落ちこぼれ一兵卒が転生してから大活躍

きこうダきこう

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第25章 大奮闘

第203話 火竜との対話

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「(数十年前、我ら一族はあの火山で穏やかに他の者達とも共存して暮らしていた。ところがある時、我が同族の中に乱暴者共が現れ、他の者達に危害を加え出したのだ。その事には流石に我らの長も看過出来ず、その者達を叱責し、それからその者達も大人しくなった)」そこまではファイアードラゴンも穏やかに語っていた。

 だけど、「(ところがある時、その者達の行いに我慢できなくなった他の者達が我らの住み処に現れた。その者達に乱暴者共が襲い掛かろうとしたが、あるヒト族が所持していた剣で瞬く間に殺されてしまったのだ。白く光輝いた剣でな!)」白く光輝いた剣という言葉で語気が強くなった。

(白く光輝いた剣······っ! 聖なる短剣の元の姿か!)そう判断した。

 
「(その事に長もその者達が行ってきた行為を考えれば致し方ないと心で思いつつも、長としてけじめをつける意味でヒト族らを相手にしたのだ。しかしやはり長もその剣にやられてしまい、それから我が同族は一斉にその者達を襲い掛かったが······皆、倒されてしまった)」そこまで言ってファイアードラゴンは自身の拳を強く握りだした。

「(その時唯一幼かった我だけが生き残ったのだ。我もその者達に挑んだが、当然歯が立たなかった。そして我もヒト族の剣に殺られると思った。しかしその剣を持った者は我を見逃したのだ)」そこまで言って握っていた拳の力を緩めた。

「(その時そのヒトの者が我に対し『どうやらまだ君を殺すべきではないみたいだ。恐らく君は我々を許せないと思っているだろう。もし大きくなってもその気持ちを持ち続けていたら、私が相手をするよ。例えその時私が死んでいたなら、この事を子供達にも伝え続け、相手をするようにするよ』と伝え山を下りて行ったのだ)」そうだったのか。

 
「(それから我はその者に挑む事だけを胸に秘め過ごした。そして成長し、以前長がその者に何者かと問うた際、奴は『私はサンドリア王国騎士団の団長だ』と述べた事を思い出し、我はサンドリア王国を目指した。そして王国に着き程なくして憎き剣を所持していた者を見つけた。しかし、その者はあの時の者とは別人であったため、奴の子孫であろうと判断した。しかしそんな事は我には関係ないと思いその者に挑もうとした。ところが、その時我は自身の目を疑った。その者は何とあの剣で他の者を殺しだしたのだ)」「なっ!?」そういえば、ハウル様に以前聖なる短剣の事を説明してもらった時にもそんな事があったと仰っていたっけ。

「(しかもそれからすぐにその者が突然死んでしまい、またその子孫に剣が引き継げられたが、その後も次々とすぐ剣を所有した者が死んでいったのだ)」それもハウル様から聞いていた。

「(そうした事が続いたある時、剣を所有した者がある洞窟に入りその剣を手放したのだ)」っ! 洞窟って、その洞窟があの時僕達が入った坑道だったのか。

 
「(その一連の行動を見届けたところで、既に我の心の中にも復讐心は抱いてなかった事もあり、火山の住み処に戻って後は余生をここで静かに暮らそうと決意したのだ。ところが、それから幾年も経ったあの日、それまでも何者かが火山を訪れていたが気にならなかったはずなのに、その日は気になってしまった。その時訪れたのがお主だったのだ。しかも、手にはその剣を所持してな!)」と僕を見てきた。

「(その時我は再びあの剣が我の前に現れた事で、積年の恨みを晴らすことが出来るという気持ちが高まったのだ」(積年の、恨み······)その言葉に僕は最近のある出来事を思い返した。
 
「(その為あの時お主に勝負を挑み、気を失うまで追い詰めたのだが、その時これでこの者を倒して本当に満足するのかと思いだしたのだ。なぜなら······)」そこでファイアードラゴンは言葉を詰まらせた。

「(我が同族を殺した者は同族の放った火を身をそらして避けていたのに対し、お主は我が炎を剣で割いて避けておったのだからな)」「っ!」「(その事を思い返し、少しだけこの者の様子を見続ける事にしようと思い、あの時は見逃したのだ)」(そうだったのか)だから意識が戻った時ファイアードラゴンの姿は無かったのか。

 
「(それ以降もお主の様子を見て、今までの多くの者が死んでしまっていた時期になっても生き残っており、またその剣を用いて同族はもちろん、他の種族のためにも剣を用いている姿を見てますます不思議に思いだしたのだ。お主という存在にな)」

 確かに、今の話を聞く限りでも僕のような行動を取ってた人はいなさそうだから不思議に思うかもしれないよな。

「(その上で改めて聞く。お主は一体何者なのだ?)」と聞いてきた。

(何者なの······か)確かにファイアードラゴンからしたら僕がこれ聖なる短剣を持ってることは不思議に思うだろうけど、逆に僕は今のファイアードラゴンの話と自身の最近の出来事から聖なる短剣を持つことになった理由が分かった気がした。

  
 そのため僕は「······残念だけど、僕はあなたの同族を殺した者の一族でもなければ関係者でもないよ」と答えた。

「(やはりか。ではお主は一体······)」「多分、僕がこの剣を持つ事になったのは、あなたのその持ち続けている恨みの気持ちを晴らさせるように神様が僕に与えた試練のためだと思うんだ」

「(神がそなたに与えた試練? 何故そう思うのだ?)」と聞いてきたので、「僕自身もそうやって人に恨みを持たれたことによって、もうじき訪れる魔王軍との決戦の場で······殺されたからです!」そうファイアードラゴンにも前世の魔王軍との決戦の場で起きた事を伝えた。

「(殺、された? そなた、一体何を······)」「実は······」そこで僕はファイアードラゴンにももうじき起こる魔王軍との戦いの際中味方に殺されたが、それは誤った運命であったため神様から赤ん坊の時から人生をやり直す機会を与えられたなど色んな人に話してきた事を伝え、その原因がある事で人に恨みを買われたからだと思うと告げた。

「(······では)」「うん。もしそのまま恨みを持ち続けられてたら、また魔王軍との決戦の場で殺されていたかもしれないんだ。ただ、今もまだ完全に回避出来たのかどうかは分かってないけど······」

 
「(フッ、フフフフフッ、ハーハッハッハッ!)」そこまで聞いてファイアードラゴンは突然笑いだしたのだ。そして、「(お主、名前は何というのだ?)」と聞いてきたので「······レックス。レックス・アーノルドです」と答えた。

「(レックスか。······良かろう。レックスよ、今暫くお主の行動を静観させてもらうとしよう。そして、もしお主が自らの誤った運命を回避させた暁には······)」「暁には?」

「(我もそなた達と共に戦ってやろう)」「え? ほ、本当ですか!?」「(但し! その戦いが終わった後には、再び我とその剣で戦ってもらうぞ!)」ファイアードラゴンからとんでもない提案を受けたのだった。

 
 しかし僕は考える間もなくすぐに「······分かった」と即答したのだった。

 それにはベアーズもファイアードラゴン自身も驚いていた。「(随分あっさり即答したが、本当に良いのか? その戦いで死ぬ可能性もあるのだぞ?)」

 ファイアードラゴンから改めて問われたが、「神様の使いからも、魔王軍との決戦までは何がなんでも死なないようにと言われたけど、決戦後の事は特に何も仰ってなかったから、僕が何をしようと自由のはずですから」と答えた。

 それを聞いてファイアードラゴンも「(フッ、良かろう。では、その時までさらばだ、レックスよ)」そう言ってファイアードラゴンは翼を羽ばたかせ出し、どこかへ飛んで行ったのだ。あの、導きの玉が見せた予知夢通りに······。

 その様子をずっと見続けている僕にベアーズが心配そうな表情をして寄って来た。

 そのため僕はしゃがんでベアーズの頭を撫でてやりながら「心配ないよ、ベアーズ。ファイアードラゴンとは必ず一緒に戦う事になるから」と伝えてやると、ベアーズは不思議そうな表情をして首を傾げた。

 そこで僕は「実は、少し前に初めて導きの玉が見せた予知夢で見たんだよ。僕がファイアードラゴンの背中に乗って一緒に戦っている姿を······」

 そう、海人族の国王様から導きの玉を受け取り、本部で玉の検証を行った夜。

 いくつか見た夢の中に、僕がファイアードラゴンの背中に乗ってファイアードラゴンが空中に浮遊している魔物達に炎のブレスを吐いた直後、僕がエアーブロウを放ち、2つが合わさって大爆発が起こってその中に突っ込もうとした夢があった。

「だからきっとあの運命を回避させる事が出来て、その後ファイアードラゴンも協力してくれるはずなんだよ」とベアーズに話し、ベアーズも取り敢えず納得したようだ。

「ただその後ファイアードラゴンと戦う事になったらどうなるか僕にも分からないけどね」とあっけらかんに答えた事に、ベアーズはその場で転けたのだった(ハハハハハッ)。

 何はともあれ魔王軍との決戦の折りには強力な仲間が付いてくれる事となり、とても喜びなから僕達は里に戻った。


 そして、前回の魔物達の侵攻から4日後。再び魔物達が侵攻してきたのだった。ただし、今回は奴らも相手が悪かった。

 その前日に何と兄ちゃんの隊とオリバー隊長のところの新第1小隊が団長の命令で応援に駆け付けてくれたのだった。

 そのためこちらの戦力がグッと上がり、魔物達と対峙した時は前回よりあっという間に魔物達を掃討する事が出来たのだ。

 岩石型の魔物も何体かいたけれど、僕にライアン、ボブさんらで次々と倒す事が出来た。

 こうして魔物達を全滅させる事ができ、長らからお礼を言われて僕達は本部へ帰還した。

 帰還後に兄ちゃんと話す機会が出来た折に今回のファイアードラゴンとの事を伝えた。流石にそれを聞いた際には「マ、本気マジ、でか?」と驚いていたのだった。


 兄ちゃんとそんな話をしている際、僕はある事が気になり出した。

 前の人生の時は夏の暑い時期にはアレクさん達勇者一行が聖剣を手に入れていたはずだったけど、今回は未だ聖剣の話すら話題になっていない。

 そのため、これからの事はいつ何が起こるのか僕にも分からなくなっていたのであった······。

 
 運命の魔王軍との決戦の日まで、あと?ヶ月。
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