落ちこぼれ一兵卒が転生してから大活躍

きこうダきこう

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第26章 決戦

第204話 聖剣探し

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 ファイアードラゴンとの対話の一件から数週間。その間僕達の周囲では特に大きな問題や騒動も起こらず、たまに各地に魔物が出没したという情報があれば部隊を派遣し、その後僕も赴き事後対応を行ったりした。

 それ以外は取り敢えずほぼ全員本部で待機する事となり、僕も待機しつつもジェシーの部屋やブライトフューチャーに訪れたりして過ごした。

 
 けれども、他の種族の領土ではやはり魔王軍の魔の手が伸びており、それぞれ領土の辺境地は既に魔王軍に侵略されていたらしく、部隊を送り込んで奪還したりしているようだが日に日に魔王軍の侵攻は激しくなる一方であった。

 そのため僕達騎士団も他の種族から応援要請があれば、自分達の領土内の状況次第では応援に駆け付ける事が増えたのだった。

 現在は事前にグレン王子によって注意喚起がされていたため最小限の被害で納められているのだろうが、もし全く情報がない中で魔王軍に侵攻されていたらどうなっていたか分からなかっただろう。

 
 そうした事もあり、各領土内が取り敢えず落ち着いたところで主だった種族の代表者(エルフ族のフィンラル王、ドワーフ族のアンドレア王、亜人族で魔王に反旗を翻そうと画策している集団のリーダーであるヴァイオレットと言う青年)がサンドリア城に集結し、グレン王子と共にこれまでの各地の状況報告ならびに情報共有と、今後の対策についての協議が行われたのだった。

「そうてすか。それぞれそこまで魔王軍に······」「ええ。グレン王子より事前に情報を頂いておりました故にこれだけの被害で納められたと思うのですが、もしそれがなければ······」「ああ。恐らくもっと奴らに攻め入られていただろう」フィンラル王とアンドレア王が呼応した。

 また、「我々も魔王に対抗するための反乱軍を領土内の各地で決起、集結させているのですが、中にはその情報が魔王軍側に知れ渡り、奴らの襲撃にあってしまった所もいくつかあります」ヴァイオレットも自分達の現状を伝えた。

「しかしいつまでも奴らが攻めてくるのをただ防いでばかりではいられないでしょう」「そうだな。やはりこちらからも攻勢をかけるべきだろう」「ですが、魔王自身に関してはあまり情報が無い状況ですし······」「そもそも、どうやって魔王を倒せば良いのか」「確かに······」

 全員が反撃に転じるべきだと思ってはいても、いざ行動を起こすとなると魔王に関しての情報が乏しく、倒せるのかどうかさえ分からないため躊躇ってしまっているのだった。

 
 その時、「魔王を倒す方法なら、無いわけではありませんぞ」部屋のどこかからかそんな声が聞こえてきた。

 部屋の中には自分達4人と、それぞれが連れてきた護衛2人しかいないはずのため、突然声が聞こえてきた事にグレン王子らは驚き、また護衛らは周りを警戒しだした。

「誰だっ!」グレン王子が声の主に問いただした。するとどちらからともなく自分達の下に近付いてくる足音が聞こえてきた。そして顔と体が半分くらい暗闇から見える辺りまで近付いたところでその人物は止まった。

 すると、「「お、お前は!?」」フィンラル王とアンドレア王は相手の正体を見て驚き、その相手も「久しぶりじゃな、フィンラル、アンドレアよ」と答えて彼らに1歩近付いた。

 そこで2人が「「ハ、ハウル!」」と相手の名前を叫んだ。

「ハウル? ······ってまさか、スカイマウンテンの頂上に住んでいらっしゃると言われている賢者様ですか?」「左様でございます。グレン王子殿」とハウルはグレン王子の問いかけに答えた。

「いつから部屋にいたんだ!」「つい今しがた着いたばかりじゃよ」「そ、そんなことより魔王を倒す方法があるというのは本当か!?」「ああ。もちろんじゃ」と言って再び4人の近くに歩み寄り、魔王を倒す方法を伝えたのだった······。


 その主要種族の代表者協議が行われてから数日後、僕は特に団長から任務を言い渡されてはいなかったため、ジェシーの下を訪れ、本部へ帰るために王都の街中を歩いている最中だった。

 その際の胸中は、(今年も大分月日が過ぎたけど、一向に聖剣の噂話や話題が出ないなんて······今年中に本当に魔王軍と戦う事になるのかなぁ?)と聖剣の事が気になってしょうがなかった。

 その時、目の前の道具屋で買い物をしている集団の中に(あれ? あの人って······)懐かしい人を見かけたような気がして暫くその場に立ち尽くした。

 その人が買い物を終えて道具屋を離れた際の後ろ姿を見て(やっぱり!)と思いその人を追いかけ、「アレクさん!」と相手の名前ーーアレク・ロートスーーを呼んだのだった。

 相手も僕の声に気付いて立ち止まった後振り返り、「君は······レックス君かい!」と覚えててくれたのだった。

「お久しぶりです!」「本当に久しぶりだね。その姿は······無事騎士団に入れたんだね?」

「はい! アレクさんのお陰であの後課題を達成出来まして、無事卒業する事が出来ました」「そうか。良かったね」

「はい。アレクさんはこれからクエストへ?」「あ、うん。まぁ······」と少々口ごもった声で返答をした。

 そして周囲を見渡した後「レックス君、今時間あるかい?」「はい、大丈夫ですが?」「なら、あっちの路地裏で話そう」「分かりました」と近くの路地裏に付いて行った。

 
「この辺りなら大丈夫かな。すまないね、この話はまだあまり多くの人に知られたくなくてね」「いえ。でもどうして?」

「うん。実は今回のクエストは、各ギルドのマスターが所属している冒険者の中から選び抜いた者にだけ依頼したクエストなんだ」「選び抜いた者にだけ?」

「ああ。その内容というのが、お城からこの世界のどこかに封印されている"聖剣"を探し出せ、というものなんだ」

「(聖剣!?)」聖剣と聞いて僕は声を押し殺しながらその言葉を繰り返した。まさかここでその言葉を聞く事になろうとは。

「うん。太古の昔からこの世界に大きな災いが起こった時、聖なる剣を持った者が現れ、その災いを治めてきたと言い伝えられてきたみたいなんだ。それで今、魔王の脅威が世界の各地に広がっているだろ。それで先日主要種族の代表者協議がお城で行われた際、予言者のような者が現れて、代表者達に『今こそ聖剣を探し出し、それを用いて魔王を討つ時だ』と伝えたみたいなんだ」「予言者······」そう聞いて一瞬ある人達(ハウル様や初代様)の事を思い浮かべた。

「それで各種族とも聖剣を探し出す事にし、ヒト族としては僕達冒険者を活用して聖剣を見つける事にしたみたいなんだ」「そうだったんですか」

「ああ。それでアランさんを始め多くのマスターがそれ以外にも依頼がたくさん来ている事もあって、聖剣探しに向かわせる者を絞り込んだみたいなんだ」「確かに、他にもギルドに持ち込まれている依頼は多いでしょうから」

「まぁね。僕も今まで別のクエストに取り組んでいて、ようやくさっき完了させたところなんだよ。それで色々道具などを買い揃えてこれから聖剣探しに向かうところなんだ」

「でもどうやって聖剣を探すんですか?」「実は、その予言者が聖剣のイメージを代表者らに見せ、それをお城の兵士が紙に書き留めてくれたみたいで、これがその複写コピーだよ」そう言ってある紙を見せてくれた。

 その紙には"聖剣"という文字と、その下に剣のイラストが書かれており、その剣の形はまさに前世でアレクさんが僕達に掲げて見せてくれたあの聖剣と瓜二つであった。

 その紙をアレクさんに返したところで「取り敢えずこのイラストを頼りにあちこち探してみるつもりだよ。それじゃあ、レックス君も騎士団の仕事頑張ってね」とアレクさんは出発しようとした。

 そこで僕は少し考え······そして、「アレクさん!」と声を掛けた。

「何だい?」「ちょっと、門を出たところで待っていてくれませんか?」「別に構わないけど······」「すぐ僕も向かいますので!」と言って僕はその場を走り去り、本部へ向かった。

 
 本部に着いてすぐ部屋に向かい、そして鞄の中から導きの玉を取り出して門へ向かった。門をくぐったところで周りを見渡し、(いた!)アレクさんを見つけて近寄った。

「アレクさん! お待たせしました」「いや。······それは?」と僕が持ってきた玉の事を聞いてきた。

「これは導きの玉と言いまして、探したい人や物を思い浮かべながら玉を持つと、それらが存在する方向を示してくれるんです」「本当かい!?」

「はい。実際僕も何度も見てきましたから。ですので、この玉を持って先ほどのイラストの剣を頭で思い浮かべてみて下さい」と言ってアレクさんに導きの玉を渡した。

 それからアレクさんは目を閉じ聖剣を思い浮かべ出した。すると導きの玉が青白く光だし、表面に先ほどの聖剣のイラストが浮かび上がってきた。

「アレクさん、もう目を開けても大丈夫ですよ」と伝えアレクさんが目を開けると「こ、これは!?」と驚いていた。

 すかさず僕が「アレクさん。今玉から青白い光の線が出ているのが見えると思いますが、その線の先に聖剣が存在しているんです」と伝えると、「こ、この光の線の先に······」そう言ってアレクさんは光の線が指し示していると思われる方向を眺めた。

「ただし、その光の線は玉を持っている人にしか見えないようになっていますので注意して下さい」「えっ、でもそれじゃあ······」

「ですので、聖剣を探し出すまでアレクさんにこの導きの玉をお貸し致します」「そ、それは流石に······」「僕なら大丈夫です。それに、一刻も早く聖剣を探し出して欲しいんです!」アレクさんに。

 そう言った僕の顔が真剣な表情だった事もあり、「分かった、有り難く使わせてもらうよ。そして、必ず聖剣を手に入れて君にこれを返しに来るよ」「はい!」そう言ってアレクさんは聖剣探しの旅に出たのだった。

 
 アレクさんを見送った後、(とは言ったものの、導きの玉無しでこれからの任務をどうするか)と悩み出したのだった。

 正直最近はベアーズが積極的に捜索活動 (探す人や物の手掛かりとなるモノの匂いを嗅いで探す事)をしてくれているのであまり導きの玉には頼ってはいなかったが、それでも倒壊した家の下や瓦礫の山の中に目的のモノがあると分かると、導きの玉を用いて場所を確認した後聖なる短剣でそれらを退かして探したりしていたので、そうした場面に遭遇したらどうしようか考えた。

そして、(仕方ない。ここはにちょっと頼んでみるか······)と思い立ってその場を離れ、”ある場所“へ向かったのだった······。
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