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quaecunque sunt vera
sedecim
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偶然、斎の姿を見つけた。放課後、用事があるとしか聞いていなかったので、それが何なのか分からず、もう終わったのかもしれないと思い近づこうとした。そこには、制服を着た初めて見る金髪の男子生徒がいて、話をしているのが分かった。
考え事をしていたため、天弥は斎が足を止めたことに気がつかず、その背中にぶつかり止る。
「ご、ごめんなさい」
慌てて天弥は斎を見上げた。斎は振り向き天弥を見るとすぐに視線を戻し、目の前のドアを開ける。促され、中へ入ると見慣れてしまった室内に立ち尽くす。つい先程の出来事が、遠い昔のように感じた。斎の姿を見かけても近づかずに、大人しくここへ来ていれば良かったのだと、後悔がこみ上げてくる。
天弥に続き、斎も室内へと入る。ドアを閉めたとたん、鍵をかけ天弥を見る。
「天弥」
名前を呼ばれ振り向いた天弥を、斎は抱きしめた。すぐに、押さえ込んでいた天弥の感情が一気にあふれ出す。次々と涙をこぼしながら、斎にしがみ付きその胸元を濡らした。
斎は、泣き続ける天弥を抱きしめながら、どう説明すればよいのかと悩む。死んだはずの元恋人が生きていて、それを追っている奴がいる。単純に言えばそうなるのだが、絢子が本当に生きているのかどうかも怪しいうえ、サイラスの正体も分からない。何が事実で、何が真実なのか、斎自身が知りたいと思う。
「先生……」
呼び声に斎は視線を移すと、泣きながら自分を見上げている天弥が視界に入った。
「僕……、何でもします……」
涙が溢れ出す瞳を斎へと向けている。
「勉強もちゃんとするし……、わがままも言わないから……」
「天弥?」
天弥のいきなりの言動に戸惑う。
「だから……一緒に……」
嗚咽が激しくなり、言葉が聞き取り難くなった。斎は堪らなくなり、天弥に口づける。何をどう考えたのか手に取るように分かり、胸が痛んだ。途中、メガネを外し、天弥が落ち着くまで、何度も唇を重ねた。
「何でもするなんて、簡単に言うな」
必死に抑え込んでいる情欲に限界が来そうで、泣き止んだ天弥に釘を刺す。
「でも……」
言いかけた天弥の唇を、斎はまた塞ぐ。唇が離れると天弥の身体をさらに強く抱きしめる。
「俺は、ずっと天弥と一緒に居たい」
嬉しい告白の言葉に、その胸に顔を埋めた天弥の瞳から、再び涙があふれ出そうとする。
「俺が好きなのは、天弥だけだ」
顔を上げ、斎を見つめる。まだ少し違和感を覚えるメガネのないその顔が涙で滲む。
「僕も、先生が好きです」
瞳に涙を浮かべながら、天弥は嬉しそうな笑みを斎へと向けた。斎は軽く天弥と唇を重ねる。すぐにお互いの唇が離れると斎は腕の力を抜き、天弥の身体を解放しメガネをかけた。斎にしがみ付いていた天弥の腕も、ゆっくりと重力に引かれるように落ちていった。
このままでは、天弥の総てを自分のものにしたくなる欲情を抑える事が出来なくなりそうで、やむなくその身体から腕を離したことを惜しむ。
考え事をしていたため、天弥は斎が足を止めたことに気がつかず、その背中にぶつかり止る。
「ご、ごめんなさい」
慌てて天弥は斎を見上げた。斎は振り向き天弥を見るとすぐに視線を戻し、目の前のドアを開ける。促され、中へ入ると見慣れてしまった室内に立ち尽くす。つい先程の出来事が、遠い昔のように感じた。斎の姿を見かけても近づかずに、大人しくここへ来ていれば良かったのだと、後悔がこみ上げてくる。
天弥に続き、斎も室内へと入る。ドアを閉めたとたん、鍵をかけ天弥を見る。
「天弥」
名前を呼ばれ振り向いた天弥を、斎は抱きしめた。すぐに、押さえ込んでいた天弥の感情が一気にあふれ出す。次々と涙をこぼしながら、斎にしがみ付きその胸元を濡らした。
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「先生……」
呼び声に斎は視線を移すと、泣きながら自分を見上げている天弥が視界に入った。
「僕……、何でもします……」
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「勉強もちゃんとするし……、わがままも言わないから……」
「天弥?」
天弥のいきなりの言動に戸惑う。
「だから……一緒に……」
嗚咽が激しくなり、言葉が聞き取り難くなった。斎は堪らなくなり、天弥に口づける。何をどう考えたのか手に取るように分かり、胸が痛んだ。途中、メガネを外し、天弥が落ち着くまで、何度も唇を重ねた。
「何でもするなんて、簡単に言うな」
必死に抑え込んでいる情欲に限界が来そうで、泣き止んだ天弥に釘を刺す。
「でも……」
言いかけた天弥の唇を、斎はまた塞ぐ。唇が離れると天弥の身体をさらに強く抱きしめる。
「俺は、ずっと天弥と一緒に居たい」
嬉しい告白の言葉に、その胸に顔を埋めた天弥の瞳から、再び涙があふれ出そうとする。
「俺が好きなのは、天弥だけだ」
顔を上げ、斎を見つめる。まだ少し違和感を覚えるメガネのないその顔が涙で滲む。
「僕も、先生が好きです」
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このままでは、天弥の総てを自分のものにしたくなる欲情を抑える事が出来なくなりそうで、やむなくその身体から腕を離したことを惜しむ。
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