落ちこぼれ一兵卒が転生してから大活躍

きこうダきこう

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第23章 卒業

第152話 聖なる火山

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 聖なる火山の内部に足を踏み入れるや否や「あ······熱っちぃーーっ!!」と叫んだ。

 何なんだこの熱さは! 初めてヨートス様の里に行くために訪れた砂漠で感じた熱さとは比べ物にならないぐらい熱すぎる! とはいえそんな事を思っていてもしょうがないと思い直して取り敢えず火口へ進んで行った。

 流石にこんな環境だから生き物1匹すら存在してないよなぁ。と思ってその辺は気にしなくて良い事に少し安心していた。

 と思ったりして進んでいる内に火口へ到着したみたいで、目の前の岩場の部分に水晶玉のような物が置かれているのを確認した。(あ、あれかぁ)と思ってマグマストーンに近付いた。


 その時、「グオォォーー!!」どこかから何かの叫び声が聞こえた。(こ、この声は······まさか!?)そう思って僕は周りを見渡した。しかし叫び声の主は見つからなかった。

 そのため集中スキルで気配を感知した。すると奴は僕のいた場所の上空に存在している事が判明した。

 それが分かり僕はすぐ上空を見上げたら、既にファイアードラゴンは僕目掛けて急下降して来ていた。

「うわぁーー!」と叫びつつもその動きを何とか避ける事が出来た。そして避けた後に体勢を立て直したところでようやくファイアードラゴンとはっきり対峙した。

(こ、こいつがファイアードラゴン。······デ、デカイ!)その体格はこれまで遭遇した魔物達の中でも1、2を争うぐらいの大きさだった。(さ、流石にコイツをどうにかするなんて絶対無理だろう。とにかく、何とかしてコイツの隙をついてマグマストーンを······)と思った矢先、ファイアードラゴンが大きく息を吸い込みだした。

 それを見て(ま、まさか!?)と思った直後、ファイアードラゴンは僕に炎のブレスを吐いてきた。

 突然の事だったので避ける動作が遅れてしまい、体に炎が少し飛び火してしまった。取り敢えず姿を隠せる場所を探し当ててそこへ移動したところで消火を行った。

 そんな僕を嘲笑うかのようにブレスを吐いた後ファイアードラゴンは「ギャアーーー!」と雄叫びを上げた。

(あの野郎)と思いつつ、取り敢えず集中スキル覚醒で弱点を探ろうとしたが、フレイムリザード同様全く反応しなかった。

(くそっ! コイツも無理か)と思ったところで、取り敢えず至る所に攻撃してみようと思い、ファイアードラゴンの隙をついてその場から飛び出して近付いた。

 そして可能な限り短剣で各所に攻撃を食らわせてみた。しかしファイアードラゴンは全く攻撃が効いている様子はなく、逆に手で振り払われたり、足で踏み潰そうとしてきたりする始末であった。

 それらを何とか避けるも、まさに八方塞がり状態であった。そんな僕の状態をお構い無しと言わんばかりにファイアードラゴンは2度目の炎のブレスを吐く素振りを見せ出した。

 今度はそれを事前に察知出来たので、再び姿を隠せる場所に避難して何とか免れた。

 しかしどれもこれも攻撃が通じない状態に、(やっぱり、ファイアードラゴンを相手にするなんてまだ早すぎたか)と弱気な気持ちが込み上がってきてしまった。

 そして、(一度下山してファイアードラゴンがいなくなった頃を見計らって出直した方が良いのかも······)と及び腰になってしまった。

 しかしその時、出発する前ジェシーにーーじゃあ、ベアーズは私が面倒を見ているわーー、ーーその方がレックスもやる気になれるでしょ? 早く終わらせないとってーーと言われた事を思い出し、(そうだ! この課題には僕の卒業だけでなくジェシーの卒業もかかってるんだ!)と気持ちを持ち直した。

 とは言ってもどうすればと思った時、不意に先ほどハウル様から返してもらった聖なる短剣がキラリと光った気がした。

(ん? まさか······)そう思って短剣の1本を収めて聖なる短剣を取り出し、再びファイアードラゴンに集中スキル覚醒を使った。すると今度は奴の左腕部分が光り出した。

(やっぱり! 弱点が分かった!)そう思って一度聖なる短剣を見つめた後、(こうなったら、一か八かだ!)次に飛び出したところでなりふり構わず奴に突進し、隙を見て左腕に斬りかかるだけだ! と決意を固めた。

 そして呼吸を整えファイアードラゴンがゆっくり歩き出した時、(今だ!)と飛び出した。

「うおぉーー!」と叫び声を上げながらファイアードラゴンに向かっていった事にファイアードラゴンも驚いていたが、すかさず3度目の炎のブレスを吐こうとしていた。

(これは流石に避けられないだろう。なら!)と思いながら目を瞑って走り続けた。そしてファイアードラゴンが炎のブレスを吐いた瞬間、左腕部分とは違ったところが光り出した。

 何だろうと思ったが、この直感を信じよう! と決意してその光った部分が最も明るくなったところで聖なる短剣でその光を斬った。

 すると目を開けたら炎のブレスの炎を斬っていたのであった。 

 流石のその光景に僕はもちろんファイアードラゴンも驚いていたが、僕の手に黒い短剣がある事を認識した途端目を大きく見開いていた。

 そんな事を気にせず僕はそのままファイアードラゴンの左腕に斬りかかろうと近くまで来てジャンプし、手を振り上げた。

 その直後、突然ファイアードラゴンは大きく叫び出したというか咆哮を放ったのだった。その余りのやかましさに両手で耳を塞いでしまった。その直後、ファイアードラゴンの拳が直撃し「ぐわっ!」近くの岩まで吹っ飛ばされてしまった。

 その攻撃とそれまでの疲労感からそこで気を失ってしまったのだった。

 そんな僕の近くにファイアードラゴンは歩み寄り、再度僕の持っている黒い短剣を覗いた。その直後、口元をニヤつかせて何とそのまま上空へ飛び立ってしまったのだった。


 暫くして意識が戻ったところで、(あれ? 生きてる、のか?)と思ったり、(ファ、ファイアードラゴンは!?)と目の前からいなくなっているファイアードラゴンを探したりした。しかしファイアードラゴンの気配は集中スキルを使っても探る事は出来なかった。

(見逃して、もらったのか?)と思った後立ち上がろうとしたら、(痛っ!)右足に違和感を覚えた。

 どうやら右足が捻挫してしまった様だった。とはいえ今はどうする事も出来ないので、右足を注意しながら改めてマグマストーンの置かれていた岩場に近付いた。

 そしてそのままマグマストーンを掴み取ったところで何も起こらない事や襲ってくる奴もいない事を把握したところで、「や、やったぁ。マグマストーン、手に入れれたぁー!」と大喜びした。

(後は王都に戻るだけだ)と気持ちを持ち直して再び右足を気にしながら下山し出した。

 そんな僕の様子を聖なる火山の遥か上空まで飛び立ち、そのまま滞空し続けているファイアードラゴンは眺め続けていた。但しその表情は先ほどまでの厳しい表情とは違い穏やかな雰囲気となっており、口元はいまだにニヤついていた。そして僕の姿が見えなくなったら何処かへ飛び立って行ったのだった······。
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