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emitte lucem et veritatem
duodecim
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赤く染まった手を見つめながら小さく声が発せられた。
「先生? なんで……?」
自分の腕の中で青ざめた斎の顔を見ると、少しでも流れ出る血液を止めようと慌ててその背中に両手を置く。
「やだ……」
泣きながら斎の身体を抱きかかえる。その様子を見ながらサイラスは携帯を取り出し、911と番号を押しそうになり手を止めた。
「天弥! Emergency Call は何番や?」
サイラスの言葉が届いていないのか、天弥は斎を抱きしめたまま泣き続けていた。
「Holy shit!」
天弥の状態から、番号を聞きだすのは無理だと悟り、別の番号へとかける。そして通話相手に現状を簡単に説明し、救急車の手配を頼む。その後、絢子の回収も付け加え通話を終えた。
当て身を食らい意識を失っている絢子を、サイラスは見下ろした。
自分のミスだ。そう声に出さずに呟く。絢子は、まともに動けるような状態ではなかったから油断していた。だが、すぐにでも探しに行くべきだった。長々と実のない話を聞いている場合ではなかったのだ。
斎の血に染まり泣き続ける天弥を見た。遠くに響くサイレンの音を耳にしながら、なぜ本来の天弥は出てこなかったのかと疑問に思う。本来の天弥なら、この状況をどうにでも出来たはずだ。
サイレンの音が止まると、意識を失っている絢子を抱え上げた。
「すぐ戻る。ちょっと待っててや」
天弥に向かって声をかけると、サイラスは回収に来ているはずの相手に絢子を渡しに向かった。
身動ぎもせずにベンチに座り、天弥は明かりが点っている手術中と書かれている表示灯を見つめ続ける。
サイラスは何度か天弥に声をかけたが、何一つその耳には届いていないようであった。
全身、赤く染まり無表情なその様子は、今この場においては不謹慎ではあるが、恐ろしいほどに凄艶な美だと思う。
「天弥、少し休んだ方がええんちゃうか?」
おそらく、今の天弥は起き上がっているのも辛いはずなのだ。今日は事故が重なり、輸血用血液製剤がストック不足になっていた。本来なら、生血輸血などほぼありえないことだが、このままでは確実に危ないとの判断で踏み切られた。
天弥の血液型が斎と同じだった為、それを使用する事となった。天弥は、自分の血を全て使って欲しいと騒いでいたが、むろんそれは無理な事である。
天弥からの採血中に血液型検査、交差適合試験などが行なわれ、それが使用されることとなった。だがγ線照射をしても、輸血後GVHDの確立が高くなるなど、新鮮な全血輸血にはかなりのリスクを伴う。ただ一つ、斎と天弥が血縁者でなかったことだけが救いだった。
サイラスは隣に座る天弥を見た。このままもし、斎に何かあればどうにかなってしまうのではと、不安が込み上げてくる。
廊下の向こうから、急ぎ足で向かってくる人影に気付き、サイラスは立ち上がった。小さな女の子を抱きかかえた若い女性と、少し遅れて付いてくる年配の女性の姿を確認し、頭の中にある斎の家族構成から、姉の神楽と母親だと理解する。
「たかみくん? 斎は?」
「先生? なんで……?」
自分の腕の中で青ざめた斎の顔を見ると、少しでも流れ出る血液を止めようと慌ててその背中に両手を置く。
「やだ……」
泣きながら斎の身体を抱きかかえる。その様子を見ながらサイラスは携帯を取り出し、911と番号を押しそうになり手を止めた。
「天弥! Emergency Call は何番や?」
サイラスの言葉が届いていないのか、天弥は斎を抱きしめたまま泣き続けていた。
「Holy shit!」
天弥の状態から、番号を聞きだすのは無理だと悟り、別の番号へとかける。そして通話相手に現状を簡単に説明し、救急車の手配を頼む。その後、絢子の回収も付け加え通話を終えた。
当て身を食らい意識を失っている絢子を、サイラスは見下ろした。
自分のミスだ。そう声に出さずに呟く。絢子は、まともに動けるような状態ではなかったから油断していた。だが、すぐにでも探しに行くべきだった。長々と実のない話を聞いている場合ではなかったのだ。
斎の血に染まり泣き続ける天弥を見た。遠くに響くサイレンの音を耳にしながら、なぜ本来の天弥は出てこなかったのかと疑問に思う。本来の天弥なら、この状況をどうにでも出来たはずだ。
サイレンの音が止まると、意識を失っている絢子を抱え上げた。
「すぐ戻る。ちょっと待っててや」
天弥に向かって声をかけると、サイラスは回収に来ているはずの相手に絢子を渡しに向かった。
身動ぎもせずにベンチに座り、天弥は明かりが点っている手術中と書かれている表示灯を見つめ続ける。
サイラスは何度か天弥に声をかけたが、何一つその耳には届いていないようであった。
全身、赤く染まり無表情なその様子は、今この場においては不謹慎ではあるが、恐ろしいほどに凄艶な美だと思う。
「天弥、少し休んだ方がええんちゃうか?」
おそらく、今の天弥は起き上がっているのも辛いはずなのだ。今日は事故が重なり、輸血用血液製剤がストック不足になっていた。本来なら、生血輸血などほぼありえないことだが、このままでは確実に危ないとの判断で踏み切られた。
天弥の血液型が斎と同じだった為、それを使用する事となった。天弥は、自分の血を全て使って欲しいと騒いでいたが、むろんそれは無理な事である。
天弥からの採血中に血液型検査、交差適合試験などが行なわれ、それが使用されることとなった。だがγ線照射をしても、輸血後GVHDの確立が高くなるなど、新鮮な全血輸血にはかなりのリスクを伴う。ただ一つ、斎と天弥が血縁者でなかったことだけが救いだった。
サイラスは隣に座る天弥を見た。このままもし、斎に何かあればどうにかなってしまうのではと、不安が込み上げてくる。
廊下の向こうから、急ぎ足で向かってくる人影に気付き、サイラスは立ち上がった。小さな女の子を抱きかかえた若い女性と、少し遅れて付いてくる年配の女性の姿を確認し、頭の中にある斎の家族構成から、姉の神楽と母親だと理解する。
「たかみくん? 斎は?」
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