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第14章 帰省
第79話 エルフの王国
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村へ帰省して1週間が経った頃、村入口の柵に座りながら僕はヨートス様からもらった白い羽を眺めて考え事をしていた。
そこへ「どうした? レックス」兄ちゃんが声を掛けてきた。
「うん。ちょっと······」「ヨートス様からもらった羽がどうかしたのか?」「いや、実は······」僕は兄ちゃんに以前スティーブン先生からこれが移動の羽と呼ばれていて主にエルフ族の間で使われており、離れた所同士を一瞬で移動出来る物だと説明された事を話した。
「そうだったんだ」「うん。それでもし手に入れられるなら、後1枚欲しいなぁと考えてて······」
「欲張りな奴だなぁ。手に入れてどこへ行こうってんだ?」「マリンタウンにだよ」
「······あぁ。そうか」「うん。今はハウル様に連れて行ってもらってるけど、もし羽があればいつでもポピーに会いに行けるようになるから」
「確かにそうだな。だったらヨートス様に相談してみたらどうだ?」「うん。でもまずはハウル様に相談してくるから、もし父さんや母さんに何か聞かれたらそう答えといて」「分かった」
兄ちゃんとそんなやり取りをして赤い羽根を取り出し、ハウル様の所へ飛ぼうとしたらベアーズが肩に乗って来たので体がよろけてしまった。
「べ、ベアーズ!」「ハハッ! コイツも行きたがってるみたいだな」「全くぅ」と言ってベアーズも連れてハウル様の所へ飛んだ。そしてハウル様の所に着いてハウル様に羽の事を相談した。
「なるほど。確かにそうじゃのぉ」僕の話を聞いてハウル様にも理解してもらえた。
その時、「あの、ハウル様。そもそもこの羽って一体······」ふとそんな疑問が湧いたので尋ねた。
「その羽はのぉ、エルフの王国の奥地に生えとる世界樹の葉から作られた物なのじゃ」「世界樹の葉から!?」
スティーブン先生の授業で様々な用途に利用出来ると教えてもらったけど、まさかこの羽が世界樹の葉から作られた物とは。
「うむ。世界樹から葉を1枚取ってその葉を移動したい先の中で最も神聖なる自然物、川やら神木やら大地に接触させるのじゃ。暫くしたら色が変わるから、完全に変色し羽の形に変わったら完成という訳じゃ。変色させる地点によって色が変化し、エルフの関係先なら白、儂らヒト族の関係先なら赤という具合にな」「そうだったんですか」
(それじゃあ海人族の関係先なら······)と考えてたら、「しかしまぁ、お主になら恐らくあの方も分けてくれるのではないかのぉ」
「あの方って?」「エルフ王じゃよ。エルフの王国を治めておるエルフ族の国王じゃ」「エルフ王」
「うむ。お主のエルフ族に対しての今までの貢献などを聞けば、恐らく1枚ぐらいは分けてくれるとは思うが······」そこまで言ったところで少し間が空き、「まぁその辺りも含めて一度あ奴に相談してみるのも有りじゃろうて」あ奴って、ヨートス様の事か。
「分かりました」と答えて僕達はヨートス様の里へ飛んだ。
里に着いて早速ヨートス様の屋敷に向かい、中に入ってヨートス様がいる部屋に入った。
すると「レックス!」「やぁ、レックス君」ロースも偶然いたのでヨートス様と同様僕に声を掛けてきた。
「やぁ、ロース。お久しぶりです、ヨートス様」それぞれに挨拶をして「今日は一体どんな用件で?」ヨートス様から尋ねられたので、羽の事を伝えエルフの王国の事を聞き出した。
「そういう事か。確かに、それぐらいであればフィンラル様もお許しになるだろう」「フィンラル様?」初めて聞く名前だったので、僕は聞き返した。
「ああ。エルフ王様のお名前だよ。······もしかして、ハウルは教えてないのか?」「あの方としか言ってませんでした」「······説明するのを面倒くさがったな、あいつめ」としかめっ面をして言った後、「まぁ良いか。ちょっと待っててくれ、今紹介状を書いてあげよう」
「ありがとうございます!」僕がお礼を言ったら、「父さん、僕もレックスと一緒に行っても良い?」ロースが尋ねたので、「まぁ良いだろう。お前の事も書いてやるよ」「やったぁ!」と喜んだ。
そしてヨートス様が紹介状を書き上げるまでの間、休暇前試験の実技試験の話題で盛り上がり、ロースは自分達は毎日以前合同授業で行ったあの鉱山へ行かされて大変だったとか、僕達は羽でここまで飛んで来たと話したら「ズルいだろ! それ!」と言ってきたりして騒いでいた。
暫くして「書き上げたよ」ヨートス様が仰られたので「ありがとうございます!」とお礼を言った。
そして「ところで、エルフの王国へはどう行けば良いのですか?」と尋ねたら、「付いてきたまえ」と言われて僕達はヨートス様の後に付いて屋敷を出た。
屋敷を出て里の奥の方へ向かい、以前ダークエルフが襲って来た時に住民らが避難した場所にやって来た。
その場所にあった恐らくこの里のご神木の前で立ち止まり、ヨートス様はご神木に手をかざした。
するとご神木の正面が割れて目の前に空洞が現れた。
「ここがエルフの王国へ繋がっているんだよ」と言い、あの時も万が一の場合はここから王国へ避難するつもりだったと仰られた。
「それじゃあ、行ってきます」と僕達は空洞の中へ入って行った。
空洞の中はひたすら道が真っ直ぐ続いており、これなら迷う心配も無いと思いながら歩いていたら、前方に光が見えたので僕達は光の方へ向かった。
空洞を抜けたと思ったら目の前がとても眩しく感じた。
あまりの眩しさに僕もロースもベアーズもしばらく目を開けられないでいた。
そして暫くしてから目を開けたその先には······白銀に近い風景が広がり、王都に近い街並みが広がっているが、そこにいたのは皆エルフ族だった。
そこでようやく「ここが、エルフの王国」と判断出来たのだった······。
そこへ「どうした? レックス」兄ちゃんが声を掛けてきた。
「うん。ちょっと······」「ヨートス様からもらった羽がどうかしたのか?」「いや、実は······」僕は兄ちゃんに以前スティーブン先生からこれが移動の羽と呼ばれていて主にエルフ族の間で使われており、離れた所同士を一瞬で移動出来る物だと説明された事を話した。
「そうだったんだ」「うん。それでもし手に入れられるなら、後1枚欲しいなぁと考えてて······」
「欲張りな奴だなぁ。手に入れてどこへ行こうってんだ?」「マリンタウンにだよ」
「······あぁ。そうか」「うん。今はハウル様に連れて行ってもらってるけど、もし羽があればいつでもポピーに会いに行けるようになるから」
「確かにそうだな。だったらヨートス様に相談してみたらどうだ?」「うん。でもまずはハウル様に相談してくるから、もし父さんや母さんに何か聞かれたらそう答えといて」「分かった」
兄ちゃんとそんなやり取りをして赤い羽根を取り出し、ハウル様の所へ飛ぼうとしたらベアーズが肩に乗って来たので体がよろけてしまった。
「べ、ベアーズ!」「ハハッ! コイツも行きたがってるみたいだな」「全くぅ」と言ってベアーズも連れてハウル様の所へ飛んだ。そしてハウル様の所に着いてハウル様に羽の事を相談した。
「なるほど。確かにそうじゃのぉ」僕の話を聞いてハウル様にも理解してもらえた。
その時、「あの、ハウル様。そもそもこの羽って一体······」ふとそんな疑問が湧いたので尋ねた。
「その羽はのぉ、エルフの王国の奥地に生えとる世界樹の葉から作られた物なのじゃ」「世界樹の葉から!?」
スティーブン先生の授業で様々な用途に利用出来ると教えてもらったけど、まさかこの羽が世界樹の葉から作られた物とは。
「うむ。世界樹から葉を1枚取ってその葉を移動したい先の中で最も神聖なる自然物、川やら神木やら大地に接触させるのじゃ。暫くしたら色が変わるから、完全に変色し羽の形に変わったら完成という訳じゃ。変色させる地点によって色が変化し、エルフの関係先なら白、儂らヒト族の関係先なら赤という具合にな」「そうだったんですか」
(それじゃあ海人族の関係先なら······)と考えてたら、「しかしまぁ、お主になら恐らくあの方も分けてくれるのではないかのぉ」
「あの方って?」「エルフ王じゃよ。エルフの王国を治めておるエルフ族の国王じゃ」「エルフ王」
「うむ。お主のエルフ族に対しての今までの貢献などを聞けば、恐らく1枚ぐらいは分けてくれるとは思うが······」そこまで言ったところで少し間が空き、「まぁその辺りも含めて一度あ奴に相談してみるのも有りじゃろうて」あ奴って、ヨートス様の事か。
「分かりました」と答えて僕達はヨートス様の里へ飛んだ。
里に着いて早速ヨートス様の屋敷に向かい、中に入ってヨートス様がいる部屋に入った。
すると「レックス!」「やぁ、レックス君」ロースも偶然いたのでヨートス様と同様僕に声を掛けてきた。
「やぁ、ロース。お久しぶりです、ヨートス様」それぞれに挨拶をして「今日は一体どんな用件で?」ヨートス様から尋ねられたので、羽の事を伝えエルフの王国の事を聞き出した。
「そういう事か。確かに、それぐらいであればフィンラル様もお許しになるだろう」「フィンラル様?」初めて聞く名前だったので、僕は聞き返した。
「ああ。エルフ王様のお名前だよ。······もしかして、ハウルは教えてないのか?」「あの方としか言ってませんでした」「······説明するのを面倒くさがったな、あいつめ」としかめっ面をして言った後、「まぁ良いか。ちょっと待っててくれ、今紹介状を書いてあげよう」
「ありがとうございます!」僕がお礼を言ったら、「父さん、僕もレックスと一緒に行っても良い?」ロースが尋ねたので、「まぁ良いだろう。お前の事も書いてやるよ」「やったぁ!」と喜んだ。
そしてヨートス様が紹介状を書き上げるまでの間、休暇前試験の実技試験の話題で盛り上がり、ロースは自分達は毎日以前合同授業で行ったあの鉱山へ行かされて大変だったとか、僕達は羽でここまで飛んで来たと話したら「ズルいだろ! それ!」と言ってきたりして騒いでいた。
暫くして「書き上げたよ」ヨートス様が仰られたので「ありがとうございます!」とお礼を言った。
そして「ところで、エルフの王国へはどう行けば良いのですか?」と尋ねたら、「付いてきたまえ」と言われて僕達はヨートス様の後に付いて屋敷を出た。
屋敷を出て里の奥の方へ向かい、以前ダークエルフが襲って来た時に住民らが避難した場所にやって来た。
その場所にあった恐らくこの里のご神木の前で立ち止まり、ヨートス様はご神木に手をかざした。
するとご神木の正面が割れて目の前に空洞が現れた。
「ここがエルフの王国へ繋がっているんだよ」と言い、あの時も万が一の場合はここから王国へ避難するつもりだったと仰られた。
「それじゃあ、行ってきます」と僕達は空洞の中へ入って行った。
空洞の中はひたすら道が真っ直ぐ続いており、これなら迷う心配も無いと思いながら歩いていたら、前方に光が見えたので僕達は光の方へ向かった。
空洞を抜けたと思ったら目の前がとても眩しく感じた。
あまりの眩しさに僕もロースもベアーズもしばらく目を開けられないでいた。
そして暫くしてから目を開けたその先には······白銀に近い風景が広がり、王都に近い街並みが広がっているが、そこにいたのは皆エルフ族だった。
そこでようやく「ここが、エルフの王国」と判断出来たのだった······。
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