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第10章 学校生活3

第50話 誕生日

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 洞窟での合同授業から暫くの間、僕達の事があったため特に実技の方はあまり大きな内容は行われず、学校全体的にも何となく重い雰囲気が漂っていた。

 そんなある日の夕食後、兄ちゃんが僕の部屋を訪ねて来た。

「どうしたの? 突然」「いやぁ、もうすぐ誕生日だろ。アリスの」「あっ」そうだ、もうすぐアリスの誕生日だ(······つまり僕の誕生日も近いんだけど)。

「確かにそうだけど」「去年は俺もお前も祝ってやれて無いんだから、今年ぐらいはしっかり祝ってやらねぇとなぁと思ってよ。俺同様別の意味合いでもよ」あーそういう事か。

「確かにそうだよね」「で、珍しい物でもって考えて、例の洞窟に行ってみて何か落ちてたりしてないか見に行ってみるのも有りじゃないかと思ってよ」

「えっ、あの洞窟に?」「あぁ。お前と一緒だったら大丈夫だろ? ヴァンパイアバット達を俺も見てみたいし」「うーん······」

 確かにあの授業以来先生からも洞窟には許可がないと出入り禁止と言われたが、僕がいれば特別に許可されているから、「分かった。付き合うよ」「サンキュー。あと当日はメリッサも一緒に行く予定だから」「······分かった」ということで次の最初の休日に行く事にして兄ちゃんは部屋を出て行った。


 そして当日。ひと通りの武器とあの牙をぶら下げて待ち合わせ場所に行き、2人も来た事で洞窟に向かった。

 洞窟前には監視の先生が1人常駐しているが、僕や兄ちゃんだと分かると中に入れてもらえた。

 中に入って取り敢えずあのヴァンパイアバット達の住処である広場に進みつつ、その間も珍しい物が落ちてないか探して歩いた。

 特に珍しい物は見つかる事なく目的の広場に着いた。広場にいたヴァンパイアバットの数を見て兄ちゃんもお姉ちゃんも驚いていた。

 そしてあのヴァンパイアバットの子供が僕に近付いて来た。僕の腕に止まったところで「ちょっと洞窟内を探検しに行くんだけど、付いて来てくれる?」と尋ねると、ひと呼吸置いてから親の元に戻って親と話し合い、子供が僕の、親がお姉ちゃんの肩に止まって付いて来てくれるみたいだった。

「······本当に通じたな」その様子を見た兄ちゃんは驚いていた。

 そしてそのまま奥へ進める通路まで戻って奥へ進み、そこからは辺りを散策しながら進んで行った。しかしこの辺りにもやはり珍しい物は落ちてはいなかった。

「流石にそう都合よく落ちてはいないね」「まぁ、そうだよなぁ」「しょうがないわよ」僕らがそれぞれそう言葉を洩らした。

 すると突然僕の肩に止まっていたヴァンパイアバットの子供が前方に飛び出して行った。

 僕達も不思議に思いつつも後を付いて行った。そして今まで僕らが行った事の無い通路に飛び進んで行った。

 どうやらその辺りは学校もまだ把握していなかったみたいで他に比べて通路が暗くなっていたが、一本道みたいなのでゆっくり進めば問題なさそうなので気を付けて進んだ。

 暫くして目の前が明るくなってきたのでそこまで進んだら、周りの壁に水晶のような光輝いた石がたくさんのめり込まれていた。

「こ、これは······」「キレイ!」「す、凄ぇなこりゃあ」「キィー!」全員が驚きを隠せないでいたのだった。

 流石に先生に知らせない訳にもいかず、自分達用に3、4個取った後に入口の先生に報告し、すぐ学校から他の先生が来て現場調査が行われた。

 当然そこで僕らは解放されたが、事前に取っていた分については何も言われなかったのでそのまま持ち出したのだった······。

 そして話し合いの末に王都へ戻ったところで、宝石彫刻師にそのクリスタルを持って行き兄ちゃん達はネックレスを、僕はブレスレットを2つ依頼し、数日後それらを引き取りに行った。


 そうして誕生日当日、今回は兄ちゃんの時と違って夕食時にそれぞれプレゼントを持っていき、兄ちゃん達のネックレスを先に渡し、次に僕のブレスレットを渡して僕もお揃いの物を作ったと伝えた。それらを見てアリスはとても喜んだ。

 その後になぜか1日遅れで僕の誕生日祝いのプレゼントが送られ、3人の共通プレゼントで今使用している物より少し小さめで強度の強い"ブーメラン"だった······。
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