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emitte lucem et veritatem
tredecim
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神楽の声に何も反応する様子もなく、天弥はただ一点を見つめ続けた。
「たかみくん?」
手を伸ばし天弥の肩に触れた。
「あの」
突然かけられた声に、神楽は視線を移した。そして初めて、金髪に翠の瞳の少年に気がつく。
「あ……、斎の生徒さん?」
戸惑いの表情で尋ねる神楽に、サイラスは頷いた。
「天弥、ずっと反応しないんや……」
その話し方と見た目とのギャップに、違和感を覚える。
「そう……」
神楽は、天弥へと視線を戻す。
「それで、斎の様子は? 一体なにがあったの?」
斎が怪我で病院へと運ばれた。神楽と母親は、それしか聞いていなかった。詳細は何も分からずに、ここまで来たのだ。目の前の少年に尋ねても分からないかもしれない。だが何もせずにじっとしてはいられなかった。
「俺が駆けつけた時には、先生はもう血まみれで倒れとって……」
サイラスは、慎重に言葉を選び、何も分からない、何も知らない、ただの一生徒を装う。
「そんで、慌てて救急車を呼んだんやけど……」
そう言いながら、目を伏せた。
サイラスが次の言葉を選んでいると、表示灯の明かりが消え、その場の視線を独占した。ふらりと、天弥が立ち上がる。
ドアが開き、中から人影が出てくると天弥がゆっくりと足を踏み出した。サイラスはその腕を掴み、引き止める。
医師と母親の会話から、斎の無事を確認できたとたん、天弥の足元から力が抜け崩れ落ちそうになる。サイラスは天弥の身体に腕を回し、それを支えた。天弥の手がサイラスのワイシャツを掴み、何とか身体を支えようとする。
なんとか身体を支え、天弥は視線を上げた。その視界に、ストレッチャーに乗せられ運ばれていく斎の姿が映る。
「せん……せ……」
天弥は斎に向かって手を伸ばし、その傍へ近づこうとした。サイラスは、すぐに天弥の身体に回している腕に力を込める。
「先生!」
身体に回された腕を振り解こうと、天弥はもがきだす。
「天弥、ここは病院や」
涙を流しながらもがき続けるその身体を押さえ込み、落ち着かせようと天弥に言い聞かせる。
「離して! 先生!」
遠ざかるストレッチャーに向かって手を伸ばし、天弥は何度も斎を呼ぶ。激しくもがく天弥を必死に抑えながら、この細くて華奢な身体のどこに、こんな力があるのかと不思議に思う。
「先生は無事や」
見えなくなった斎の姿のせいなのか、サイラスの言葉のせいなのか、天弥の動きが止まり、力が抜けていく。
「天弥?」
涙で滲む視界が白け、自分を呼ぶサイラスの声が遠くに響くのを感じながら、天弥の意識が途切れた。
天弥は自分の腕の中にある大切なものが徐々に失われていくのを感じた。手のひらに感じる生温かいぬめりとした感触が、余計に不安を駆り立てる。それを確認しようと、ゆっくりと手のひらを見る。手のひらを染めている赤い液体が、重力に引かれ筋を作りながら雫となり落ちていく。
慌てて腕の中の大切なものを強く抱きしめた。変わらず流れ続けるそれは、天弥だけでなく辺りもゆっくりと赤く染めていく。
「たかみくん?」
手を伸ばし天弥の肩に触れた。
「あの」
突然かけられた声に、神楽は視線を移した。そして初めて、金髪に翠の瞳の少年に気がつく。
「あ……、斎の生徒さん?」
戸惑いの表情で尋ねる神楽に、サイラスは頷いた。
「天弥、ずっと反応しないんや……」
その話し方と見た目とのギャップに、違和感を覚える。
「そう……」
神楽は、天弥へと視線を戻す。
「それで、斎の様子は? 一体なにがあったの?」
斎が怪我で病院へと運ばれた。神楽と母親は、それしか聞いていなかった。詳細は何も分からずに、ここまで来たのだ。目の前の少年に尋ねても分からないかもしれない。だが何もせずにじっとしてはいられなかった。
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サイラスは、慎重に言葉を選び、何も分からない、何も知らない、ただの一生徒を装う。
「そんで、慌てて救急車を呼んだんやけど……」
そう言いながら、目を伏せた。
サイラスが次の言葉を選んでいると、表示灯の明かりが消え、その場の視線を独占した。ふらりと、天弥が立ち上がる。
ドアが開き、中から人影が出てくると天弥がゆっくりと足を踏み出した。サイラスはその腕を掴み、引き止める。
医師と母親の会話から、斎の無事を確認できたとたん、天弥の足元から力が抜け崩れ落ちそうになる。サイラスは天弥の身体に腕を回し、それを支えた。天弥の手がサイラスのワイシャツを掴み、何とか身体を支えようとする。
なんとか身体を支え、天弥は視線を上げた。その視界に、ストレッチャーに乗せられ運ばれていく斎の姿が映る。
「せん……せ……」
天弥は斎に向かって手を伸ばし、その傍へ近づこうとした。サイラスは、すぐに天弥の身体に回している腕に力を込める。
「先生!」
身体に回された腕を振り解こうと、天弥はもがきだす。
「天弥、ここは病院や」
涙を流しながらもがき続けるその身体を押さえ込み、落ち着かせようと天弥に言い聞かせる。
「離して! 先生!」
遠ざかるストレッチャーに向かって手を伸ばし、天弥は何度も斎を呼ぶ。激しくもがく天弥を必死に抑えながら、この細くて華奢な身体のどこに、こんな力があるのかと不思議に思う。
「先生は無事や」
見えなくなった斎の姿のせいなのか、サイラスの言葉のせいなのか、天弥の動きが止まり、力が抜けていく。
「天弥?」
涙で滲む視界が白け、自分を呼ぶサイラスの声が遠くに響くのを感じながら、天弥の意識が途切れた。
天弥は自分の腕の中にある大切なものが徐々に失われていくのを感じた。手のひらに感じる生温かいぬめりとした感触が、余計に不安を駆り立てる。それを確認しようと、ゆっくりと手のひらを見る。手のひらを染めている赤い液体が、重力に引かれ筋を作りながら雫となり落ちていく。
慌てて腕の中の大切なものを強く抱きしめた。変わらず流れ続けるそれは、天弥だけでなく辺りもゆっくりと赤く染めていく。
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