夏の幻想

雫喰 B

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10.

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※8話や9話、又は両方読んでいない方の為に補足です。

 その地に纏わる伝承や風習を聞いたり調べたりするのが大好きな明智に、始終張り付かれたくない奏は、自分が知っている怪異譚やお盆の風習等の話をする。

 その後、迎え盆や送り盆の為の準備をする事になり、各自できる作業を分担して灯籠造りや撮影の為の根回しを済ませたサークルメンバー達。

 くたくたになりながらも何とか夕食までに作業を終わらせたのだった。

 では続きをどうぞ!

~~~~~~~

 皆、疲れている所為か夕食時口数が少なかった。

 そしていつもなら食後は会話を楽しんでいたが今日は早々に自室へと戻って行った。

 はっきり言って、皆疲れていた所為で忘れていたのだ。あの事を……。



── 深夜 ──

パタパタパタパタパタパタパタパタ……。

 ガバッ!

 その足音に奏は飛び起き、環奈は蹲って肌掛けを引き寄せて震えいる。

 奏はベッドから下り、忍び足でドアへと急いだ。
 ドアノブを掴み、意を決して勢い良くドアを開け、壁に等間隔に並んだランプに灯された廊下の奥を見た。
 
 予想通り誰の姿も無い。

 反対側を振り返ると隣の部屋から明智が出て来ていた。

明智*「何か見たか?」
 奏 *「いや、足音だけ…。」
明智*「そうか。」
澤渡*「いや~すっかり忘れてたな。」

 頭を掻きながら澤渡が近付いてくる。

「で?見たのか?」

 そう聞かれ私と明智は首を横に振る。
 少し考える素振りを見せた後、
「さあ、2人ももう寝よう。これ以上考えていてもしょうがないしな。」
と言って部屋へ戻って行ったので私達も部屋へと戻った。

「……大丈夫だった?」

 肌掛けの隙間から顔を半分だけ出した環奈が聞いてきた。

「うん。また煙の様に姿を消した。って言うか、も居なかった。」
「そっか……。じゃあ寝ようか、おやすみ。」

 これまでも足音が消えた後何も起こらなかったから彼女もそのまま眠る事にしたみたいだ。

「おやすみ。」

 相変わらず頭から肌掛けを被ったその姿が可愛くて少し笑ってしまったが朝になったら撮影もあって忙しくなるから私も眠る事にした。

 それにしても、他のメンバー達は起きてこなかったな、と思うも眠気には勝てずあっという間に夢の中へといざなわれた。

 その理由は朝起きてから分かるのだった。



 そして朝 ───

 いつもの様に身支度を整えて食堂へ。自分の席に着いて深夜の足音の事をあの時部屋から出て来なかったメンバー達に聞いたら「耳栓してたから。」と返事が帰ってきた。

 その手があったか!

 という訳で、後で手に入れる事にした。

 他のメンバー達が言うには、
「足音以上の事が起きる訳でも無いし、何かあったら現実主義者リアリストの澤渡と明智が解決&解明してくれる筈だろうし、あの二人にできない時は霊能者か本職プロに任せるしかないでしょ。」
だそうだ。

 確かにね。

 でも環奈ほどではないけれど、私もオカルト&ホラー好きの怖がりなんだよね。

 なので、私はあの二人の“足音の謎”解明に付き合う事にしたのだった。

~~~~~~~

*超遅亀更新&不定期更新にも拘わらず、いつもお付き合い(お読み)いただきありがとうございます!

*投票して下さった方々本当にありがとうございます!!
 
*お気に入り、しおり、エールやいいね等もありがとうございます!

 では、また次話でおあいしましょう!
 (*・ω・人・ω・)
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