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伯爵領へ
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町長と男爵は、出来上がった絹布を持って伯爵領へとやってきていた。
前回と同じように宿を取り、伯爵宛に面会の手紙を送ると。今度は直ぐに返事が来て二日後には面会となった。
「久しいなバザール男爵、それと……」
隣の執事がそっと口添えする
「セールよ」
名を呼ばれた二人は恭しく頭を下げる。
「今回の要件は?」
勿論、前もって知らせてあるのだが貴族のやり取りってね……。
「はい、今回は絹布が出来上がりましたので、アストリア伯爵に献上致したくお持ち致しました」
男爵が荷物の布を開き、中の木箱を持って執事に渡す。
執事はまず箱を見て驚いた、あまりに手触りが柔らかく滑らかな木目は今まで見たこともない木箱だったからだ。
「どうした?」
伯爵が早く見せろと促す。
開けて中身を確認し……伯爵へ。
「これは!」
伯爵は目を見張ってうなり、普段は動じる事のない執事も思わず反応してしまう程の見事な艶と細やかな織目の絹布。
タップリと時間を掛けて中身を確認し。
「二人とも今回も素晴らしい献上の品だった、後で褒美を持たせるので暫く領都を楽しむと良い」
今回は伯爵家に囚われず帰ることができホッとした二人だったが、いつの間にか宿の部屋が一番良い部屋へと変わっており、さらに二週間分の宿代も支払い済みだと聞き、また驚くのだった。
◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆
男爵と町長を帰らせた後。
じっくりと絹布をみる二人。
「これだけの物が出来るとは……」
「はい、最高級の品に間違いございませんな」
「セバス、もしやあの話、どこかで漏れてはおるまいな?」
「それはありえません、絶対に漏れてはならぬ話ゆえ、厳密に対処させて頂いております」
二人はある事について考えていたが、やはり同じ結論に辿り着くのだった。
「これを二人に見せない訳には行かぬな」
「まぁまぁまぁまぁ!」
「!!!!」
二人の女性は目を輝かせてその絹布に見入った!
ここは伯爵と奥様の私室、滅多に他の者が入る事はないが、外部に漏れないようプライベートな場所であの絹布を見せていた。
「これは……これ程の絹布を、よくぞ見つけてくれました」
奥様は感動で声も震えていた、娘の方は絹布に目が行ったまま動かない……。
「ああ、本当にたまたま伝手があってな、運良く中央の奴らに奪われる前に手に入れる事が出来た」
奥様は目をうるわせながらそっと絹布に触れ。
「たとえ王都だとしても、これ程の絹布は滅多に手に入らないでしょう。アナタ、これを持ち込んだ商人には十分な礼をして下さいな。御用商人に引き立てて頂いても宜しくてよ」
伯爵は頷いて肯定した後。
「もう一つあってだな」
もう一つの布に包まれた中を開く
「まあぁぁぁぁぁ!」「!!!!!!!」
娘は興奮し過ぎて気を失ってしまった。
リリーちゃん凄すぎ。
◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆
その年、ある伯爵家の長女と王家の第三王子との婚約が発表された。
一年後、二人の結婚式が盛大に行われ、その時に新婦が着ていたドレスは大勢の参列者の目に止まり絶賛されたと言う。
その夜、王の寝室ではシルクのナイトウェアを着た婦人が王の肩にしなだれながら。
「ねえアナタ、私もあのシルクで作ったドレスが欲しいわ」
などと言う会話があったとか無かったとか……。
前回と同じように宿を取り、伯爵宛に面会の手紙を送ると。今度は直ぐに返事が来て二日後には面会となった。
「久しいなバザール男爵、それと……」
隣の執事がそっと口添えする
「セールよ」
名を呼ばれた二人は恭しく頭を下げる。
「今回の要件は?」
勿論、前もって知らせてあるのだが貴族のやり取りってね……。
「はい、今回は絹布が出来上がりましたので、アストリア伯爵に献上致したくお持ち致しました」
男爵が荷物の布を開き、中の木箱を持って執事に渡す。
執事はまず箱を見て驚いた、あまりに手触りが柔らかく滑らかな木目は今まで見たこともない木箱だったからだ。
「どうした?」
伯爵が早く見せろと促す。
開けて中身を確認し……伯爵へ。
「これは!」
伯爵は目を見張ってうなり、普段は動じる事のない執事も思わず反応してしまう程の見事な艶と細やかな織目の絹布。
タップリと時間を掛けて中身を確認し。
「二人とも今回も素晴らしい献上の品だった、後で褒美を持たせるので暫く領都を楽しむと良い」
今回は伯爵家に囚われず帰ることができホッとした二人だったが、いつの間にか宿の部屋が一番良い部屋へと変わっており、さらに二週間分の宿代も支払い済みだと聞き、また驚くのだった。
◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆
男爵と町長を帰らせた後。
じっくりと絹布をみる二人。
「これだけの物が出来るとは……」
「はい、最高級の品に間違いございませんな」
「セバス、もしやあの話、どこかで漏れてはおるまいな?」
「それはありえません、絶対に漏れてはならぬ話ゆえ、厳密に対処させて頂いております」
二人はある事について考えていたが、やはり同じ結論に辿り着くのだった。
「これを二人に見せない訳には行かぬな」
「まぁまぁまぁまぁ!」
「!!!!」
二人の女性は目を輝かせてその絹布に見入った!
ここは伯爵と奥様の私室、滅多に他の者が入る事はないが、外部に漏れないようプライベートな場所であの絹布を見せていた。
「これは……これ程の絹布を、よくぞ見つけてくれました」
奥様は感動で声も震えていた、娘の方は絹布に目が行ったまま動かない……。
「ああ、本当にたまたま伝手があってな、運良く中央の奴らに奪われる前に手に入れる事が出来た」
奥様は目をうるわせながらそっと絹布に触れ。
「たとえ王都だとしても、これ程の絹布は滅多に手に入らないでしょう。アナタ、これを持ち込んだ商人には十分な礼をして下さいな。御用商人に引き立てて頂いても宜しくてよ」
伯爵は頷いて肯定した後。
「もう一つあってだな」
もう一つの布に包まれた中を開く
「まあぁぁぁぁぁ!」「!!!!!!!」
娘は興奮し過ぎて気を失ってしまった。
リリーちゃん凄すぎ。
◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆
その年、ある伯爵家の長女と王家の第三王子との婚約が発表された。
一年後、二人の結婚式が盛大に行われ、その時に新婦が着ていたドレスは大勢の参列者の目に止まり絶賛されたと言う。
その夜、王の寝室ではシルクのナイトウェアを着た婦人が王の肩にしなだれながら。
「ねえアナタ、私もあのシルクで作ったドレスが欲しいわ」
などと言う会話があったとか無かったとか……。
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