固めていこう。」
ぽんと嬉しそうにノア殿下も手を叩く。
その姿を見ながら私はもうひとつの資料を手に取った。
「まあ、そちらは良いとして、一番の問題はこれですわよね。」
その言葉に心当たりのあるノア殿下が困ったように下を向いた。
資料の見出しを読み上げる。
「国民の中でのユアン殿下、ノア殿下の支持の派閥分裂。」
今1番巷で問題になっている話である。
「それは今、すぐにどうこう出来るものではないわよね。」
「そうよね。」
最近特に体が弱まってきているユアン殿下の様子を知って民衆たちが次の王に向いていないのではと言っているのだ。
そもそも、ユアン殿下は温和的すぎて、他国からの契約をすんなりと結んでしまう。
現状維持が一番のユアン殿下に不安を抱く民衆が増えているのだ。
そして相対的に次の王に、と、株が上がっているのがノア殿下。
彼が女性好きなのはもう知れ渡っている噂だが、積極性のある性格と、強く意見を言える姿勢に彼を推す人が増えているのだ。
「これは悪いことではないし、むしろ民衆が政治に積極的なのは素晴らしいことなのだけど、派閥争いが激しすぎるのよね。」
そこら中で言い合いが起こっているし、ユアンにもノアにも、それぞれの反対派閥から、過激な抗議文が送られてきている。
「まあ、今、全部の解決策を決めないといけないわけではないし、とりあえず、これは保留でしょ。1つずつやって行きましょう。」
レイアはそう言って資料を閉じた。
第一回目の私たちの話し合いは終わったけれど、私はもやもやしていた。
今現在、たくさんの民衆の間での問題は上がっているが、結局、全てはユアン殿下とノア殿下の派閥争いに繋がる気がする。
ユアン殿下のお金の問題も、派閥争いに拍車をかけるものとして、使われているような気もするし。
「どうすれば、根本解決になるのかしら。」
でも、それをノア殿下のいる前で進めていくというのに困ってしまった。
問題の根本を全て知っているように解決して行ったら怪しまれるに違いない。
私はユアン殿下に渡された問題の概要が書かれた書類を眺めた。
「えっと、まずこれは、ユアン殿下が悪い所業をしているという噂が流れたことによる暴動ね。」
1枚紙をめくると、送られてきた抗議文がそのまま載っている。
「私の姉、リリアの嫁いだ国コルチカム帝国から、違法な金を受けとっている。ユアン殿下は、元婚約者であるリリアを脅して、ミレサ王子からお金を貰い受けている。」
何枚もの書類を眺めながら私はため息をついた。
「こんなの、本当なわけないじゃない。これが事実なら姉様はまずこの国に殴り込みにくるわよ。」
「まぁ、リリア殿はそういうものに屈するような女性ではないからな。」
「そうよね。…でも、それをどうやって誤解だと民衆に伝えられるか。」
噂を流した本人がそう言っているのに少しおかしくなった。
「それにしても、この噂のまずいところは、多くの民衆が信じているということだよな。普通なら1人の馬鹿な妄想だと切られるような噂だというのに、なぜ暴動がおきるまで広がったのか…」
それはレイアの手腕である。
レイアが街の発信源の強い人に、データを元にした具体的な説明を行ったのだ。
街に住む主要な人物たちにそれを行ってきたから、その噂がより真実味をましたのだ。
「…私問題を治めるのにいい考えがありますわ。」
私はたった今思いついた考えを2人に説明した。
「ユアン殿下がリリア姉様を下に見ているため、コルチカム帝国からの裏金を信じているのですわよね。だからつまり、ユアン殿下が下手に出て、コルチカム帝国のために力になっているところを見せれば良いのですわ。」
「なるほど。具体的には?」
「丁度、もう少しでコルチカム帝国は、建国500年の式典があります。その式典を友好国として、大きく盛り上げるお手伝いをすれば良いのではないでしょうか。」
「…いいかもしれないわね。得にまだ正式な婚約者であるあなたが間に立てば姉の嫁いだ国を祝うとして、すごく自然に見えるわ。」
レイアも満足気に頷く。
「そうか。それはいいな。早速兄さんにも話して、詳しく内容を固めていこう。」
ぽんと嬉しそうにノア殿下も手を叩く。
その姿を見ながら私はもうひとつの資料を手に取った。
「まあ、そちらは良いとして、一番の問題はこれですわよね。」
その言葉に心当たりのあるノア殿下が困ったように下を向いた。
資料の見出しを読み上げる。
「国民の中でのユアン殿下、ノア殿下の支持の派閥分裂。」
今1番巷で問題になっている話である。
「それは今、すぐにどうこう出来るものではないわよね。」
「そうよね。」
最近特に体が弱まってきているユアン殿下の様子を知って民衆たちが次の王に向いていないのではと言っているのだ。
そもそも、ユアン殿下は温和的すぎて、他国からの契約をすんなりと結んでしまう。
現状維持が一番のユアン殿下に不安を抱く民衆が増えているのだ。
そして相対的に次の王に、と、株が上がっているのがノア殿下。
彼が女性好きなのはもう知れ渡っている噂だが、積極性のある性格と、強く意見を言える姿勢に彼を推す人が増えているのだ。
「これは悪いことではないし、むしろ民衆が政治に積極的なのは素晴らしいことなのだけど、派閥争いが激しすぎるのよね。」
そこら中で言い合いが起こっているし、ユアンにもノアにも、それぞれの反対派閥から、過激な抗議文が送られてきている。
「まあ、今、全部の解決策を決めないといけないわけではないし、とりあえず、これは保留でしょ。1つずつやって行きましょう。」
レイアはそう言って資料を閉じた。
第一回目の私たちの話し合いは終わったけれど、私はもやもやしていた。
今現在、たくさんの民衆の間での問題は上がっているが、結局、全てはユアン殿下とノア殿下の派閥争いに繋がる気がする。
ユアン殿下のお金の問題も、派閥争いに拍車をかけるものとして、使われているような気もするし。
「どうすれば、根本解決になるのかしら。」
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