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第19章 最終学年
第117話 中間発表会
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アランさんの配慮もあってこの1週間でかなりの海人族からのクエストを完了させられた。もちろん無い時にはしっかりAランクやBランクのクエストも行っていたので特に問題は無いはずだ。
そういう思いを持って以前に決められていた初めての中間発表会の日を迎えた。
時間までには全員が席に付き、ハインリヒ先生が教室に入って来て「では最初の中間発表会を始める」と言った。
発表会は順番に実施したクエスト名・ランク・成功したか失敗したか・特に特別苦労したりした事があればその説明をするようにと説明があり、その後順番に発表が行われていった。
各自ハインリヒ先生に言われた通りに報告がなされ、ほとんどの生徒がAランクやBランクのクエストばかりで、一部の人がCランクを受けたりしていた。ジャックもAランクがほとんどでBランクが1、2個だけしかなかった。
また中にはSランクを完了させた生徒もいて、それにはハインリヒ先生も驚き生徒を褒めていた。
そして僕の番が回って来た。僕も受けた依頼を順番に報告していったのだが、CランクやDランクが多い事に他の生徒から「(さっきからアイツCランクやDランクばかりじゃないか?)」「(ただ闇雲に数をこなしていただけじゃないの?)」「(本当にAクラスなのか?)」などといった話し声が聞こえだした。
しかしハインリヒ先生はそうした話し声を注意する事なく黙って聞いていただけだった······。
「以上です」と発表を終えた時ハインリヒ先生から「レックス君、1つ聞いて良いかね?」と質問を受けた。
「はい」「君はなぜ、海人族からのクエストをそんなにもこなしたのかね?」アランさんが聞いてきた事と同じ様な事を聞いてきた。
「「えっ?」」「そういえば······」そこでようやく話をしていた生徒らもその事に気付き始めた。
僕はアランさんにも説明した内容を伝えた。
「一番の理由は、僕が海人族の街マリンタウンへの移動の羽を持っていて、すぐに依頼人から話を聞いたり、報告に行けると思ったからです。あと海人族の人にも警戒されずに話が出来るためスムーズにクエストを進行させられますし、あと······」「あと?」
「その事をギルドマスターのアランさんに説明しましたら、海人族からのクエストを優先的に僕へ回してくれるようになったため、後半は海人族からのクエストばかりとなりました」と説明したら、「「「えーーーっ!?」」」クラス中から驚きの声が上がった。そりゃそうだろうな。
「そうだ。その事はアラン殿から学校側にも連絡が来ている」そうだったんだ。
「つまり、レックス君がCランクやDランクのクエストを受けていたのは明確な目的があり、またギルド側の配慮があったからなんだが······」と言ったところで皆の方を見た。
「その事を知っていた者、もしくは気付いた者がこの中にいるか?」と聞いたが、「······」誰も何も答えなかった。
「誰もいないという事か」と言ったところで、ドンッ! と目の前の机を強く握りこぶしで叩いた。
そして「だったらお前達は何のためにクエストをやってるんだ! 成績のためか。難しいクエストをやれば発表会の場などで印象に残されると思ったか! それこそ大間違いだ!!」と言われ、全員が驚き硬まってしまった。
「そんな気持ちで卒業したところで、それぞれの組織で一生雑用をやらされるのがオチだ! 逆にレックス君が騎士団に入隊すれば、すぐ海人族に関わるどんな案件でも任される事になるだろう」と仰られたところで、去年オリバーと言い合った時、ジルコニー校長が似たような事を仰っていた事を思い出した。
「たとえランクが低く数がそれほど多くなくとも、受けたクエストに一貫性のある者の方が数が多くランクが高くても、一貫性の無い場当たり的に選んで受けた者より優秀という事にもなるんだ。分かったか!」「「は、はい!」」
「レックス君」「はい」「これからもその調子で頑張りたまえ」「分かりました」「では次の者」「は、はい」と最後の1人の発表に移った。
最後の1人の発表が終わったところでハインリヒ先生が正面に立ち、「さて、本来ならここで総評を言うのだが、すでにレックス君の発表の後で言ってしまったので、敢えてここで言わせてもらうとすれば······」全員が固唾を飲んだ。
「これからは各々が各組織に所属した時、何をしたいのか、どう活躍したいのかをよく考え、それに向けて関連するクエストを受けていく事だ。そういう考えで受けたものであれば、たとえそのクエストがCランクやDランクばかりでも文句は言わん。分かったな!」「はい!」
「よろしい。では次の中間発表日だが······」と次回の中間発表会の日を伝えてハインリヒ先生は教室を出て行った。
その後まずジャックが僕の席に近付いて来て「レックス、まさかそういう理由でクエストを選んでたなんて知らなかったぜ」「まぁね」
「前にクエストを見せられた時、それがDランクだったからコイツ何考えてんだって内心思ってよ」「まぁそうなるよね、普通は」
ジャックとそんな会話をしていたらクラスメイトの何人かも僕の席に近付いて来て「俺達もさっきは笑ったりしてすまなかった」と言ってきた。
「別に気にしてないから」「そっか。ありがとな」と言ってそれぞれ解散したのだった。
僕もベアーズを向かえに教室を出たのだが、その道中さっきハインリヒ先生が言った事の一部が気になって頭から離れなかったのだ。
ーー各組織に所属した時、何をしたいのか、どう活躍したいのかをよく考えーーという言葉を······。
そういう思いを持って以前に決められていた初めての中間発表会の日を迎えた。
時間までには全員が席に付き、ハインリヒ先生が教室に入って来て「では最初の中間発表会を始める」と言った。
発表会は順番に実施したクエスト名・ランク・成功したか失敗したか・特に特別苦労したりした事があればその説明をするようにと説明があり、その後順番に発表が行われていった。
各自ハインリヒ先生に言われた通りに報告がなされ、ほとんどの生徒がAランクやBランクのクエストばかりで、一部の人がCランクを受けたりしていた。ジャックもAランクがほとんどでBランクが1、2個だけしかなかった。
また中にはSランクを完了させた生徒もいて、それにはハインリヒ先生も驚き生徒を褒めていた。
そして僕の番が回って来た。僕も受けた依頼を順番に報告していったのだが、CランクやDランクが多い事に他の生徒から「(さっきからアイツCランクやDランクばかりじゃないか?)」「(ただ闇雲に数をこなしていただけじゃないの?)」「(本当にAクラスなのか?)」などといった話し声が聞こえだした。
しかしハインリヒ先生はそうした話し声を注意する事なく黙って聞いていただけだった······。
「以上です」と発表を終えた時ハインリヒ先生から「レックス君、1つ聞いて良いかね?」と質問を受けた。
「はい」「君はなぜ、海人族からのクエストをそんなにもこなしたのかね?」アランさんが聞いてきた事と同じ様な事を聞いてきた。
「「えっ?」」「そういえば······」そこでようやく話をしていた生徒らもその事に気付き始めた。
僕はアランさんにも説明した内容を伝えた。
「一番の理由は、僕が海人族の街マリンタウンへの移動の羽を持っていて、すぐに依頼人から話を聞いたり、報告に行けると思ったからです。あと海人族の人にも警戒されずに話が出来るためスムーズにクエストを進行させられますし、あと······」「あと?」
「その事をギルドマスターのアランさんに説明しましたら、海人族からのクエストを優先的に僕へ回してくれるようになったため、後半は海人族からのクエストばかりとなりました」と説明したら、「「「えーーーっ!?」」」クラス中から驚きの声が上がった。そりゃそうだろうな。
「そうだ。その事はアラン殿から学校側にも連絡が来ている」そうだったんだ。
「つまり、レックス君がCランクやDランクのクエストを受けていたのは明確な目的があり、またギルド側の配慮があったからなんだが······」と言ったところで皆の方を見た。
「その事を知っていた者、もしくは気付いた者がこの中にいるか?」と聞いたが、「······」誰も何も答えなかった。
「誰もいないという事か」と言ったところで、ドンッ! と目の前の机を強く握りこぶしで叩いた。
そして「だったらお前達は何のためにクエストをやってるんだ! 成績のためか。難しいクエストをやれば発表会の場などで印象に残されると思ったか! それこそ大間違いだ!!」と言われ、全員が驚き硬まってしまった。
「そんな気持ちで卒業したところで、それぞれの組織で一生雑用をやらされるのがオチだ! 逆にレックス君が騎士団に入隊すれば、すぐ海人族に関わるどんな案件でも任される事になるだろう」と仰られたところで、去年オリバーと言い合った時、ジルコニー校長が似たような事を仰っていた事を思い出した。
「たとえランクが低く数がそれほど多くなくとも、受けたクエストに一貫性のある者の方が数が多くランクが高くても、一貫性の無い場当たり的に選んで受けた者より優秀という事にもなるんだ。分かったか!」「「は、はい!」」
「レックス君」「はい」「これからもその調子で頑張りたまえ」「分かりました」「では次の者」「は、はい」と最後の1人の発表に移った。
最後の1人の発表が終わったところでハインリヒ先生が正面に立ち、「さて、本来ならここで総評を言うのだが、すでにレックス君の発表の後で言ってしまったので、敢えてここで言わせてもらうとすれば······」全員が固唾を飲んだ。
「これからは各々が各組織に所属した時、何をしたいのか、どう活躍したいのかをよく考え、それに向けて関連するクエストを受けていく事だ。そういう考えで受けたものであれば、たとえそのクエストがCランクやDランクばかりでも文句は言わん。分かったな!」「はい!」
「よろしい。では次の中間発表日だが······」と次回の中間発表会の日を伝えてハインリヒ先生は教室を出て行った。
その後まずジャックが僕の席に近付いて来て「レックス、まさかそういう理由でクエストを選んでたなんて知らなかったぜ」「まぁね」
「前にクエストを見せられた時、それがDランクだったからコイツ何考えてんだって内心思ってよ」「まぁそうなるよね、普通は」
ジャックとそんな会話をしていたらクラスメイトの何人かも僕の席に近付いて来て「俺達もさっきは笑ったりしてすまなかった」と言ってきた。
「別に気にしてないから」「そっか。ありがとな」と言ってそれぞれ解散したのだった。
僕もベアーズを向かえに教室を出たのだが、その道中さっきハインリヒ先生が言った事の一部が気になって頭から離れなかったのだ。
ーー各組織に所属した時、何をしたいのか、どう活躍したいのかをよく考えーーという言葉を······。
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