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第16章 閑話
第94話 迷い~アッシュ・ハーメルン~
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「お前達、それは何だ!」(ゲッ、風紀委員長!)「あの、こ、これは······」「校則違反物だな。没収だ!」「はい」同行していた2年に違反物を没収させた。
現在俺、アッシュ・ハーメルンは風紀委員の仕事で校内を見回っていた。
「未だに気が緩んでいる生徒がいますね」「あぁ、そうだな」と話していたらまた違反者らしき者達を発見したので2年が近付こうとしたが、「······待て」それを止めて暫く様子を見た。すると「あれは問題無い。行くぞ」「あ、はい」とその場を離れた。
少しして「あの、委員長。何かあったのですか?」「何故だ?」「以前はああいう場合でも積極的に声を掛け、何もなければ悪かったと言ってやり過ごしていましたから」「······偶々だ」と答え、暫くしてその日の活動を終えた。
しかし実は言われた通り、何かあったのだ······。あのジルコニー校長から全権を任され実施したSランククエストのブラックスコーピオン討伐の一件で、自分が判断ミスをしたせいで倒す必要の無かったブラックスコーピオン達を倒してしまい、残されたブラックスコーピオン達に自分達が味わったかもしれない思いを味わわせてしまうところだったからだ。
(幸い命の石で生き返らせることが出来たが、もし命の石が無かったらどうなっていたか······)などと考えると、どんな事もあと一歩を踏み込めないようになってしまったのだ······。
その時、「アッシュ······アッシュ? ······アッシュったら!」後ろから呼ばれている事にようやく気付き、振り返って「あぁ、メリッサ」と答えたのだ。
「大丈夫?」「あぁ、何でも無い。ところでどうした?」「これを一緒にやって欲しくって」「これは······」メリッサが見せてきたのは、孤児院のマザーから食材調達の頼み事の依頼書だった。
早速孤児院のマザーの下を訪れ、「マザー」「あぁ、メリッサさんにアッシュ君。どうしたんですかお二人で?」「こちらの頼み事の件で伺いに······」「まぁ、引き受けて下さるのですか!」と言ってマザーは説明を始めた。
マザーの話によると、クリスマス用のケーキを作るのに材料の食材が足らず、市場にもいつ入るか分からないとの事なので直接取りに行って欲しいというものだ。
その食材とは"びっくりバナナ"と"ビッグアップル"という物で、共に王都から南方に広がっている森の中で通称"迷いの森"と呼ばれている森の中の木に実っているとの事で、それぞれ5つずつ取ってきて欲しいとの事だ。
「分かりました。俺達に任せて下さい」と言ってすぐに迷いの森へ向かった。
迷いの森とは王都の南方に広がっている森の中で、一部だけ何故か一度足を踏み入れるとなかなか抜け出せない場所があり、その地域の事をそう呼んでいて養成学校も下級クラスの生徒には立ち入りを禁止しているのだ。
王都を出て暫く歩いてその迷いの森の入口に到着した。
目的の食材はその迷いの森の中の中央部分に生えている木にそれぞれ実っているとの事なので、「んじゃあ行くかっ!」「うんっ!」手を握り合って森に足を踏み込んだ。
この森には唯一ロストフォレスマタンゴと呼ばれる魔物が出現し、入って来た者の知り合いに化け、言葉巧みに精神攻撃を行って弱まったところで眠らせ、相手を捕まえる奴だと授業で習ったためバラバラにならないよう手を繋ぐ事にしたのだ。
森に入って暫く歩いたら茂みが広がっている場所に差し掛かり、他の道が見当たらなかったため仕方なく茂みを突っ切る事にしたのだが、流石に途中で少しだけメリッサの手を離してしまった時があった。
茂みを抜け出たところで「メリッサ、大丈夫か?」「······うん、大丈夫よアッシュ」メリッサに声をかけてすぐ近くにいることを確認し、再び手を繋いで奥へ進み出した。
暫く歩いたところでメリッサが、「なかなか見つからないわね」と言い出したので「あぁ、そうだな」と答えた。
すると突然「ねぇ、ひょっとしてそんな木なんて無いんじゃない?」「えっ?」メリッサがそんなことを言い出した。
「無いって、マザーが俺達に嘘をついたって言うのか?」「嘘なのかどうかは分からないわ。マザーもきっと誰かから聞いて存在を知ったはずだろうから」「だったら······」
「それじゃあアッシュは私よりマザーの事を信じるのね?」「えっ?」
「マザーの言うことを信じてこのまま探し続けるってことは、私がさっき言ったことを否定するってことになるんじゃない?」「いや、それは······」「じゃあどうだって言うの?」「······」流石にメリッサからそこまで言われて俺は黙ってしまった。
「都合が悪くなったら今度はだんまりか。最近そんなのばっかりね、アッシュ」「······」言い返す言葉が無いのもあるが、それ以上にある感情が込み上がってきてついに、「······いい加減にしろぉ」「え?」
次の瞬間、俺は帯刀していた小剣を抜いて目の前のメリッサに突き付け「貴様、ロストフォレスマタンゴだろ!」と叫んだ。
流石に目の前で剣を突き付けられればロストフォレスマタンゴも正体を現すと思っていた。ところが、目の前のメリッサは動じるどころか剣にゆっくりと近付いてきた(えっ?)。
そして日頃の優しい口調で「良いよ。そう思うなら刺しても」と告げた。
「えっ?」「ロストフォレスマタンゴって思うなら刺しても良いわよ。それでアッシュが楽になるなら」そう言われて、俺はまた判断を迷いだしてしまった。
(ど、どっちなんだ? 目の前のメリッサは本物なのか? 偽者なのか? ······どっちなんだ!)と思っているうちに目の前のメリッサから目を逸らしてしまった。
そんな俺の様子を見て目の前のメリッサは口元に笑みを浮かばせたのだった······。
現在俺、アッシュ・ハーメルンは風紀委員の仕事で校内を見回っていた。
「未だに気が緩んでいる生徒がいますね」「あぁ、そうだな」と話していたらまた違反者らしき者達を発見したので2年が近付こうとしたが、「······待て」それを止めて暫く様子を見た。すると「あれは問題無い。行くぞ」「あ、はい」とその場を離れた。
少しして「あの、委員長。何かあったのですか?」「何故だ?」「以前はああいう場合でも積極的に声を掛け、何もなければ悪かったと言ってやり過ごしていましたから」「······偶々だ」と答え、暫くしてその日の活動を終えた。
しかし実は言われた通り、何かあったのだ······。あのジルコニー校長から全権を任され実施したSランククエストのブラックスコーピオン討伐の一件で、自分が判断ミスをしたせいで倒す必要の無かったブラックスコーピオン達を倒してしまい、残されたブラックスコーピオン達に自分達が味わったかもしれない思いを味わわせてしまうところだったからだ。
(幸い命の石で生き返らせることが出来たが、もし命の石が無かったらどうなっていたか······)などと考えると、どんな事もあと一歩を踏み込めないようになってしまったのだ······。
その時、「アッシュ······アッシュ? ······アッシュったら!」後ろから呼ばれている事にようやく気付き、振り返って「あぁ、メリッサ」と答えたのだ。
「大丈夫?」「あぁ、何でも無い。ところでどうした?」「これを一緒にやって欲しくって」「これは······」メリッサが見せてきたのは、孤児院のマザーから食材調達の頼み事の依頼書だった。
早速孤児院のマザーの下を訪れ、「マザー」「あぁ、メリッサさんにアッシュ君。どうしたんですかお二人で?」「こちらの頼み事の件で伺いに······」「まぁ、引き受けて下さるのですか!」と言ってマザーは説明を始めた。
マザーの話によると、クリスマス用のケーキを作るのに材料の食材が足らず、市場にもいつ入るか分からないとの事なので直接取りに行って欲しいというものだ。
その食材とは"びっくりバナナ"と"ビッグアップル"という物で、共に王都から南方に広がっている森の中で通称"迷いの森"と呼ばれている森の中の木に実っているとの事で、それぞれ5つずつ取ってきて欲しいとの事だ。
「分かりました。俺達に任せて下さい」と言ってすぐに迷いの森へ向かった。
迷いの森とは王都の南方に広がっている森の中で、一部だけ何故か一度足を踏み入れるとなかなか抜け出せない場所があり、その地域の事をそう呼んでいて養成学校も下級クラスの生徒には立ち入りを禁止しているのだ。
王都を出て暫く歩いてその迷いの森の入口に到着した。
目的の食材はその迷いの森の中の中央部分に生えている木にそれぞれ実っているとの事なので、「んじゃあ行くかっ!」「うんっ!」手を握り合って森に足を踏み込んだ。
この森には唯一ロストフォレスマタンゴと呼ばれる魔物が出現し、入って来た者の知り合いに化け、言葉巧みに精神攻撃を行って弱まったところで眠らせ、相手を捕まえる奴だと授業で習ったためバラバラにならないよう手を繋ぐ事にしたのだ。
森に入って暫く歩いたら茂みが広がっている場所に差し掛かり、他の道が見当たらなかったため仕方なく茂みを突っ切る事にしたのだが、流石に途中で少しだけメリッサの手を離してしまった時があった。
茂みを抜け出たところで「メリッサ、大丈夫か?」「······うん、大丈夫よアッシュ」メリッサに声をかけてすぐ近くにいることを確認し、再び手を繋いで奥へ進み出した。
暫く歩いたところでメリッサが、「なかなか見つからないわね」と言い出したので「あぁ、そうだな」と答えた。
すると突然「ねぇ、ひょっとしてそんな木なんて無いんじゃない?」「えっ?」メリッサがそんなことを言い出した。
「無いって、マザーが俺達に嘘をついたって言うのか?」「嘘なのかどうかは分からないわ。マザーもきっと誰かから聞いて存在を知ったはずだろうから」「だったら······」
「それじゃあアッシュは私よりマザーの事を信じるのね?」「えっ?」
「マザーの言うことを信じてこのまま探し続けるってことは、私がさっき言ったことを否定するってことになるんじゃない?」「いや、それは······」「じゃあどうだって言うの?」「······」流石にメリッサからそこまで言われて俺は黙ってしまった。
「都合が悪くなったら今度はだんまりか。最近そんなのばっかりね、アッシュ」「······」言い返す言葉が無いのもあるが、それ以上にある感情が込み上がってきてついに、「······いい加減にしろぉ」「え?」
次の瞬間、俺は帯刀していた小剣を抜いて目の前のメリッサに突き付け「貴様、ロストフォレスマタンゴだろ!」と叫んだ。
流石に目の前で剣を突き付けられればロストフォレスマタンゴも正体を現すと思っていた。ところが、目の前のメリッサは動じるどころか剣にゆっくりと近付いてきた(えっ?)。
そして日頃の優しい口調で「良いよ。そう思うなら刺しても」と告げた。
「えっ?」「ロストフォレスマタンゴって思うなら刺しても良いわよ。それでアッシュが楽になるなら」そう言われて、俺はまた判断を迷いだしてしまった。
(ど、どっちなんだ? 目の前のメリッサは本物なのか? 偽者なのか? ······どっちなんだ!)と思っているうちに目の前のメリッサから目を逸らしてしまった。
そんな俺の様子を見て目の前のメリッサは口元に笑みを浮かばせたのだった······。
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